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訂正-焦点:新政権、解散にらみ景気浮揚必須 潜在成長率低下リスク鮮明


[東京 8日 ロイター] - 4─6月期国内総生産(訂正)(GDP)統計改定値は戦後最悪となった1次速報からさらに悪化した。特に設備投資の停滞が鮮明で、潜在成長率の低下を招くリスクが指摘されている。新政権の優先課題は新型コロナウイルスの感染収束と景気浮揚だが、特に経済は解散戦略にも絡んで重要だ。市場では、次期首相として有力視される菅義偉官房長官の下で経済優先が鮮明となり、地方活性化や景気浮揚が図られるとの見方も聞かれる。

<コロナでGⅮP1割消失、潜在成長率低下リスク鮮明に>

4-6月期のGDP水準は484兆円に縮小し、およそ10年前に逆戻りした。ピークの2019年7-9月期の539兆円から55兆円、1割超を失った計算だ。家計消費や輸出の悪化に加えて、1次速報で他項目より相対的に小幅減だった設備投資が、1次速報の前期比1.5%減から4.7%減に大幅下方修正された。

コロナ感染症の打撃が設備投資を明確に減少させており、コロナ禍後の日本経済を考える上でネガティブと受け止められている。

SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、「設備投資の減少が期待成長率の下振れを反映している可能性がある」と懸念を示す。バブル崩壊後の景気低迷でも設備投資減退が潜在成長率低下をもたらしたこともあり、「無視できないリスクシナリオだ」と指摘する。

ここから消費増税前の19年7-9月期の経済規模に回復するには3年程度かかるとの見通しを示す。

<解散に向け景気浮揚は必須>

4-6月期の景気の落ち込みが過去最大となったことを踏まえ、民間調査機関の間では、今年度成長率は政府見通しのマイナス4.5%よりも悪化し、5%を超えるマイナス成長になるとの見通しが大勢だ。

新首相の下で、来年秋の衆院議員の任期までに解散を実施するには、感染の収束と景気のある程度の回復が条件となる。

自民党幹部の1人は、年内に状況が戻らなければ、本格的な景気てこ入れ策が必要とみる。「インバウンドが消失したため、観光を立て直す施策のほか、大手企業向けの資本注入強化など産業振興策が必要だ。コロナ以外の事業として、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援のほか、自然災害対策の必要性がある」とし、10兆円の予備費活用が視野に入るとしている。

一方で、霞が関の官庁幹部の1人は、従来型の需要対策は経済活動に制約がある中では限界があると指摘。「感染拡大防止もさることながら、観光・飲食業などで事業が立ちいかなくなる企業の関係者の救済策が何より重要だ」と指摘する。

<菅氏の景気浮揚策、現場熟知で期待高まる>

この幹部は、新政権となれば、当面はアベノミクス継承となるとした上で、「3候補の誰が政権に就いても、安倍政権との大きな違いは地方活性化が重要なテーマになるという点だ」と指摘する。

特に、菅氏はすでにふるさと納税創設の実績もあり、今回も地方の観光振興や農業活性化を打ち出している。今日の立ち合い演説会でも「GoToキャンペーンなどを通じ、感染対策を前提に、観光など多くの方々を支援していくため、躊躇(ちゅうちょ)なく対策を打つ」と述べた。

また菅氏はデジタル庁創設構想にも言及。家計や消費生活の様々な手続きや登録が簡素化され、全国どこでも国民生活が一律に利便性を獲得できることになれば、消費活性化にもつながる。

丸山氏はさらにもう1点、「消費減税についても、(菅氏)本人は否定的ながら、派閥の支援を受けているからには党内の声を反映して実施する可能性も残る」とみている。

ただ、その際に焦点となるのは財政再建の観点であり、財務相ポスト。一時的な減税とそれを10%に戻すことができる実力のある人材が必要だと指摘する。

菅氏の政策実行力に期待する声もある。伊藤忠総研チーフエコノミストの武田淳氏は「菅氏となれば、感染防止か経済活動かというどっちつかずの状況を脱し、明らかに経済優先を明確化することになるだろう。その意味で景気浮揚にはプラスだ」とみている。

安倍政権と比較しても他の総裁候補と比べても、「現場を熟知し、問題点やブレーキをかけている障害がどこにあるのかも分かっているため、実行力にも期待できる」として、戦後最悪の落ち込みとなった景気の浮揚を任せる人物として適任とみている。

*本文1段落目の「国民総生産」を「国内総生産」に訂正します。

(中川泉 編集:山川薫)

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