記事

「紅白」に「レコ大」 芸能界の〝既得権益〟が崩れる?

BLOGOS編集部

年末の風物詩だった音楽番組「NHK紅白歌合戦」と「輝く!日本レコード大賞」(TBS)が、いよいよ終焉を迎えようとしている。

まず最大の危機に陥っているのが大晦日恒例の「NHK紅白歌合戦」だ。今年で71回目を迎える、世界の放送史上でも類を見ない歴史と伝統の音楽番組であることは言うまでもない。

コロナ禍の中で会場となる東京・渋谷のNHKホールは「無観客」で開催する方向で進んでいるが、実は大きな問題となっているのは「放送様式」と「出場歌手」だ。

紅白の出場者は、理屈上は「今年の活躍」「世論の支持」、そして「番組の企画・演出」の3つを基に総合的に判断しているとのことだが、実際には「出場歌手」と、いわゆる「特別枠」を分けて人選している。

その結果、

「〝紅白の出場歌手〟として一括りにされるなら出たくないが、〝特別枠〟だったら出演してもいいという歌手は、どう考えても紅白歌合戦という基本コンセプトに反しています。NHKは本当に出て欲しい歌手に、その条件として特別枠のアメをチラつかせているのですが、理由はどうであれ紅白歌合戦のステージでは出場者を差別すべきではないと考えます。

どうしても特別枠で分けたいのであれば、百歩譲って例えば4年前のサザンオールスターズの桑田佳祐と安室奈美恵のようなコーナーにして、話題性と歌で競うような構成にすべきでしょう。

BLOGOS編集部

ここ数年は出場歌手の発表をした後、放送日直前まで五月雨式に特別枠の歌手を発表していますが、視聴率狙いの戦略だとしてもあざと過ぎます。意味のない中継も含め、演出力のなさを示しているようなものです」(音楽関係者)

歌手の意向なのか、それとも所属事務所の戦略なのかは分からないが、「出ないのがカッコいい」と言われたのは、昭和や平成初期の話。2000年代に入り、中島みゆきが「地上の星」を黒部ダムで歌って以来、松任谷由実や矢沢永吉、竹内まりやまでが〝特別な歌手〟として出演している。

もっとも、過去には、こんな逸話もある。

BLOGOS編集部

「30年前の話ですが、ベルリンの壁が崩壊した翌年の90年に初出場した長渕剛は、ベルリンからの生中継で『乾杯』など3曲を17分間に亘って歌いまくり、紅白が長渕にジャックされたと大騒動になりました。

NHKホールでそれを観ていたサブちゃん(北島三郎) が『まだ、歌っているのか』なんてボヤいたなんて逸話もあり、長渕はヒンシュクを買ったと言われています。ただ、結果はどうであれ生放送なのですから、歌手に合わせた大胆で粋な演出があってもいいと思うし、それくらいの余裕が欲しいですよね。応援合戦なんかに労力を使い過ぎるから、歌手も出るのを嫌がるんですよ」(放送関係者)

ゴネ得で新人も「特別枠」に?

BLOGOS編集部

さて、今年の紅白だが、レコード会社各社の「NHK担当者」宛に、9月1日付でNHK制作局第5ユニット(音楽・芸能)の庶務担当者から、出場歌手選考に当たって「参考になるような資料を送付して欲しい」といった内容の通達が送られてきたという。

「例年、NHKに出向いて制作担当者に売り込みや情報交換などをしていたのですが、今年は、出場させたいアーティストの資料をデータにしてエントリーしろというのです。しかも、エントリー後の対応については、(制作担当者が)聞きたいことがあったら連絡すると。

確かに新型コロナの感染対策で仕方のない部分もありますが、出場歌手の選考は紅白の根幹です。にもかかわらず、ちょっと対応が「上から目線」過ぎるのではないでしょうか。

でも、出場歌手ではない、いわゆる〝特別枠〟のアーティストに対しては、それこそ低姿勢で出演交渉するわけですから、何か納得出来ませんよね。ただ、裏返して言えば例年以上に思惑を持って対応していかないとダメだってことになります。

極端に言ったら、コロナ禍でも目立った活動をしたOfficial髭男dismとかKing Gnu、あるいは昨年は出場を辞退したあいみょんなど新人に近いアーティストなんかでも、ゴネ方次第で〝特別枠〟でもなんてことになってしまうかもしれませんね」(レコード会社の宣伝担当者)

いずれにしても紅白「歌合戦」と銘打っているものの、ここ数年は歌合戦というより一段とバラエティー色が強まっている。昨年は「東京五輪」を全面に打ち出した演出で盛り上げたが、今年の紅白は?

今年の紅白は「嵐」一色か

Getty Images

「年内でグループの活動を休止することを発表している嵐をメインに据えた内容になるようです。当然、司会も嵐になります」(週刊誌記者)

基本的には8月8日に放送した音楽特番「ライブ・エール〜今こそ音楽でエールを〜」が、新型コロナと向かい合った新しい紅白のスタイルになると言われている。

「要するに、三密回避など感染防止対策を徹底した紅白というわけです。内容については過去4年間、連続して嵐のメンバーが白組の司会を担当してきたわけですから、5年目の今年は、その流れを継承した上で〝嵐の総決算〟になると思いますね。そもそも、今年の紅白は目玉らしい目玉がないですから、嵐頼り。嵐で盛り上げていくしかないのです」(前出の放送関係者)

昨年の「第70回NHK紅白歌合戦」は、前半の第1部(7時15分〜8時55分)の視聴率が34.7%で、後半の第2部(9時〜11時45分)は37.3%(ビデオリサーチ調べ=関東地区)。前年に比較して1部は3ポイント、2部に至っては3.8ポイントものダウンとなった。

言うまでもなく、この数字は「紅白」のワースト記録である。

「これまで紅白の潜在視聴率は38〜39%と言われていたので、37%という数字には局内でも衝撃が走りました」(NHK関係者)

いまさら悔やんでも仕方がないというわけか「視聴率は気にしていない」と、やや開き直った感もある。

ちなみに、1973年6月に開館したNHKホールは来年3月から耐震工事で休館。来年は東京・有楽町の東京国際フォーラム・ホールAでの開催になるだけに、今年は改修前最後の紅白になる。それだけに「このタイミングに紅白も見直す時期に来ているのではないか」(芸能関係者)という、ある意味〝前向き〟な提言も出始めているのだが…。

日本レコード大賞、TBSが放送取りやめ?

BLOGOS編集部

一方、紅白と並んで恒例となっている「日本レコード大賞」も、ここに来て存亡の危機を迎えている。

「実は、例年は7月、遅くても8月には来るはずの審査員の専任依頼がないようなんです」(プロダクション関係者)

通常では9月から審査員の会合が始まるというのだが、今年は、その雰囲気すらない。一体、どういうことなのか?

「日本レコード大賞」は、日本作曲家協会が主催し、TBSが放送をして来たのだが、ある事情筋によると「今年はTBSが放送を拒んでいる」というのだ。

「実は、TBSは『レコ大』の放送から撤退して、その枠で、自局主導による『CDTV音楽祭』を編成したいと考えているようなのです。当然、日本作曲家協会は対応に難色を示しているのでしょうけど、このコロナ禍でヒット曲もないし、さすがに苦慮しているとは思います。それに重鎮だった服部克久さんが亡くなったことも痛いでしょうね」(音楽関係者)

確かに、ヒット曲がないことも要因として挙げられるだろうが、昨今の「アワード」と称する音楽番組は出演者が限定されるのが難題でもあった。

「TBSにしてみれば、『レコ大』をやるよりも、レギュラー化している『CDTV』のライブ音楽祭にしてしまった方が出演者も集まるし、視聴率も見込めると考えたんじゃないでしょうか。というのも、同局で7月20日に放送した『音楽の日』や、先日の『FNS歌謡祭』(フジテレビ)」など、長時間の音楽番組はキャスティング次第で数字が取れるんです。ですから、このタイミングで年末は一気に舵を切ろうと考えても不思議ではありません」(放送記者)

「昭和」、そして「平成」と受け継がれてきた芸能界の〝既得権益〟。その一角が崩れようとしているように見えてならない。

あわせて読みたい

「テレビ業界」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    枝野氏のデジタル化批判は的外れ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  2. 2

    枝野氏は共産党と組む覚悟が必要

    毒蝮三太夫

  3. 3

    靖国参拝は「韓国への迎合不要」

    深谷隆司

  4. 4

    「酷くなる」望月氏が菅政権危惧

    たかまつなな

  5. 5

    風俗に「堕ちる」女性たちの事情

    NEWSポストセブン

  6. 6

    「時代劇」半沢直樹を楽しむ方法

    大関暁夫

  7. 7

    児嶋一哉 半沢俳優陣はバケもん

    マイナビニュース

  8. 8

    半沢の元ネタ 大臣は前原誠司氏

    SmartFLASH

  9. 9

    芸能界で続く謎の自殺 ケア急げ

    渡邉裕二

  10. 10

    マスクで重症化予防説 医師解説

    中村ゆきつぐ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。