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韓流ドラマに劣勢な日本のドラマを復活するか?

スポンタ中村[ブロガー]

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韓流ドラマ、NETFLIX「李泰院クラス」「愛の不時着」が絶賛されている。

一方、日本のドラマ。最高視聴率を誇るのはTBSの「半沢直樹」だが、高視聴率なのに、感想は「賛否両論」である。曰く、歌舞伎役者たちの「顔芸大会」、「(副頭取は出世競争で負けた人のポジション。誰が聴いているか分からない居酒屋で仕事の話をする、情報システムの脆弱性とか)ビジネスシーンとしてありえない」とか。

日本の視聴者たちは、海外からやってくる様々なドラマに価値観を混乱させ、「何がおもしろくて・何がつまらないか」を判断できなくなってしまった。ドラマに関して、視聴者の参考になるオピニオンリーダー、パワーユーザーがいない。結果、放送局の宣伝が鵜呑みにされ、主演者により視聴率が決定する。

これでは、日本のドラマの品質はますます低下する。

かつての日本にすばらしいドラマがなかった訳ではない。向田邦子・倉本聰脚本、木下恵介演出のドラマを思い浮かべる人もいるだろう。だが、それらは「昭和なドラマ」であって、令和な今、ノスタルジー・レトロスペクティブではなく「価値ある作品」といえるだろうか。

[参考]韓流BTS「パクリ疑惑」はフランスの写真家だけではない

「昭和なドラマ」は、日本伝統の「もののあわれ(無常)」を踏襲していた。だが、令和な私たちは、もはやそのような作品に満足できないと、私は考える。日本人が四季を愛でる。俳句に季語が重要なのは「無常の芸術観」である。たとえば、「平家物語」が描くのは「奢れる平家も久しからず」の無常。だが、令和な私たちは、「無常を愛でる」ためにドラマを観ない。

ハリウッドや韓流の刺激の強いドラマに馴染んでしまった私たちは、「対立・対決」のドラマを求めている。令和な日本人は、「無常の平家物語」ではなく「源平合戦の平家物語」を観たがる。もしくは、作品全編は「対決」だが、ラストシーンのみ「無常感」が漂う。そんな作品。

だが、制作者たちは、令和の観客が求める「対立・対決」ではなく、「運命・宿命」とは名ばかりの〈設定〉を尊ぶドラマたちが量産されている。日本人の特徴は「忖度(相手も思いやる心・対立を避ける)」である。結果、ドラマづくりにおいても、制作者たちは、「人対人」の対立を止め、「人対制度・組織」の対立にする。だが、それは〈設定〉であり、ドラマ(人対人のコミュニケーション)ではない。

日本のドラマが、「(韓流ドラマより)色あせて見える」のは、物語が〈設定〉によって進行していくから。主人公や登場人物は仲間ばかり。これではドラマは生まれない。篠原涼子主演の「ハケンの品格」にしても、ヒロインとハケン否定派の社長(伊東四朗)が直接対決しない。ストーリーは、「社員たちが解決できない問題」をスーパー・ハケンたるヒロインが解決するプロセス。ヒロインが直面するのは、「社員たちが抱えた難題(出来事)」。「人対人」でなければ、ドラマではない。〈設定〉である。

日本の芸術の本質は「無常」だが、西欧の芸術の起源は「(神々の)怨憎」である。だが、令和時代。文化的な差異はボーダーレス化により霧消している。

日本人も、「人間の無常を愛でる」のではなく、刺激の強い「対決のドラマ」に魅力を感じるようになってきた。ならば、令和のドラマ制作者たちは、「刺激度」を把握しながら、企画・制作していくべきである。

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