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“脱ネトウヨ”した古谷経衡さんに聞く ネトウヨの生態と、付き合い方

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作家、評論家、テレビコメンテーターなどとして活躍する古谷経衡。かつては、ネット右翼、通称“ネトウヨ”の1人として「WiLL」(ワック)、「Voice」(PHP研究所)、「正論」(産業経済新聞社)などの保守系雑誌に寄稿をしていましたが、現在は“ネトウヨ”を卒業し、より客観的な立場で政治や社会現象に対して意見を述べられています。今回は笑下村塾たかまつななが、そもそも“ネトウヨ”とはなんなのか、古谷さんがなぜネトウヨになり、卒業に至ったのかなどをインタビューしました。

有名保守系言論人の発言をコピペしているのが「ネトウヨ」


たかまつ:そもそもネトウヨってどんな方達なんでしょうか?

古谷:ネット右翼の略。ネット右翼と呼ばれる人の側は、ネトウヨと呼ばれるのをすごく嫌い、自分たちのことを「ネット保守」だと言います。でも僕は保守だと思ってないので、「ネトウヨ」でいいと思います。一般的にはネット上でタカ派、右派的な、保守的な発言をする人と言われがちなんですけど、僕の定義はちょっと違っていて、“いわゆる保守系言論人の発言を無批判に受け止めて、コピペして返す人”のことを「ネトウヨ」だと考えています。保守系言論人として名の知れた、Twitterで10万人以上フォロワーがいる、H田さん、T須さん、Kさん...虎ノ門のほうのニュースに出ている人、いわゆる保守系雑誌と言われる『WiLL』だとか『Hanada』、『正論』に常連として名前が出ている人がいるのですが、そういう人のファンで、そういう人たちのリツイートをしたり、その人たちがしゃべってる動画で知識を得て、同じことを言う人をネトウヨだと考えています。僕や徳島大学の教授の調査だと、大体ネトウヨは全国に200万から、多くて250万人くらい存在します。

ネトウヨはみんな韓国、中国、朝日新聞が嫌い!?


たかまつ:200万人もネトウヨがいるんですね!2つ確認したいことがあるのですが、まずは1つ目、「ネトウヨは韓国と中国と朝日新聞が嫌い」というイメージがありますが、本当ですか?

古谷:合っていますよ。なぜかというと、いわゆる先に言ったような保守系言論人がそういうことを言うからですね。“あの人が言ってるから、自分も朝日新聞、中国、韓国はけしからん”と広まっていくのです。なので、自分でそれを見つけたわけじゃないんですよ。韓国に行ったことがある人だってほとんどいません。なのに「首里城は韓国人が火をつけた」みたいな明らかに根拠のないことを言うんです。怖いというかキモいですけどね、普通に。

ネトウヨは貧乏の憂さ晴らしではない!


たかまつ:それは怖いですね。2つ目に確認したことですが「ネトウヨはお金がないから、自分たちの貧しさを企業や外国のせいにしている」というイメージがあります。これは本当ですか?

古谷:ネトウヨが貧乏で憂さ晴らしにやっているというのは、全然違うんですよね。もともとは丸山眞男が“中間階級第一類”と言った、戦前の日本型ファシズム、軍国主義を支えた層。それは圧倒的に貧しい人じゃなくて、日本の戦争を支えてきた中間階級で社会の下士官。つまり、小作人とかじゃなくて独立の自営農業者。工場だったら工場で働いている人じゃなくて、工場主任者など中間管理職です。これに対して日本型ファシズムに対して批判的だったのは、丸山眞男が“中間階級第二類”と呼ぶ、いわゆる“知識人”。大学の先生などです、そういう人は昔から政府に反対したりしていました。なんと現在のネトウヨも、この“中間階級第一類”と全く同じで、自営業が多いです。それから医者や行政書士とか税理士などの士業。旦那さんが結構いい企業に勤めている主婦などもいます。こういうある程度社会の中で成功してきた人が、病気や仕事のトラブルでつまずくと、今まで知らなかった新たな思想に目覚めたりするんです。

自営業の人は時間ができてきた頃に、保守言論に目覚める

たかまつ:心に穴が開いて、それを埋めるためという感じなんですか?

古谷:穴は開いてないですね。むしろネトウヨになってから穴が開きます。自営業は最初は1人でやっているので忙しいのですが、40、50代になって、社員が10人ぐらいに成長すると昼間は暇じゃないですか。そのときに元々歴史や人文科学の素養がないので、保守系言論人の言うことを信じてしまうんです。なのでいわゆる保守系言論人の熱心なファンって、僕の観測する限りでは、超有名な会社の社長さんもいますが、自営業がとても多いですよ。

少年時代の愛読書、“架空戦記”が保守思想の原点


たかまつ:なるほど。今は客観的にネトウヨを分析されていましたが、元々は古谷さんもネトウヨだったんですよね。どうしてネトウヨになられたんですか?

古谷:僕は今でも右翼ですが、保守本流だと思ってるんです。きっかけは、僕が小学校のときに読んだ架空戦記です。檜山良昭さん、荒巻義雄さんなどの作品。僕はそれにはまっていた、戦史オタみたいな感じの少年だったんですよ。そこで当然、軍隊とか戦史のこととか歴史のことに詳しくなりますよね。でも現実には日本はアメリカに負けているし、今もそのアメリカ軍が日本に駐留しているわけだから、悔しいと思いますよね。そこからいわゆる右派、タカ派、保守になったんです。そして、たまたま紹介で保守系の雑誌などで文章を書くようになり、あれよあれよという間に、ネトウヨ雑誌の編集長とかもやって、本を出したりして...。

歴史を学んだことで、ネトウヨに批判的な立場へ


たかまつ:現在はネトウヨを卒業されたと思うのですが、卒業のきっかけはなんだったのですか?

古谷:最初は20代後半だったので、保守業界のことがよく分かりませんでした。でもCS放送やネット番組に出たり、本を出していくと徐々にわかってきたのですが、僕が本出しても、誰も読んでいないんですよ。ただ買って、タイトルだけ見て、韓国はけしからんと言ったり。それから、言うに耐えない話ですが、韓国人はみんなうんこ食ってるんだとかね、トンスル民族だとか。あと朝鮮人一人見たら百匹いると思えとか、〇〇会社は朝鮮系だと決めつけるとか。そんな人がうじゃうじゃいたのですが、俺はもっとまともだと思ったんです。歴史の勉強もしたので、韓国や中国政府のやってることもけしからんと思いましたが、日本も731部隊とか、朝鮮の植民地化などもしたので、フィフティと言えばフィフティだし、そこまで一方的なものの見方でもないと思うようになりました。なのに、話しててレベルが低すぎて、別次元で。そういうのが馬鹿みたいになりました。その当時、僕の一番の読者だったのは、朝日新聞の記者でした。僕の本をちゃんと読んでくれて、結構評価もしてくれたんですよ。“古谷さんはいわゆるネトウヨの中では唯一といっていいほどまともですね”と。(笑)
それからネトウヨを辞める決定的理由は、ネトウヨ業界が年功序列だったことです。

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