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「土下座像は国際儀礼上、許されない」菅会見は“ダメ対応”の典型 新政権は韓国とこう付き合うべき - 黒田 勝弘

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安倍辞任に“戦勝ムード”韓国のホンネ「“極右反韓”から“3無しのリーダー”へ」 から続く

【画像】ソウル中心部にある大人気の“旭日旗”居酒屋

 史上最悪といわれる日韓関係は明るい兆しが見えない中、安倍首相が辞任することになった。新政権は、この日韓関係をどのように立て直せば良いのか。40年にわたって在韓記者として取材を続け、この夏に「反日vs.反韓 対立激化の深層」(角川新書)を上梓した黒田勝弘氏(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)に聞いた。

◆◆◆

本当はみんな日本が気になって……

――日韓関係が最も冷え込んだのは昨年(2019年)夏でした。それから1年以上が経過しましたが、関係改善は実現するのでしょうか?

 安倍首相が辞任を表明したことで、前編で紹介した通り、韓国では日本との関係が改善するのではないかという淡い期待が広がっている。この辞任を機に、韓国側も姿勢を柔軟化させ関係改善を目指すべきだという雰囲気が世論に生まれつつあります。

 しかし、日本人からすれば、昨年韓国政府が行った日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の通告や、激化した日本製品の不買運動、日本旅行のボイコットなどを思い出すと、本当に日韓関係を改善することなどあるのだろうかと疑問に思う向きもあるかもしれません。


昨年夏、韓国で激化した日本製品の不買運動(2019年7月31日) ©AFLO

 ただ40年暮らしている私から見れば、韓国の人々には相変わらずとても強い「日本への関心」というか親近感があります。

 安倍首相の辞任に至る過程でも、「安倍首相は7時間病院にこもって身体検査をした。健康状態が不安視されている」「ポスト安倍は誰々だ」「野党の合流も進んでいる」と、連日にわたって詳しく報じられていました。

 韓国にとって、日本はいわば「一大コンテンツ」。この関心の高さと情報量の違いは、日韓を比較してみるとよく分かります。日本から韓国に向けられる関心は、たとえばK-POPや韓流ドラマ、グルメ、はたまた「嫌韓」本など、どこか限定的で一部に特化したものです。

 しかし、韓国から日本への関心は真逆。多くの人に共有される形で、“薄く広く全体的に”向けられている。喫茶店や居酒屋にいても、どこからともなく「イルボン(日本)」という言葉がしょっちゅう聞こえてきます。彼らはいわば日常的に日本を話題にしている。古い言い方ですが、日本については「巨人、大鵬、卵焼き」的な国民的関心事になっているのです。

 旅行者数を見ても、昨年、日本旅行のボイコット運動が起こるまで、年間約700万人以上が韓国から日本へ旅行していました。人口が約5000万人の国ですから、実に10人に1人以上。いわば国内旅行みたいな感覚で往来していた。それだけ近い関係なのです。

 仮に、「北朝鮮と日本、どちらに親近感を感じますか」と世論調査で他人から聞かれたら、韓国人のメンツとして「北朝鮮です」と答えるでしょうが、これは建前で本音は「日本」です。大衆レベルというか、日常あるいは生活レベルでは日本の方がはるかに近しい。韓国では脱北者の経営する北風居酒屋より、旭日旗や日本の古いポスターが飾られている日本風の居酒屋の方が人気なのですから。

「同胞」と同じくらい意識される日本

――日本製品の不買運動は、いまでも続いていると報じられています。

 確かに韓国メディアではいまだに「日本のビールの輸入量がこれだけ減った」とか「日本車の売れ行き不振」などが、これ見よがしに報じられています。ただ、目立つ動きを取り上げているだけ。実際は、今でもみんな三菱のボールペンを使っていますし、任天堂のゲームは大人気です。コロナ禍もありますが、みんな日本旅行がしたくてうずうずしています。

 そもそも、韓国のメディアも「選択的不買運動」だったと総括していましたが、要するに、代替品がないものはそのまま日本製品を使っていいし、不買は目につくところだけやればいいというわけです。素朴で気楽な不買運動という感じさえしますが、もともと特定国の製品を官民挙げて政治的に大々的な不買運動を展開するなどという国は、世界のどこにもありません。韓国という国の品格を傷つけるものです。

 むしろ不買運動で明らかになったのは、日本という存在が、経済的、文化的、生活的に「いかに韓国社会に浸透し根付いていたか」ということです。

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