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新型コロナウイルスのリスクを教えてくれた「台風10号」

■「人間は2つのことを同時には考えられない」

 よく言われるように、人間は2つのことを同時には考えられない。より正確に言うと、最も優先順位が高いものに意識が集中すれば、それ以外のことは然程、気にならなくなるという習性を持っている。
 悩み事で頭が一杯になっている時は、別のこと(例:仕事)に集中すれば、その間だけは悩み事を忘れることができる。

 先週早々に、気象庁が台風10号の危険性を「100年に1度の台風」と大々的に伝えていたので、台風10号の進路上にある地域に住んでいる人々は人生最大級の危機感を抱くことになり、これまでコロナ禍で自宅に閉じ篭っていた人々(主に老齢者)までが、外出(避難)を余儀無くされた。

 台風10号から逃げるために、県内の頑丈なホテルに逃げ込んだ人もいれば、県外に避難旅行する人まで現れるという具合。(無論、どちらもGoToトラベル制度を利用)

 この時点で彼らの頭の中にあったコロナに対する恐怖は、一時的にどこかへ吹き飛んでしまったのではないかと想像する。台風のことで頭が一杯になり、コロナのことを考えている余裕がなくなったかのような心理状態に陥ったのではないだろうか。

■「台風10号」がコントロールした人間心理

 逃げ遅れると死に直結するかのような巨大台風が眼前に迫っているという報道の前では、交通事故に遭遇して死亡するリスクよりも低いコロナ感染による死亡リスクは無きに等しくなった。皮肉なことに、コロナの危険性を圧倒的に超えた巨大台風の前では、コロナの存在は無きに等しい程に小さくなった。

 彼らは、台風10号が過ぎ去った後に、こう思ったかもしれない。

 「コロナに怯えて家に閉じ篭っていた自分はなんだったのだろうか?

 先週の日本における重大ニュースは、

1、台風10号
2、自民党総裁選
3、新型コロナウイルス


 こういう序列になっており、これまでメインニュースだったコロナ関連は完全にサブニュース扱いだった。その報道姿勢に呼応、または示し合わすかのように、コロナ感染者数は減少の一途を辿っており、8月には全国の1日の感染者(PCR陽性者)数は1000人を超えていたが、現在は300人程度になっている。

 為政者(官僚や政治家)が問題を起こした時に、目くらましのように芸能人のスキャンダルネタが暴露されると言われることがある。その真偽の方はともかくとして、こういった話が出る背景には、「人間は2つのことを同時には考えられない」という習性を利用した誤魔化しの心理操作が有ることを物語っている。

 今回、出現した台風10号は、幸いにも、危惧されていた程の被害は生じなかったが、一時的に国民の目をコロナから台風に向ける役割を果たし、コロナ恐怖症を吹き飛ばす役割を演じてくれたと言える。

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