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【全文】 自民党総裁選に向け石破氏、菅氏、岸田氏が所見発表演説 3氏が描く日本のビジョンを語る

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安倍晋三首相(自民党総裁)の後任を決める党総裁選が8日、告示され、石破茂元幹事長(63)、菅義偉官房長官(71)、岸田文雄政調会長(63)の3氏が立候補した。7年8ヶ月に及んだ安倍政権の継承の賛否が争点となる見通しで、衆参両院議長を除く国会議員票394票と都道府県連票141票の計535票で争われる。

この日午後には立候補した3氏による所見発表演説会が行われ、石破氏は「成し遂げたいのはグレートリセット。もう一度この国の設計図を書き換えていく」、菅氏は「悪しき前例主義を排し、規制改革を全力で進める国民のために働く内閣をつくりたい」、岸田氏は「オール自民党でチームを組んで激動の時代、最高のパフォーマンスを繰り広げなければならない」と考えを示した。14日の両院議員総会で新総裁を選出し、16日に召集する臨時国会で指名選挙を実施して新首相が選ばれる。

石破氏「成し遂げたいのはグレートリセット」

AP

衆議院の石破茂であります。この度の総裁選挙に立候補するにあたり、所見の一端を申し述べます。

冒頭、今回の台風で被災をされました方、命を亡くされました方、そして東日本大震災をはじめ、今なお苦難の中にあられる方々、復興復旧にあたっておられる多くの皆様方、心からお見舞い申し上げ敬意を表する次第であります。

私はずっと、政治とはなにか、自民党とはなにか、政治家とは何かを考えてまいりました。もういまから、35年も前のことになります。昭和60年夏のことであります。渡辺美智雄先生の政策集団の研修会が箱根でございました。

当時、私は27歳であったとおもいます。自分で車を運転して、箱根までまいりました。1時間半に亘る、渡辺先生の話をききました。「お前たちは、何のために政治家を志すのか。先生先生と呼ばれたいのか。ポストが欲しいのか。いい勲章が貰いたいのか。金が欲しいのか。そのような奴は政治家になってはならない、去れ」と。「よく聞け、政治家の仕事というのはたったひとつなのだ。勇気と真心を持って真実を語る。それだけが、政治家の仕事なのだ」。

私はあまりに感動したので、その時のテープをいただいて、議員になるまでの1年あまり、ずっと車でテープを聞き続けました。真実は自分で見つけなければならない。たとえ耳に痛くても、ウケなくても、ソレを語る勇気を持たなければならない。そしてわかってもらえる、わかっていただける真心を持たねばならない。

議員になって30余年あまり、今なお、そうあることができない、自分を心から恥ずるものでありますが、そうありたい、今もそう思っております。

自由民主党とはなにか。我々は、3年3ヶ月野にありました。300あった衆議院の議席は、119になりました。

東日本大震災、政調会長だった私は、お願いして宮城県女川の避難所に一晩泊まりました。多くの声をいただきました。我々は陳情するのが仕事じゃない。復興庁みたいなものを作ってくれ。多くの声をいただいたことをよく覚えております。そのときほど、我が党が政権にないことの申し訳なさ。心から思ったことでございました。

私達は新綱領を作りました。自由民主党はかくあるべし。谷垣総裁の元、徹底的な議論を行い、自由民主党かくあるべし、新綱領を作ったのであります。

自由民主党は、勇気を持って自由闊達に真実を語る政党でなければならない
自由民主党は、あらゆる組織と協議する政党でなければならない
自由民主党は、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させ、そういう政党でなければならない
自由民主党の政府は政策を条件を、あらゆる人に公平にするものでなければならない

新綱領を掲げ、我々は安倍総裁の元、一致して闘い、政権を奪回し、今日があります。自由闊達に真実を語る政党、あらゆる組織と協議する政党、政府を謙虚に機能させる政党、そして全ての人に公平な条件を作り政策を作る、自由民主党は常に、そういう政党であるかどうか、胸に問いかけていきたい、そのように考えております。

時代認識について申し上げます。「100年に一度」という言葉がよく使われます。100年前に何があったか。1914年から18年まで、第一次世界大戦でありました。

世界で1億人の人が命を落としたと言われるスペイン風邪。1918年から1920年まで、世界で大流行しました。1929年、大恐慌。1939年から45年まで、第2次世界大戦。それが100年前の出来事であります。

我々は、戦争を絶対に起こしてはならない。ウイルスで多くの人たちが命を落とすような、そのようなことがあってはならない。経済が破壊されるようなことは、絶対に防がねばならない。そういう認識でおります。

令和の政治を語る時に、平成とは何であったか、そのことに思いをいたさねばなりません。3つのモノがおわったか、もしくは大きく変わったのは、平成の30年でありました。

戦後が終わった。かつて田中角栄先生は、「あの戦争に行ったやつが、この国の中心でいる間は日本は大丈夫。そうでなくなった時が怖い。だからこそよく勉強してもらわねばならない」。一兵卒として、日中戦争に従軍された、田中角栄先生は、生前そう語っておられました。

私は、猪瀬直樹さんの「昭和16年夏の敗戦 日本人はなぜ戦争をしたか」それを読むように、多くの皆様方にお願いをいたしております。

昭和16年夏、20年ではありません。帝国政府は総力戦研究所を設立をし、陸軍海軍あらゆる官庁、日本銀行、同盟通信。30代の秀英を集めて、もし戦争をしたらどうなる、徹底的な討議をおこないました。

全てのデータは開示をされた。国力の差、経済力8倍、鉄鋼生産力は12倍、自動車の生産台数に至っては100倍違う。全てのデータは開示をされました。

出た結論。昭和16年の夏。何があってもこの戦争だけはしてはならない。そういう結論が出ましたが、なぜ戦争になったのかということであります。

国民には正確なデータが知らされていなかった。メディアは戦争を煽った。そして、権力とメディアが癒着をし、さらには、そういうことをすれば予算が削られる、そう恐れた軍部もあった。

反軍演説をした但馬の代議士、斎藤隆夫。衆議院を除名になった。反対したものはわずかに7名である。

それぞれが保身に走る。個の利益を全体の利益に優先した時、国は悲劇の道を歩む。そのようなことを、決して繰り返してはならない。

戦後が終わったということを、私達はもういちど、心にきざまなければなりません。

BLOGOS編集部

民主主義、終わったとはいわないが大きく変質を遂げた、それが平成だったと思います。大勢の人が参加をしなければ民主主義は成り立たない。正しい情報が有権者に与えられなければ民主主義は機能しない。少数意見が尊重されなければ民主主義は機能しない。

私たちは民主主義がきちんと機能するように、大勢の人が参加できるように、正しい情報が与えられるように、少数意見が尊重されるように、民主主義を守っていかねばなりません。

資本主義、大きく変質を遂げたと思っております。株価は上がった、有効求人倍率はすべての都道府県で1を超えた。企業は空前の利益をあげた。素晴らしいことであります。

しかし他方、格差が拡大してはいないだろうか、一部の人だけに利益が及んでいないだろうか、東京一極集中が進み、集中の利益は、毀損されてはいないだろうか。

新しい資本主義というものを考えていかねばなりません。地方であり、農林水産業であり、女性であり、サービス業であり。その持てる力を、最大限に引き出していかねばなりません。

21世紀は、端的に申し上げますが、世界の人口が倍になり、日本の人口が半分になる。それが21世紀であります。少子化は進み、高齢化は進み、あと20年で介護にかかるお金は2.4倍。医療にかかるお金は1.7倍。

この経済を維持していかなければ、日本の福祉、幸せを維持していくことはできない。私は、企業は株主だけのものではない。経営者だけのものではない。従業員であり、家族であり、地域社会のためであり、新しい公益資本主義。これを世界に先駆けて、日本は広めていかなければならないと思っております。

利潤だけを目的にするのではない、日本各地でいろいろな取り組みが始まっている。循環型、そして里山の資源、それを最大限に活かし、サブシステムとしての、里山資本主義、それを日本から、確立をしていきたい、そのように考えております。

消費性向の高い、所得の低い方々、年収350万円、地方で、中小企業で、サービス業で、一生懸命働いておられる方々、そういう方々の、雇用と所得、これを増やしていかなければなりません。

潜在力を最大限に引き出し、GDPを維持し、引き上げ、生きていてよかった、日本に暮らしていてよかった、そう思っていただける方を増やしていきたい。

以上が私の歴史認識であります。これから総裁選を通じて、各論について各候補が議論を致します。どうぞ皆さん聞いてください。国民の皆様方、お聞きください。

各論についていくつか申し上げます。

コロナ対策であります。私は、感染者は増加をしているが、重症者は増加をしていないので、医療現場は逼迫していない、そういう認識にはたっておりません。医療現場がどれほど困難な中にあるか。

コロナに対応する医療関係者、2倍3倍のストレスを抱えております。収益は悪化をしています。その中で歯を食いしばって命がけで、戦っているのが医療関係者の皆様方です。それで今日があるのです。

医療現場に対する支援を最大限、行っていかなければなりません。あわせて、守っていかなければならないのは社会です。医療と経済、二者択一ではない、守らねばならないのは社会なのであります。だとするならば、経済的支援の拡大と、強制力を伴った措置の導入と、このことは真剣に検討されてしかるべきであります。

感染が収束したら特措法の改正、その立場に私は立ちません。早期に収束させるために、特措法の改正、そのために、政治は政府だけで行うものではない。議会の智恵をいかに借りるか、それが国民に対して、政治が果たすべき責任である。そのように考えます。

災害は忘れる間もなくやってくる。そういう時代です。私は、防災省は必要だと。心からそう信じます。日本全国、1724市町村、それぞれで防災の体制が違っていいのですか。同じようなスキルを持たねばならないのではないですか。

知識は、伝承され、継承されなければならないのであって、優秀な人達が、各省庁からやってくる、2年経ったら帰る。どうして、蓄積と伝承ができるのですか。どうして、教育が普及するのですか。

どこにあっても同じ体勢、そして24時間365日、防災を考えるそういうような部署。縦割りを廃し、日本国のために、絶対に必要なものである。私はそのように固く信ずるものであります。

地方創生大臣を2年務めました。食糧を作り、エネルギーを作り、出生率の高い地方が滅んで、政治であり、金融であり、経済であり、文化であり、メディアであり、その中心の東京ではありますが、食料を作らず、エネルギーを作らず、出生率は全国最低。そこに、人があつまる、モノが集まる、金が集まる。そういう日本国は持続可能なものなのですか。

私は地方に雇用と所得、そのことは絶対に必要だと思います。おかしくないですか。鉄道が発達し、道路が発達し、航空路が発達し、情報網が発達すればするほど、東京一極集中はなぜ進むのですか。国がそういう仕組みになっているからです。

明治維新後、わずか50年。日本は世界の強国になった。敗戦後わずか20年で、GNPは世界第2位になった。そのために東京一極集中は人為的に行われたものであります。

ふるさとは志を果たして帰るものではない。志を果たしにふるさとに帰る。東京の負荷を減らしていかねばなりません。東京の集中の利益を、限界を超えたとするならば、首都直下型地震、少子高齢化、東京の持っている負担をいかにして減らすか、地方にいかにして雇用と所得をもたらすか。地方創生に私はもう一度全身全霊で取り組み、新しい日本を作ってまいります。

憲法について申し上げます。どうか平成24年、党議決定をした自民党憲法改正草案、もう一度みんなで読もうではありませんか。起草員の一人として携わりました。なんで政党の役割が憲法に記されていないのですか。わが自由民主党は日本国の中心として日々、努力をしてきた。

政党は権力による弾圧があってはならない。最大限自由が保障されなければならない。しかし、国民から政党助成金をいただいている。そうであるならば党の金をどのように使ったのか。政党の意思はいかに決せられるべきか。そのようなことを国民にきちんと示す、権利だけ享受する主体というのはありえません。政党法の制定が必要であります。

合区の解消。参議院選挙は間違いなく再来年にはやってくる。鳥取、島根、高知、徳島、合区の厳しさ、苦しさ、これを解消するために憲法改正が必要である。そうしなければ地方はどうなるんですか。地方に厚く、そういうことを申し上げているのではない。

合区の解消、そのために時限性のある課題には取り組むべき。最高裁判所裁判官、総選挙の際に誰がその名前を知っているのか。この仕組みで本当に三権分離は成り立つのか。その仕組みは法律で定めていかねばなりません。

自衛隊は国の独立を守るためのものです。そして、その行動はすべて国際法に則ってやるべきものです。あいては外国の国家主権ですから、国際法に則って行動するのは当然だ。その国において最強の組織であればこそ、司法立法行政による厳格な統制は必要である。当たり前のことであります。

憲法改正は国民が決めるものである以上、わが党は先頭に立って、議論を深め、一刻も早く憲法改正に取り組むべきものであります。私はこの34年間、ひたすら愚直に生きてきました。

もっとお利口さんに立ち回ることもできたのかもしれません。ひたすら愚直に生きてまいりました。今回、納得と共感を掲げました。「そうだね」と国民が言ってくださる。「一緒にやろう」と言ってくださる。それが納得と共感であります。いまこそ納得と共感の政治をやりたい。

そして成し遂げたいのはグレートリセット。もう一度この国の設計図を書き換えていくことであります。そうしなければこの国は次の時代に生き残ることはできない。やらねばならないのはグレートリセットである。国のあり方をもう一度みなさんとともに考え直し、作り直していきたい。

国民は政治を信じていないかもしれない。しかし、我々は国民を信じているのか。これを言ってもわからない、これを言えば票が減る。そう言って真実を語らない政治家は国民を信じていないのではないか。国民を信じない政治家が国民から信用されるはずがない。

わが自由民主党は国民政党として、日本国のために、次の時代のために全身全霊で臨んで参りたいと決意を申しのべて所信の一端といたします。ありがとうございました。

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