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ワクチン接種計画・・優先順位をどうするか。2009年の新型インフルの経験(1)

 新型コロナウイルスのワクチンが開発されたときに、接種の優先順位をどうするか。また、費用は誰がもつのか。様々な議論がなされている。

 2009年に新型インフルエンザが流行したとき、厚労大臣の私がどのように対応したかを、以下に参考に掲げる。

新型インフルの場合、ワクチン接種の具体的計画については、まず費用負担は、全額自己負担となる任意接種を基本にする方針にした。これは、現行の法体系においては、そうせざるをえず、将来的には感染症法、予防接種法を改正する方向で国民負担を減らす必要があると考えた。

 最大の問題は、任意ではなく強制接種にした場合、副反応(副作用)が起こったときの責任の追及や賠償をどうするかということである。さらにその背景には、ワクチン接種に積極的な専門家と消極的な専門家の対立もある。副作用への補償も、医師やワクチンメーカーではなく、国民全体が拠出する基金で行うというのも一つの手である。

 次の問題は、ワクチン接種の優先順位を決めることである。これについては、専門家と協議を重ね、2009年8月25日の記者会見で、おおまかな方針を明らかにした。

優先接種の対象者として、まず重症化しやすい基礎疾患のある人(1000万人)、妊婦(100万人)、乳幼児(600万人)の計1700万人で、これに国産ワクチン(ちょうど1700万人分を生産する見込み)を当てる。次いで、小中校生1400万人、医療従事者100万人、高齢者(65歳以上)2700万人で、この合計が4200万人(ただし、600万人分は基礎疾患のある人と重複する)となる。1700万人と4200万人の和から、重複分の600万人を引いて5300万人となる。これがまさに、7月10日に私が大阪で示唆した5300万人という数字の根拠である。

 今回の新型コロナウイルスの場合、政府の方針によると、①コロナ患者に接する医療従事者、②高齢者と基礎疾患のある者が優先順位の上位に来る。彼らの接種費用は無料とし、経費は予備費を充てる方針である。

 また、副反応による健康被害(副作用)について訴訟が生じた場合、製薬会社が払う賠償金を政府が肩代わりする方針である。また、副作用によって死亡したり障害者になったりしたときの、医療費や障害年金を給付すことも検討しているという。

 新型コロナウイルスと新型インフルエンザの違いに配慮したものであろう。まだ時間があるので、皆でよく議論することだ。

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