- 2020年08月29日 18:15
安倍首相の雇用調整助成金は効果絶大だったー首相の最後の仕事は失業者、生活困窮者を増やさないこと
雇用調整助成金の支給を年末まで延長
安倍首相が8月28日に辞意表明をされた。一夜明けても衝撃は続いている。
同日、その影に隠れて市民生活にとって、大事な発表を厚生労働省が行った。
厚生労働省は以下の記事のとおり、雇用調整助成金の支給を延長したのである。
新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響は深刻で、経済活動が再開されているなかでも、苦しい生活を強いられる市民からの相談は相変わらず続いている。
そのなかで、雇用を維持する雇用調整助成金が延長されたことは歓迎すべきことであり、また当然の措置だろう。
厚生労働省は28日、9月末に期限を迎える雇用調整助成金(雇調金)の特例措置について、年末まで延長すると発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず企業業績の回復のめどが立たないため、引き続き失業者の増加を抑え込む必要があると判断した。
特例措置では雇用維持に協力した企業への支援を一時的に充実させている。ただ、記者会見した加藤勝信厚労相は「休業者数、失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、段階的に通常制度に戻す」と語った。
雇調金は、従業員を休ませて休業手当を支給した企業を支援する制度。業績不振で人員余剰が生じた企業に従業員の解雇を回避してもらう狙いがある。
出典:雇調金特例、年末まで延長 失業者の増加抑制 厚労省 時事通信 8月28日
安倍首相の最後の仕事は失業者、生活困窮者を増やさないこと
いうまでもなく、大企業を除いて、雇用調整助成金によって、休業している従業員に休業手当が支払われている。
結論から言えば、この政策効果は絶大といっていい。
生存のためのコロナ対策ネットワークでは、本制度に対する政策提言を行いながら、生活相談、労働相談を受けてきたが、本制度の施行以後、労働者からの相談件数が激減した。
案の定、雇用調整助成金の申請件数、支給件数も日々増え続けており、以前よりもかなり使いやすい制度として改善もされていることが理解できる。
8月21日現在、累計支給決定件数は、777,633件であり、約1兆円が休業手当に支給されている。
8月以降も週あたり、6万~8万という規模で申請件数は増え続けており、経済的な影響が改めて深刻であることが理解できる。
詳細は厚生労働省「雇用調整助成金」のサイトにアクセスしてほしい。週報で丁寧な情報開示がされている。
要するに、雇用調整助成金の運用実態から見えてくることは制度に大きな需要があり、未だ多くの中小企業が制度に依存しなければ経営が困難な問題である。
制度が機能しなければ、どれだけの失業者、生活困窮者が出ていたのだろう、と想像するとゾッとする。
真夏恒例の心霊番組や怪談話よりも背筋が凍る実態だ。
このようななか、安倍首相は辞意を表明した。
安倍内閣が行ってきた政策を是々非々で検証することは大事であるし、機能している制度はより拡充しながら、「ポスト安倍」にも引き継いで行ってほしい。
今回は年末まで雇用調整助成金の支給延長を決定したが、当然、制度の需要や経済状況を見ながら、再延長も検討していくべきだろう。
いずれにしても、安倍首相には雇用調整助成金など政策効果が大きい介入を続けて欲しかったし、在任中の最後の政策としては、これまで同様、失業者や生活困窮者の増加を最大限食い止めるというミッションを遂行してほしい。
※Yahoo!ニュースからの転載