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大坂なおみ、日本で批判されてもアメリカでの評価が高まる理由 - 「週刊文春」編集部

「今や大坂はスポーツ界を超えた黒人女性におけるヒロインとして見られています」(在米ジャーナリスト)

「ウエスタン・アンド・サザン・オープン」で、黒人男性への銃撃事件に対する抗議のために準決勝を一時辞退し、その後撤回した大坂なおみ(22)。スポーツに政治の問題などを持ち込むことへの拒否反応が根強い日本では、ネット上で「最近の彼女にはついていけない」「対戦相手に失礼」とバッシングがあった。

 だが、大坂は以前から、「私は、アスリートは政治を語るべきではない、ただスポーツで人を楽しませればよいと言われるのが嫌いです」と主張している。今回の件は、アメリカでどう評価されているのか。


差別に抗うTシャツ姿でコートに向かう大坂 ©共同通信社

 米国在住の作家、冷泉彰彦氏が語る。

「ボイコットについては、NYタイムズなど一流メディアが大きく報じました。女子テニス界は昔から白人中心社会で、黒人選手は活躍しても人気が上がらなかった。黒人選手の地位向上のため、今回の大坂選手の行動は非常にポジティブに捉えられています」

 大坂が差別問題について発言を始めたのは、2016年、警官による黒人への暴力に抗議し、アメリカ国歌斉唱中に膝をついて抗議したNFL選手のコリン・キャパニックに大きな影響を受けたのがきっかけだ。

昨年の年収は40億円以上、差別と闘う強い女性の象徴

「大坂は他の黒人トップアスリートやミュージシャンと同様、黒人の代表として自分の意見を発信することが使命だと考えるようになりました。バッシングにもめげない意志の強い行動に、キャパニックはNBAスターの故コービー・ブライアントと大坂の試合を応援するなど、リスペクトする姿勢を示している。今回のボイコットの際には、セリーナ・ウィリアムズと姉のビーナスから後押しも受けました」(スポーツ紙記者)

 最近は黒人女性の収入格差の問題を雑誌で訴えたり、コロナ禍での寄付を始めたりしている大坂。インスタグラムのフォロワー数は約124万人を数え、恋人は日本でいえば米津玄師並みの人気を誇る若手ラッパーのコーデー。世界の黒人アスリートを代表するインフルエンサーとして存在感が高まっている。

「大会賞金と15社ものスポンサー収入を合わせると、昨年の年収は40億円以上で、女性アスリートとして史上最高額を叩き出しました。差別と闘う強い女性の象徴であり、多様性のある出自は日本仕様とグローバル仕様、両面での広告戦略を可能にしている。最近は自身の発言の重さを意識し、メディアトレーニングを重ねて会見の言葉選びも慎重になっています」(同前)

 コート内外での“大坂の陣”はまだまだ続く。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年9月10日号)

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