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キッチン南海再出発に料理長の意気込み「味を変える気はない」

スパイスや小麦粉を焦げ目がつくまでじっくりと焙煎することで、特徴的な黒いルウが出来上がる

 大行列が話題となった本店閉店の日まで約20年間料理長を務めた中條知章氏にとって、「キッチン南海」(東京・神田神保町)のカツカレー(750円)は“わが家のカレー”だという。

【写真】煮込まれたデミグラス色のカレーがとげとげしく揚がったカツに掛かる「キッチン南海」のカツカレー

「本店の南山茂社長と縁があって、中学生の頃から掃除など店の手伝いをしていました。その頃から私にとってカレーと『キッチン南海』は身近な存在になりました」(中條氏・以下同)

 キッチン南海の歴史を振り返ると、南山氏が独学で考案した黒いカレーを看板に、1960年に飯田橋で「カレーの南海」を開業。1966年に神保町へ移転すると、学生を中心に人気を集め、行列の絶えない店に。

 その後メニューに洋食を加えたことで、店名を「キッチン南海」に改称。今年6月26日、店が入るビルの老朽化で60年の歴史に幕を下ろしたが、20年以上料理長を務めた中條知章氏が味と看板を引き継ぎ、7月29日に同じ神保町で新店をオープンした。

 料理長含めた2名のシェフは本店でも腕を振るっていたベテランだ。

「味が変わらないか心配していた常連さんも、私の顔を見てホッとしているようです(笑い)」

 中條氏は20歳を過ぎた頃に入社し、洗い場を4年務めた後、揚場を担当、10年ほどで料理長に就任した。ちょうどその頃、神田はカレー激戦区として注目を浴びるようになったが、中條氏は「キッチン南海」に勤めて30年以上、変わらずに黙々とカレーを作り続けた。そして、カレー店がひしめく神保町で行列の絶えない人気店になっていった。

 外食でカツカレーを選ぶこともしばしばで、休日明けの月曜には無性に「南海」のカツカレーが食べたくなるというから筋金入りだ。

「このカツカレーが大好きなんです。ビルの老朽化で本店が閉じて、ここが開店するまで約1か月あったのですが、その間、ここのカツカレーが食べたくて食べたくて仕方ありませんでした(笑い)」

 最後ののれん分けとなったこの店で目指すことは、たったひとつだ。

「変わらない味だね、と言われるのがいちばん嬉しいです。だから、これからも味を変える気はないし、変えたくない。それが本店と変わらず通い詰めてくれているお客さんたちの願いであり、私の覚悟です」

『キッチン南海』

住所:東京都千代田区神田神保町1-39-8

営業時間:月~土 11時15分~15時、17時~19時30分

休:日・祝

撮影■内海裕之

※週刊ポスト2020年9月11日号

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