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「経済的弱者はさらに弱者へと転落する」GAFAが牛耳る“コロナ後の世界”の暗すぎる未来 スコット・ギャロウェイ教授に聞く - 「文藝春秋」編集部

 新型コロナの感染拡大が止まらない。全世界の感染者は2500万人、死者は85万人を超えている(9月2日現在)。

 2020年4~6月期のGDP伸び率が7月末に相次いで発表されたが、コロナの影響を大きく受け、アメリカが年率換算でマイナス32.9%、EUがマイナス40.3%、日本がマイナス26.3%となった。いずれもリーマンショック時を上回る下落幅だ。

 ところが、このような状況を後目に、7月末に発表されたGoogle、Apple、Facebook、AmazonといったIT界の巨大企業、いわゆるGAFAの決算は驚くべき数字になっている。


GAFAの株価はコロナでも高値

純利益の合計は286億ドル

 アップル、フェイスブック、アマゾンは増収増益を記録。グーグルを子会社に持つアルファベットは04年のグーグル上場以来初の減収となったが、それでも70億ドルの利益をあげた。

 アマゾンの売上高は前年同期比40%増の889億1200万ドルで、純利益は過去最高。アップルもPC、タブレットともに売上を伸ばし売上高は596億8500万ドル、フェイスブックも過去最高の利益をあげ、4社の純利益の合計は286億ドルにものぼっている。

 世界的なベストセラー「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」の著者であるニューヨーク大学スターン経営大学院のスコット・ギャロウェイ教授は「GAFAはますますパワフルになっている」と述べる。

中でも存在感を増しているアマゾン

「彼らは、莫大な資金を持っているので、他の企業が守勢に回らざるを得ない時でも攻撃的な姿勢をとることができます。ほとんどの企業は社員のレイオフや自宅待機を検討しているのに、GAFAは積極的に投資や買収を行っています。

 アマゾンは6月末に自動運転のスタートアップであるZooxの買収を発表しました。買収金額は12億ドルとも言われています。

 フェイスブックは4月にインドの大手携帯電話会社であるJioに57億ドルを投資しました。5月には動画の共有・検索サービスを手がけるGIPHYを4億ドルで買収したと報じられています」

 ギャロウェイ教授は、中でもパンデミックを経てその存在感を今まで以上に増しているのがアマゾンだと言う。そして、このことは必ず世界の未来に影を落とすことになると警告する。

「新型コロナによって、人々はこれまでスーパーで買っていた食料品もオンラインで買うようになりました。アマゾンはそこから莫大な利益を得ています。

 リモートワークを導入する会社が増えたので、ストリーミングのデータ量も増大しています。アマゾンウェブサービス(AWS)こそがその最大の受益者でしょう。

 新型コロナという地殻変動が起きたことによる変化の多くは、アマゾンへとつながっています」

「世界は彼らのやりたい放題になってしまう」

「ストリーミングサービス、食料品の宅配、サプライチェーンと、どんな業態であろうとアマゾンほどマーケットシェアを増やしている企業は他にありません。GAFAの中でもあたまひとつ抜き出ています。

 アマゾンは、いわばステロイドを注射した、ベン・ジョンソンのような企業です。最終的には、それこそ“軍需産業”などすべての分野に手を出すことになるかもしれません。

 こうして、経済活動のかなりの部分がGAFAに集中することはよくないことです。ここまで市場を独占されると競争原理が機能しません。 

 さらにGAFAはロビー活動にも熱心ですから、彼らにますます有利になるよう、政治が動きます。わたしは独占禁止法をもっと強化する必要があると思います。そうしないと世界は彼らのやりたい放題になってしまう」

 そして、肥大するGAFAがもたらす歪みはすでに株価に表れていると指摘する。

コロナ後、その他の企業は“間引かれる”

「コロナ後の経済はどうなるのでしょうか。おそらく、すぐに回復するでしょう。回復するどころか前よりもパワフルになると思います。ただし、全体の70%、80%は以前よりも弱体化します。つまり格差がさらに広がります。どのカテゴリーでも、利益を得られるのは2、3の企業だけで、その他の企業は“間引かれる”ということです。

 そうした経済社会の頂点に立つのがGAFAです。

 株式市場もおそらく上向くでしょう。というのも今の市場は、トップ10%の企業の経済的繁栄を反映しているからです。トップ10%の株価が全体の80%を占めています。

 ですからNASDAQが実体経済の指標であると思うのは危険です。それは実体経済の指標ではなく、裕福なアメリカ人の指標なのです。NASDAQはコロナを経ても5月には今年初めの水準に戻り、7月は1月よりも1000ドル以上、上昇しています。

経済的弱者はさらに弱者へと転落

 GAFAとマイクロソフトの時価総額の合計はS&P500の5分の1です。つまり株価だけを見ても世界で何が起きているかがまったくわかりません。

 コロナで失業した人や街でデモをしている人は経済的弱者です。そういう人はさらに弱者へと転落します。犠牲者と言ってもいい。

 しかし、彼らの存在は株価には反映されないのです。株価は弱者にとってはまったく意味がありません」

 さらに、膨張を続けるGAFAが殊勝にもコロナ禍で見せた「贖罪」の意味、ザッカーバーグという存在がはらむ危険性、拡大し続ける経済的格差とコロナ禍の「不都合な真実」などについてもギャロウェイ教授が詳細に語った独占インタビュー「コロナ禍でGAFAだけが焼け太る」は「文藝春秋」9月号、「文藝春秋digital」に掲載されている。

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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年9月号)

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