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「愛の不時着」と「梨泰院クラス」の必見シーンと現代韓国女性のイケメン像 - 吉崎エイジーニョ

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今、日本は第4次韓流ブーム真っただ中。3次ブームまでと違うのは、その渦の中に男性もいること。1年の約3分の1を韓国で過ごし、主に最新の韓国情勢や日韓比較文化論、サッカー関連の分野で活躍するライター、吉崎エイジ―ニョが韓国エンタメを通して探る、“近くて遠い”韓国の歴史と文化。連載コラム、スタート。

*   *   *

新型コロナ禍のなか、すっかり韓流ドラマにハマってしまいました。世にいう「第4次韓流ブーム」というやつです。男性もドラマにハマるという。

これまでは女性主流という印象も強かったドラマを、男性目線で語ってみます。

ただし、筆者の視点はちょっと特殊です。韓国語歴27年の書き手。コロナ前は月1回のペースで渡韓していました。言葉を解することに加え、ノンフィクションも多く書いてきたので、ストーリーの面からも少し語らせてください。※ネタバレ、お許しを。

3月上旬、新型コロナによる日本の入国規制ギリギリまで韓国で取材していました。"韓流ドラマっぽい”町中でも激烈な消毒の様子。

「愛の不時着」のリ・ジョンヒョクと「梨泰院クラス」のパク・セロイ。

言うまでもなく、ふたりは似ているでしょう。好きな女性や仲間を徹底的に大切にする。いっぽうで自分の信念を侵す敵が出てきたら、徹底的に戦う。しかもふたりとも前髪を下げています。少なくとも髪型ではカッコつけない。心の内側に強い意志を秘めた男です。

ふたりがメインで描かれたドラマが韓国で大ヒットした。そして日本でも共感を読んでいる。それはまず、現代の韓国女性が共感できる物語だからでしょう。

ドラマと同じく、女性をメインターゲットにするK-POPの作曲家にインタビューしたことがあります。TWICEの楽曲を多くプロデュースしてきたブラックアイド・ピルスンという男性作曲家ユニットです。彼女たちの代表曲「T.T」も作った人ですね。6人組の人気女性アイドルグループApinkなどにも提供しています。

「世界に進出」というイメージもあるK-POPですが、ピルスン先生は「まずは国内で売れること」を最重点に考えていると言います。

そして近頃、こういった現代韓国女性像を描くことをより考えているのだとか。

「相手をリードできる強い女性像」

「自分から先に男性に好きだと主張できる女性像」

90年代までなら「あなたが好きでたまらない」「耐えて愛する」内容がメインだったのが、今は「自分から好きだ」と言えること、リードできることが重要なのだと。

このユニットが手掛けたTWICEの他の楽曲「CHEER UP」では、サビの部分で、女の子が主導権を持つことが大事だと訴えています。

同じくTWICEの有名曲「Like OOH-AHH」の「OOH-AHH」は漢字の「優雅」の韓国語読み。「私を優雅な気持ちにさせてよ」と主張する。

またK-POPでは近年、「ガールクラッシュ(女性が憧れる女性)」がトレンドなんですが、そのトップランナー、チョンハという歌手には「すでに12時」というタイトルの楽曲を提供しています。好きな相手に「夜の12時だけど、まだ帰らないでよ」と。待つんじゃなくて自分から仕掛けるのです。

「相手への愛情の主張」という点で見ると、「愛の不時着」のユン・セリと「梨泰院クラス」のオ・スアも似ているところがあります。自分からも強く気持ちを見せながら、相手に好きと言わせる。強い。「梨泰院クラス」ではスアの方から部屋に誘うシーンがあるでしょう。あれは最たるものです。「愛の不時着」のソ・ダンが一番古いですね。何を10年も待ってんの? と……ああ、彼女は北朝鮮の人でした。

「梨泰院クラス」のチョ・イソはちょっとタイプが違う。好きだと自分から一番強く言う。でもその内容は「尽くす」というものです。それでいて「自分が相手の主導権を握る」という面もある。最先端とクラシカルの混合体です。「梨泰院クラス」では、そんなイソが最後に恋のレースでも勝ってしまう。韓国女性目線を想像するのなら、そこにも痛快さがあるのではないでしょうか。

そんな彼女らのパートナー(候補)としてふさわしいのが、「闘志を内に秘めた男」なのです。ジョンヒョクのように黙ってコーヒーを入れてくれ、アロマキャンドルのようなものを準備してくれる人。セロイに至っては「所信をもって生きる男」という軸をもっています。男にはそうあってほしいと願う。

ちなみに男性目線でいうと、個人的に一番ロスが大きいのは、「梨泰院クラス」のイソです。ラストシーンを比べてみてください。「愛の不時着」は富豪とエリートがスイスの湖畔で抱擁する。ああいう風にはなかなかなれないですよね。でも「梨泰院クラス」はその辺の芝生のうえで、イソがちょんとセロイの上に乗っているでしょ。ああ、イソがいてくれればと思う。セロイの10歳年下というのももしかして、もしかしたら手が届くかも……と希望だけは持たせてくれる。実際には大変難しいことでしょうが。

ドラマが幻想の世界で完結するのか、あるいは現実の生活と繋げようとするのか。ドラマを観る習慣が浅い男性は、後者の傾向があるのではないでしょうか。異論・意見・批判をお待ちしています。女性が主流だったドラマの世界に男性も加わる。これが第4次韓流ブームなので。

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