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マスクが社会の分断を招く?

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欧米では、マスク義務化に対する反対運動が起こっているという。
反対の理由として挙げられているのは、強制されることへの反発であり、「自由」の権利の主張だ。
日本でもごく一部で反対運動は起こっているが、欧米ほど大規模ではない。

米国でマスクは“弱さと悪の象徴”? KKKや西部劇の強盗との意外な関係とは (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

米国がマスク着用派と反マスク派で激しく分断されている。カリフォルニア州オレンジ郡では、ソーシャルディスタンスを確保できない場所でのマスク着用を義務づけたところ、これに保守派が激しく反発。

(中略)

日本女子大学の馬場聡(あきら)准教授(米国文化・文学)は、前出の結城教授が指摘する「権力からの自由」のほかに、「ダブルバインド・セオリー」と「認知的整合性」という考え方で説明できると考える。

ダブルバインドとは、ここではマスクについて「効果がある」「効果はない」という、二つの反する考え方の板挟みのことだ。認知的整合性は、何かを判断する際に、自分が持ち合わせている認識をつじつま合わせに利用するもの。最初の段階を馬場准教授はこう説明する。

(中略)

もともと米国の一部の州には、公共の場で理由なくマスクを着けるのを禁じる法律がある。これは白人至上主義団体のクー・クラックス・クラン(KKK)の活動を制限するためだとされる。こうした歴史も影響してか、マスクは病院や工事現場などで使われる以外は、好ましくないものの象徴のようになった可能性がある、という。

マスク着用を義務化する国や州が増えつつあるが、なぜそうなるかといえば、「マスクは感染予防効果がある」という説を信じているからだ。

私はマスク反対派ではあるが、「マスクは感染予防効果がない」というのではなく、「マスクの感染予防効果は限定的」という立場だ。

感染するかしないかの、0か1かの判定でいえば、マスクをしていても感染リスクはあるのだから、マスクでは防げない……ということになる。
この論法でいえば、「マスクの感染予防効果はない」となる。

マスクに感染予防効果がある……と主張する専門家でも、100%予防できるといっている人はいない。
感染率を○○%に抑えられる」と、○○のところに10〜40の数字が入って、効果を数値化している。
ここで重要なのは、どんなにがんばってもマスクで防げない感染が起こること。
マスクは絶対ではないのだ。

効果の根拠とされているハムスターを使った実験が、あちこちで引用される。

マスクで飛沫感染を40%減らせる(香港大学教授) | 香港BSニュース

コロナウイルスの世界的専門家として知られる、香港大学の袁國勇(ユエン・コック・ヤング)教授が主導する最新の研究で、医療用マスクで新型コロナウイルスの飛沫感染を最大40%減らせるとの結果が発表されました。さらに、マスク着用者は感染しても、マスクを着けていなかった感染者よりも体内のウイルス量が最大10倍少なくなるとの結果も出ているとのことです。

< 研究の方法と結果は以下の通り >
1.COVID-19に感染した複数のハムスターを籠に入れる。
2.健康な複数のハムスターを別の籠に入れる。
3.1と2の籠を隣り合わせに設置し空気が流れるようにする。
4.1と2の籠の間にマスクを設置、また、マスク未設置の環境を作る。
5.7日間観察し、感染状況を比較する。

結果は以下の通りです。
・マスクなし:15匹中10匹感染(感染率66.7%)
・感染ハムスターの籠の側にマスク設置:12匹中2匹が感染(感染率16.7%)
・健康ハムスターの籠の側にマスク設置:12匹中4匹が感染(感染率33.3%)

なお、袁國勇教授は実験後に「これまでマスク効果は科学的に証明されていなかった。海外ではマスク効果に懐疑的な専門家もいたが、今回の実験でマスク着用が有効であることが証明された」と話し、「香港人の97%が外出時にマスクを着用している。

それゆえ、香港内感染は40%にとどまっており、多くの人が軽度の症状で済んでいる。しかし、最近は気温が上がったこともありマスク着用者が90%以下になっているとの報告もある。マスク着用を続けてほしい」と話しました。

この実験結果を根拠にして、マスクなしでは感染率が66.7%だったのが、マスクをすることで感染率を33.3%〜16.7%に下げることができる……としている。

しかし、この実験には盲点というか触れられていない点が2つある。

ここでいう医療用マスクとはサージカルマスクのことだと思われるが、PFE基準をクリアしているマスクでも、ハムスターが感染しているとしたら、マスクを通過した飛沫は0.1㎛よりも小さい粒子だったことになり、これは空気感染を証明していることにもなる。
※マスク性能には、BFE(約3㎛)、VFE(約1.7㎛)、PFE(約0.1㎛)と3つの基準がある。

ハムスターでもくしゃみはするが、人間のようにおしゃべりはしない。感染したハムスターが出す飛沫は、相対的に人間よりも少ないと思われるが、それでも感染している。この実験は、ごく微量でも感染は可能だと示してもいる。

この点を指摘する専門家がいないのが不思議。

もう1点は、実験期間である。
実験では「7日間観察」とあり、1週間しか実験していない。
現実の感染状況を見ればわかるように、新型コロナは1週間で収束したわけではない。1月からこっち、すでに8か月が経とうとしている。

つまり、私たちは8か月間、ウイルスにさらされ続けているのだ。
計算しやすいように、対象者を100人と設定して計算(小数点以下は四捨五入)すると……

  • 1週間後、被感染者がマスクをした場合は感染率が16.7%で、17人が感染し、未感染は83人。
  • 1週間後、未感染者がマスクをした場合は感染率が33.3%で、33人が感染し、未感染は67人。

以下、感染率が変わらないとすると……

  • 2週間後、被感染者がマスクをした場合は、未感染者83人中、14人が感染し、未感染は69人。
  • 2週間後、未感染者がマスクをした場合は、未感染者67人中、22人が感染し、未感染は45人。
  • 3週間後、被感染者がマスクをした場合は、未感染者69人中、12人が感染し、未感染は57人。
  • 3週間後、未感染者がマスクをした場合は、未感染者45人中、15人が感染し、未感染は30人。
  • 4週間後、被感染者がマスクをした場合は、未感染者57人中、10人が感染し、未感染は47人。
  • 4週間後、未感染者がマスクをした場合は、未感染者30人中、10人が感染し、未感染は20人。

……というわけで、1か月後には感染率が、
被感染者がマスクをした場合は、感染率が53%。
未感染者がマスクをした場合は、感染率が80%。

つまり、時間の経過とともに、感染者は増え続け、やがては全員が感染する。
マスクは、感染拡大のスピードを遅らせることはできても、収束までに長い時間がかかれば、結果的に感染は避けられないことになる。

「未感染者がマスクをしていれば、感染率は33.3%なので、約7割は感染しない」
というのは、嘘ではないが一種のトリックだ。
前提条件の「1週間に限って」が抜けている。
しかも、これは実験の方法から、空気感染の可能性が高い。空気感染していれば、ソーシャルディスタンシングは2メートルでは足りない

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