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IMFによる日本国債を大量保有する銀行への懸念

 10月9日にIMF・世銀の年次総会が都内で開幕した。本会議は12日に開催するが、その前にいろいろな会合もスタートするようである。この週の東京はまさに世界の金融のセンター街と化する。

 本会議を前にIMFは「世界経済の見通し」や「財政モニター」、「国際金融安定性報告書(GFSR)」などを発表している(IMFの日本語サイトにも要旨等がアップされている)。

 このうち「世界経済の見通し」において、今年の世界経済成長率の見通しを 3.3%と下方修正した。先進国・地域の今年の成長率をは1.3%と予測、また、新興市場および途上国・地域の成長率を5.3%に下方修正した。地域別見通しでは、米国の成長率は、今年は平均で 2.2%となる見込み。そしてユーロ圏の実質GDP は 2012年、全体でマイナスの0.4%の見込みである。日本の2012年の成長率は2.2%の見込みで、震災後の復興が徐々に終了するため、成長ペースは著しく減速するとしている。10月9日の欧米市場では、このIMFの経済見通しを受けて株式市場は下落し、外為市場ではユーロが下落した。

 日本でも、もちろん世界経済の減速による国内経済経済への影響も気になるところであるが、国際金融安定性報告書(GFSR)の中の指摘も念のため注意すべきかと思われる。IMFの日本語サイトのGFSRの要旨には以下の指摘がある。
 「ユーロ圏の危機の進行により、より安全と見なされる国、特に日米への資金の流入が起きている。このため国債金利は歴史的な低水準となっているが、第二章で指摘するように日米とも財政面の大きな課題を抱えている。米国については迫りつつある「財政の崖」と債務残高の法定上限到達、及びそれらに伴う不確実性が当面の大きなリスクである。中期的には、持続不可能な債務動向となるリスクが最大の問題である。日本については巨額の財政赤字と未曾有の債務残高が問題であり、銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが高まっている。」


 米国の「財政の崖」とは、今年末に所得税などに対する大型減税策、いわゆるブッシュ減税が期限切れとなることに加え、2011年にアメリカの債務上限が問題視された際に2013年1月からの強制的な予算削減が決まっており、この減税の期限切れと歳出の自動削減による急激な財政引き締め状態に陥ることを示す。この影響は米GDPの約4%にも達するとみられており、米議会がこの急激な財政引き締めを緩和しなければ、米景気そのものが崖っぷち状態に陥る懸念が出ているのである。

 これに対して、日本の財政に関する問題点として銀行部門と財政部門の相互依存のリスクが指摘されている。何を今更という面はあるものの、日本の銀行などが日本国債を大量に保有している現状は日本国債に取り需給面ではもちろんプラス要因であるが、その銀行にとり資産の24%を占める国債が仮に価格が大きく下落した際、銀行などにかなりの損失をもたらすおそれがあるとIMFは懸念を示している。

 2012年6月末時点での日本国債の最大の保有者は、銀行など民間預金取扱機関であり、金額で272兆172億円、全体に占める割合は35.2%となっている。

 「いずれの国についても、中期的な財政健全化の道筋を付け、これを遅滞なく実施に移すことが必要である。ここ数年の経験から学ぶべきことは、市場が信用リスクを問題にし始めるかなり前から不均衡是正に向けた対策をとらなければならないということである。」

 日本国債には現在、海外からも資金が流入している。これは積極的に日本国債を購入しているというより、比較的安全資産が限られる中にあり、ユーロ圏の信用不安などから円が買われ、それにより短期債中心に日本国債に資金が流入している。また、国内銀行も融資の伸びも限定的なことから、どうしても安全資産として国債の購入を続けざるを得ない。ここには日銀の金融緩和政策による影響もある。

 いまのところは日本国債に対して市場が信用リスクを問題にし始めるような兆しはない。だからといって今後も絶対に安心だと保証があるわけでもない。リーマン・ショックや欧州の信用不安は、何かのきっかけに「ありえない」と思われていたようなことが起こることを示している。

 日本国債についても思いがけないきっかけにより、急激に信用不安が生じる可能性は全くないとは言えない。日本の債務残高等の大きさ、政府による財政再建の遅れ等々、潜在的なリスクは存在している。たとえば、デフレ対策と称して日銀による財政ファイナンスとみなされるような政策が実施されれば、それが信用リスクを顕在化させるひとつの要因になりうることも認識しておく必要がある。IMFは信用リスクが顕在化する前に手を打つべしと指摘している。日本でも当然ながら中期的な財政健全化の道筋を付けることが必要である。

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