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「危険な政治家」から一転 辞任報道で安倍首相を絶賛するイギリスのメディア

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8月28日、安倍首相は突然辞意を表明した。世界的な経済大国日本の首相辞任に関するビッグニュースを、筆者が住むイギリスのメディアは大々的に報じた。

公共放送BBCは辞意表明の記者会見時の動画の一部を使いながらテレビ、ラジオ、ウェブサイトのBBCニュースで報道。会見はイギリス時間の昼時となったが、28日一杯、主要ニュースの1つとして伝えた。

イギリスの主要メディアの報道を見て、筆者は驚きを隠せなかった。少し前まではアジア太平洋地域の安全保障を脅かす「危険な政治家」という人物像で安倍首相を報じることが多かった論調が、がらりと変わっていたからだ。

「注意するべき政治家」から一転 好意的に報道する、英メディア

保守系高級紙「デイリー・テレグラフ」は安倍首相の功績を称賛する記事を掲載した(8月29日付)(撮影筆者)

イギリスの一般市民の間では、東日本大震災(2011年)や東京五輪の招へい・延期などのニュースとは異なり、海外の政権交代という政治ニュースであったため、特に話題に上った風はない。

しかし、イギリスメディアの報道の大きさは、「ただならないことが起きた」という印象を市民に与えたのではないかと思う。

今回の一連の報道を見て、筆者は意外な思いを抱いた。

長い間、イギリスのメディアは安倍首相を「超保守系」、「国粋主義者(ナショナリスト)」、「タカ派」といった枕詞を付けて紹介することが多く、どちらかというと「危険な思想を持つ、注意するべき政治家」という文脈が主だった。

というのも、首相は日本の平和憲法改正を公言しており、第二次世界大戦時の日本の侵略行為や英兵捕虜らを手荒く扱ったことが国民的な記憶になっているイギリスにとって、安倍氏は「軍国主義を復活させるかもしれない人物」、「アジア太平洋地域を不安定にさせる政治家」という印象が強かったのである。

靖国神社参拝や第1次安倍内閣の2007年、従軍慰安婦問題について「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述」が見当たらなかったとする答弁書を閣議決定したことも、先の戦争を擁護する警戒すべき人物というイメージを広げた。

しかし、今回、イギリスメディアの論調は大きく変わった。

保守系高級紙「デイリー・テレグラフ」(8月28日付)は長期政権を維持したこと、中国に対抗するために軍事力を強化したこと、新型コロナウイルスのために延期になってしまったものの、東京五輪を招へいできたことを高く評価した。

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