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  • ヒロ
  • 2020年09月09日 10:31

ドイツの変化がもたらす中国の苦悩

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ドイツのメルケル首相は中国と仲が良く、頻繁に中国を訪れていました。首相として訪問した回数は12回に上ります。なぜそこまでしたのか、その理由の一つにメルケル首相が2007年にダライ ラマ 14世と会合したことが中国の逆鱗に触れ、独中貿易が激減したことに端を発した点があります。関係改善のため、メルケル首相は人権より経済というスタンスに方向転換し、頻繁に訪れ、ひたすら商人に徹していたとも言えます。

メルケル首相はそもそも人権派であり、ソフト外交を望んでいます。が、香港の人権問題が今年、世界で話題になった際にもメルケル首相はあえて封印をしたように思えます。それは2007年のあの悪夢を今更繰り返したくなかったからでしょう。そしてメルケル首相は2021年秋に首相を降りるだけではなく、議員も辞め、完全引退をする予定です。そのため、すでにメルケル体制は政権末期でドイツ国内では次の首相を含めた国のあるべき方向の議論が進んでいます。

現在副首相で財務大臣のショルツ氏は立候補を表明していますが、今後、様々な候補者の「改革案」と新しいドイツの立ち位置の案が示されていくことになります。その中で中国との関係がどうなるのか、これは一つの試金石となりそうです。

先日、欧州5か国訪問をした中国の王毅外相は訪問先のドイツでマース外相との共同記者会見が凍り付いたようなものだったと報じられています。王毅外相は中国への支持を訴え、「アメと鞭」作戦で臨んだはずですが、結果としては撃沈しています。それは欧州各国が中国の人権問題について思った以上に懸念をしており、中国の「国内問題に口を出すな」というやり方は国際社会で孤立化が進んでいることを裏付けるものでした。

今年2月に「安全保障版ダボス会議」の異名もあるミュンヘン会議がありましたがその際のテーマは「消える西側」でありました。欧州という立場を世界の中でどう位置付けていくのか、埋没しつつある欧州に再び光を、というものでありました。その背景にはアメリカが自国中心で様々な案件はアジアに多く、「大西洋の時代」から「太平洋を挟んだ関係」がその主題となっていることに懸念を示したものです。

経済的に躍進し、一帯一路政策により欧州は中国と強力な関係を結ばざるを得なくなりました。特に鉄道路線は中国沿岸部から欧州までノンストップの貨車が数多く運行されています。これならば船の輸送が1カ月に対して2週間で運べるメリットもあり、まさにシルクロード化しているとも言えます。しかし、欧州は今になってようやく何か違うと思い始めたのでしょう。

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