記事

コロナ新薬開発現場で異変 試験用のサルが不足で争奪戦に

サルの争奪戦に

 新型コロナウイルス特効薬が待たれる中、新薬開発の現場で、ある異変が起きている。試験用のサルが不足しているのだ。業界紙記者が語る。

「最先端のがん治療薬など複雑な薬、感染症治療薬・ワクチンは、臨床試験前にヒトと同じ霊長類であるサルでの試験が必要です。近年はバイオベンチャーの参入が相次いでおり、試験用サルの需要が高まる半面、供給が追いついていません」

 そもそも、どんなサルが、どのような実験に使われているのか。

「小型で扱いやすく繁殖させやすいなどの理由からアカゲザルやカニクイザルが使われます。この2種は100年近く前から使われており、過去の試験データと比較しやすいメリットがあります」(同前)

 他にも動物試験にはマウスやウサギ、ブタなどが使われるが、がん治療薬などヒトの生体分子にピンポイントで作用する薬剤の効能・安全性を確かめるには、ヒトに近いサルでなければ十分なデータが得られないという。

 試験用サルは「1匹あたり30万~50万円で取引される」(日本実験動物協会広報)というが、どんな調達ルートがあるのか。

「日本では繁殖されておらず、輸入に依存しています。主な原産国は中国、カンボジアなど。製薬会社が動物試験を委託する会社があり、そこが輸入されたサルを購入、飼育しています。現在のサル不足には、最大の供給国・中国が輸出を絞っているという側面がある。中国国内で創薬などの科学研究が盛んになり、サルの自国消費が増えたことが理由のようです」(同前)

 新型コロナ治療薬として承認されたレムデシビルは、承認前、米国でアカゲザルを用いた実験が行なわれていた。日本でも、滋賀医科大学がカニクイザルで新型コロナ感染症を再現する実験に成功した。

 人類と新型コロナの戦いに欠かせない試験用サル。ここでも深刻な米中対立が噴き上がっている。

※週刊ポスト2020年9月11日号

あわせて読みたい

「新型コロナウイルス」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    1ヶ月の間にミス相次ぐ 朝日新聞に批判の一方、今後に期待の声

    BLOGOS編集部

    09月16日 18:21

  2. 2

    眞子さま、一時金を辞退しても超高級マンションへ 見えてくる「金主」の存在

    NEWSポストセブン

    09月16日 09:07

  3. 3

    親ガチャ大当たりのはずが…東大女子は教室で震えてた。東大卒たちに聞いた「親ガチャ」のリアル

    キャリコネニュース

    09月16日 06:02

  4. 4

    ファミレスでマスクなしは当たり前?世間の「普通」がわからなくなった日

    田野幸伸

    09月16日 12:15

  5. 5

    ガンプラ転売屋とのバトル続く 「Hi-νガンダム」の読み方は?とクイズを出して対抗する店舗も

    キャリコネニュース

    09月16日 12:47

  6. 6

    立ち位置を変える中国 共産党の本質へアイデンティティの回帰か

    ヒロ

    09月16日 12:06

  7. 7

    【会見全文】野田聖子氏が総裁選出馬を表明「他候補者の政策に小さき者、弱き者を奮い立たせるものなかった」

    BLOGOS編集部

    09月16日 18:14

  8. 8

    一部のマスコミは、どうしても河野太郎氏を変人・奇人扱いしたいのかな

    早川忠孝

    09月16日 15:03

  9. 9

    適切な言葉遣いは、身を助ける防具にも敵を排除する武器にもなる

    シロクマ(はてなid;p_shirokuma)

    09月16日 22:45

  10. 10

    菅首相はもっと評価されていい 仕事師内閣らしい仕事ぶり

    早川忠孝

    09月16日 16:20

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。