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大阪市廃止を問う住民投票

「正しく知ればNOになる」

 自民党として住民投票に対する「反対」活動をスタートさせた街頭演説で、自民大阪市議団幹事長が訴えた言葉は、11月1日の投票日に向けて大きなポイントになりそうだ。

 『いわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票』とマスコミで報じられる住民投票とは、一体、何を問う住民投票なのだろうか。明確な定義の無い「都構想」の是非を問うという矮小化された解釈をすれば、「今の大阪を変えるか?変えないか?」の選択だというように、事実をとらえない方向に市民を誘導してしまうことになる。

 住民投票は、あくまでも示された特別区設置協定書の是非を問うものであり、今回の特別区設置協定書に記されていることを端的に表現するならば「大阪市を廃止分割して、4つの特別区を設置すること」ということになる。2015年の実施された住民投票との間の大きな違いは、分割して5つの特別区を設置するのか、4つの特別区を設置するのかだけで、本質的なところは何ら変わることはない。(もっとも、詳細部分が全く同じわけではない。)

 しかし、この明確な事実を複雑にしてきたのは、他ならぬ維新の会の代表者たちである。2015年の住民投票の際における橋下市長も、2019年の市長候補であった松井知事も、口をそろえて「大阪市がなくなるわけではない。大阪市役所がなくなるだけのことだ。」と大阪市が廃止される(大阪市がなくなる)事実を隠そうとしてきた。結果として、政令市大阪市は残ったままで、複数の行政区が一つになって大阪市の中に特別区というものができると勘違いしている人が多数おられる。2015年住民投票後には、有識者有志が調査をし、「大阪市廃止」の事実が広く現認されていないことを検証して確認している。

 実際に、2015年住民投票の投票用紙では「大阪市における特別区の設置についての投票」という記載がされており、「大阪市廃止」の事実は明記されていない。しかし、現実には大阪市を廃止することになることから、2018年には大阪市会に「大阪市廃止」の事実を明記するよう求める陳情書が提出され、維新以外の賛成多数で採択(可決)という結果を得ている。


 本日、9月7日に開催された大阪市選挙管理委員会では、10月12日告示・11月1日投票日とする住民投票の日程と投票用紙に「大阪市廃止」を明記することが決定された。
 決定に至る前に、松井市長が「大阪市役所を廃止」との文言を盛り込むことを求めたことに対して、選挙管理委員会が棄却したことも含めて、今回の決定は「正しく知る」大きな意義があるものと考えている。

 「特別区設置協定書の承認」案件が、8月28日の大阪府議会可決、9月3日の大阪市会の可決を受けて開催された本日の選挙管理委員会決定を受けて、いよいよ住民投票に向けて動き出すわけであるが、根本的な「何を問う住民投票なのか」という点が改めて明確になった。改めて記載するまでもなく当然のことではあるものの、当局の説明不足や維新の会の欺瞞に満ちた表現によって事実が認識されていなかっただけに、投票結果によって大きな影響を受ける市民については「正しく知る」機会になったことは間違いない。

 今後の「正しい情報発信」により、市民が「正しい判断」ができる環境が構築されることを期待したい。

日刊スポーツ 9月5日

大阪都構想 投票用紙に「市を廃止」明記、陳情考慮

大阪市を廃止して4特別区を設置する「大阪都構想」の住民投票用紙に、「大阪市を廃止」との文言が明記されることが5日、市関係者への取材で分かった。

2018年に市議会で採択された市の廃止を明確にするよう求める陳情を考慮したもので、僅差で否決された前回15年の住民投票の用紙には盛り込まれていなかった。

市選挙管理委員会が7日に開催する会議で、住民投票を10月12日告示、11月1日投開票とする日程とともに正式決定される見通し。

市関係者によると、市選管は複数の弁護士事務所から「問題ない」との見解を得て明記する方針を決定。この報告を受けた松井一郎市長(大阪維新の会代表)は「大阪市役所を廃止」と文言を変更するよう求めたが、変えなかったという。都構想推進派の大阪維新の市議は「(廃止が強調され)反対への誘導につながりかねず不公平だ」と話した。

投票用紙の様式は大都市地域特別区設置法の施行規則に基づき市選管が決める。15年の用紙には「大阪市における特別区の設置についての投票」と書かれていたが、「市が存続したまま特別区が設置されるとの誤解を与える」として、市の廃止を明記するよう求める陳情書が18年5月の市議会に提出され、賛成多数で採択された。


        *********************************

実は、この報道があったものの9月7日の選管決定を受けるまで「大阪市廃止」の文言が投票用紙に記載されるかについては確証がなかった。選管で判断が覆る可能性があったからだ。

記事が示すように、当初「大阪市廃止」の明記方針が決まった後、松井市長が第三者機関でもある選管に「大阪市役所を廃止」と変更することを求める政治的圧力をかけている。とんでもない話であり、そこまでして嘘偽りで「大阪市がなくならない」印象を市民に与えたいのか?と言いたくなる。結果として、この圧力を選管が退けたことになったが、9月7日の最終決定に向けて、どんな新たな手を打ってくるかも分からないという不安があったからだ。

「正しく知ればNOとなる」この言葉は、市民が「正しく知る」ことをひたすら維新の会が拒もうと暗躍していることを示しているとも感じる。

(添付は2015年の投票用紙)

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