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グレタ現象の影で「消された」黒人活動家――環境保護における人種差別

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  • 相次いで発生する差別問題は、一部の公務員の問題というより、社会全体の風潮の反映である
  • 政治家などの差別的な発言を厳しく批判するマスメディアもそれは例外ではない
  • 「途上国は環境保護にあまり熱心でない」という差別的な言説が広がった責任の一端は先進国のメディアにある

 一般によく聞かれる「先進国は環境保護に熱心だが、途上国はそうではない」という言説には先進国側の思い込みという側面がある。ある黒人女性活動家に対する差別は、これを浮き彫りにしている。

白人だけの集合写真

 5月にミネソタ州で発生した白人警官による黒人暴行致死事件で高まったBlack Lives Matterのうねりは、ウィスコンシン州ケノーシャで8月23日、カリフォルニア州ロスアンゼルスで9月1日に立て続けに発生した白人警官による黒人銃殺事件で、さらに高まっている。

 ただし、こうした公権力による差別は社会全体の風潮をある程度反映したもので、警官だけがとりわけ差別的ともいえない。その象徴ともいえるのが、アメリカのAP通信が1月に掲載した写真だった。

 この写真は、世界経済フォーラム(ダボス会議)のためにスイスに集まっていた、世界各国の若い女性活動家を写したものだった。その中心にはスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんの姿があった。

 ところが、写真に写っていたのは4人だったが、実際には女性活動家は5人いた。本来、画面左端に写っていたはずのバネッサ・ナカテ氏が掲載された写真から外されていたのだ。

 23歳のバネッサ氏はアフリカの小国ウガンダ出身だ。彼女が「消された」結果、掲載された写真に残ったのは白人ばかりになった。

 これはいかにも「環境保護に熱心なのは欧米(白人)だけ」、「途上国(有色人種)は環境保護の重要性を理解していない」というイメージになった

「一つの大陸を消した」

 もちろん、どの写真を掲載するかの決定権はAP側にあるだろう。

 しかし、記者やカメラマンの要請で並んでもらった被写体に対して、この掲載された写真が無礼なこともまた確かだ。そして、今の時代、これが「差別的」と言われても文句は言えない。

 そのため、バネッサ氏本人だけでなく、他の4人からも批判の声があがったことは当然だろう。このうち、グレタさんは「全く受け入れられない」とツイートし、SNS上では彼女たちへの支持が沸き起こった。

 その結果、APは写真を5人のものに差し替え、さらには最高経営責任者が謝罪に追い込まれた。

 APはアメリカを代表する通信社で、常日頃は他のアメリカ主要メディアとともに、トランプ大統領の差別的な言動を厳しく批判する。そうであるだけに、この一件は根深い白人中心の意識を浮き彫りにしたといえる。

途上国に環境保護を求める人はいない?

 ただし、この写真が問題なのは、ただバネッサ氏個人への差別というだけではない。

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