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アジアで安全保障面の関与を「ポスト安倍 何処へ行く日本」

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ジョコ・ウィドド大統領と安倍首相 出典:外務省HP

大塚智彦(フリージャーナリスト)

【まとめ】

・日本とインドネシアは信頼に基づいた関係を維持。

・ジョコ・ウィドド大統領、ポスト安倍とは関わりが薄い。

・アジア各国は日本により安全保障上の関与求めている。

日本の安倍晋三首相が8月28日に健康問題を理由に突然辞意を表明したことは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国では驚きをもって迎えられ、同時にこれまでの東南アジアで安倍政権が果たしてきた積極的な役割を評価する声が相次いだ。

これは東南アジア流の「去る者への礼儀」「経済大国日本への感謝」といった外交辞令も多分に含まれていることは、日本としては割り引いて受け止めた方がいいだろう。

世界第4位の人口を擁するASEANの大国インドネシアではジョコ・ウィドド大統領が安倍首相の辞意表明を受けて8月28日にツイッターで「大統領就任後初めて会った世界の指導者の1人だった。安倍首相の指導力で両国関係はより強固になった。ありがとう」と感謝のメッセージを寄せた。

日本とインドネシアは太平洋戦争後の旧植民地支配者であるオランダなどの連合軍との間で繰り広げた独立戦争に、様々な理由からインドネシアに残留した多くの旧日本兵が参加して共に戦った記憶や戦後賠償によるインフラ整備、民間企業の積極的な投資、そして官民での人とモノの交流などを経て成熟して良好な2国間関係が続いている。

1974年1月のマラリ事件(田中暴動=インドネシア進出日本企業が華人系財閥やスハルト大統領側近と癒着してビジネスを展開しているとしてインドネシア訪問中の田中角栄首相へのデモが発生)、2015年のジャカルタ~バンドン高速鉄道受注問題(最後の土壇場で最有力の日本を退けて中国が受注)、2020年3月のインドネシア国内でのインドネシア人のコロナウイルス初感染(感染源はマレーシア在住の日本人と指摘された)などで一時的に関係悪化が危ぶまれる事案もあったが、両国政府取りも直さず両国国民の努力でそれも乗り越え、現在にいたるまで信頼に基づいた関係が維持されているといえるだろう。

▲写真 田中角栄氏 出典:内閣官房内閣広報室

■ インドネシア有数の知日派記者のコラム

インドネシアの主要英字紙「ジャカルタ・ポスト」は9月2日、シニアエディター、コルネリウス・プルバ記者のコラム記事を掲載して、これまでの安倍政権とインドネシアを総括し、同時にポスト安倍の日本との新たな関係への展望を示した。

プルバ記者は筆者が毎日新聞ジャカルタ特派員時代、朝日新聞の助手を務めていたインドネシアでは数少ない優れた日本通のシニア記者で特にインドネシア外務省、在インドネシア各国外交団、経済界に太い人脈をもつ影響力の大きな記者として活躍している。

プルバ記者の記事は「安倍晋三、ジャカルタの地下鉄からグローバルな軍事的野心まで」との見出しで安倍政権の東南アジア、特にインドネシア外交を検証するところからはじまっている。

後述するが見出しの「軍事的野心」というのは安倍首相の憲法改正による自衛隊の地位の見直しとか集団的自衛権の解釈変更、敵地先制攻撃の可能性などという「軍事力拡大志向」を批判する言葉ではない。むしろそういう意図とは逆のインドネシア・日本関係を安全保障の分野で展望したものであることを先ず付記しておく。

■ 限られた日本人脈の大統領

安倍首相の辞意表明に感謝と労いのメッセージを出したジョコ・ウィドド大統領だが、ポスト安倍で現在名前が挙がっている自民党幹部の誰一人とも個人的関係がほとんどないのが実状だ。ジョコ・ウィドド大統領の日本人脈は安倍首相を除けば日本インドネシア協会の重鎮である福田康夫元首相ら数人に限定されている。

▲写真 ポスト安倍の1人、菅官房長官 出典:内閣官房内閣広報室

日本の経済界でもジョコ・ウィドド大統領が目玉政策としてぶち上げた首都移転計画への投資を表明したソフトバンクの孫正義会長など数は少なく、パイプは太くない。

こうした状況についてプルバ記者は「ジョコ・ウィドド大統領は日本からの投資を流入し続けること、日本への輸出の拡大の継続に関心を寄せている」とコラムで指摘し、今後も両国経済関係のさらなる進展への期待を示している。見出しの「地下鉄」は日本の技術協力で2019年3月に同国初の地下鉄として首都ジャカルタで開業した「都市高速鉄道(MRT)」で、市民の日常の足として大歓迎され、日本の高い技術力への評価がさらに高まった事例である。

特にインドネシアで存在感が増している中国企業に比べて「日本企業は現地インドネシア人の雇用拡大に配慮し、深刻な労使関係も抱えることがなく、インドネシア国民から歓迎されている」として中国に対抗する意味でも日本の投資、企業進出がインドネシアにとって歓迎すべき状況にあり、さらなる緊密化が求められているとプルバ記者はコラムで強調する。

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