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コロナ感染の医療費 数十万円の立て替え負担は今も起こるか

コロナ感染でどのくらいお金がかかる?(時事通信フォト)

 新型コロナ対策としてマスクやアルコール消毒などの「予防」を実践する人は多いが、感染した場合の「医療費」まで想定している人は少ないだろう。

 感染拡大当初、ネット上には感染者を名乗る人物による「退院後、検査・治療・入院費を合わせて数十万円の請求書が病院から届いた」といった書き込みも散見された。一時的に患者が料金を立て替える必要があった、とする内容である。

 一時的とはいえ、数十万円程度を立て替える経済的負担は大きい。立て替えが必要なケースは実際に起こり得るのか。厚労省対策推進本部の担当者が語る。

「感染症指定医療機関に入院した患者は当初から全額公費負担ですが、5月までは指定医療機関以外の病院で治療・入院した人に限り、一度立て替えてもらうケースがあった。しかし、現在ではそうした事例はないと考えてよいでしょう。

 5月26日に厚労省が医療機関に対し、支払いは患者でなく自治体に求めるよう通知を出している。そのため、患者が一時的に立て替える事例はなくなっているはずです」

 感染者に取材を進めると、「むしろ退院後に医療費の出費があった」との声が多く聞かれた。4月に陽性判定を受け、現在は回復して日常生活に復帰している30代会社員・Aさんが言う。

「退院してから1か月後に、回復状況を確認するための検査があった。お金がいるとの説明はなかったので無料だと想っていたら、実際は治療費と会社に提出するための診断書も含め、計5000円ほど払いました。同室で入院していた別の患者さんも、数千円負担したと聞いています」

 コロナ治療が公費で賄われる一方、「後遺症治療」は自己負担となる。Aさんが続ける。

「4月に退院してから、いまだに嗅覚障害が少し残っており、月1回耳鼻科に通っています。診察と薬代で毎回3000円程度払っている」

 新型コロナの後遺症は味覚・嗅覚障害や呼吸器の機能障害などが報告されている。医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏の指摘だ。

「呼吸器や味覚・嗅覚だけでなく、精神的・認知機能的な障害が起こる可能性も指摘されており、イギリスの専門家集団は退院後のリハビリ方針を示すべきだとの声明を出しています。リハビリまで含めた後遺症に関する費用負担の問題も検討が必要でしょう」

 さらに今後、全額公費負担の原則が変わるかもしれない。

 新型コロナは現在、感染症法上の危険度で5段階中2番目に高い「2類相当」と位置づけられている。この分類が、医療費の公費負担の根拠となっている。

 ところが、政府は2類相当の緩和を含む見直しの検討を始めた。今後の議論次第では、公費負担の対象から外れる可能性があるため、注視する必要があるだろう。

※週刊ポスト2020年9月11日号

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