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警察官ら50人以上が感染の警視庁 衝撃の「コロナマニュアル」の中身 - 「週刊文春」編集部

 テレワークなどアフターコロナの「新しい生活様式」が各方面で求められるなか、首都の治安を担う巨大組織も無縁ではいられない。

 警視庁は8月21日、「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を公表。コロナと捜査の関係を突き詰め、微に入り細を穿つ内容となっており、その衝撃が東京都を越えて全国の警察当局に広がっている。


歌舞伎町のホストクラブに防護服姿で入る捜査員

 警視庁担当記者の話。

「警視庁は4月から感染者が発生し、8月20日までに警察官ら53人が感染。赤坂署では70人以上の濃厚接触者が自宅待機になるなど業務が大混乱に陥ったこともあり、コロナ対策にかなり真剣に取り組んできました。ガイドラインはいわばその集大成ですが、想像以上に捜査に抜本的な変革を迫る内容だったため、現場は騒然となっています」

〈警察職員は、感染リスクが極めて高い職種の1つである〉

 のっけからこう宣言するガイドライン。確かに容疑者の逮捕時はもちろん、酔っ払いの保護やケンカの仲裁など“濃厚接触”の機会は多い。新基準では飲酒運転の取り締まりの際に、口元に顔を近づけて酒の臭いを確認するのはやめ、アルコール感知器の使用を徹底する。マスクについては着用を基本としながらも、白バイ隊員は乗車中を免除。その理由は「マスクが上にずれて目を塞いでしまう危険性がある」からだ。ご丁寧にも警笛を吹く場合は外してよいことまでわざわざ明記。警笛の上にマスクを被せる真面目な警察官が出ることを懸念したのか……。

取り調べの録音・録画導入以上の“改革”?

 留置施設も様変わりしそうだ。相部屋は極力避け、留置者には毎日の検温とマスクも義務付ける。

「物議を醸しそうなのは捜査に関わる部分です。聞き込み捜査はインターホン越しを推奨。さすがに容疑者の取り調べは対面ですが、参考人についてはなんと電話が基本になりました。室内での取り調べや建物の捜索にしても、容疑者の逃走に注意しながら換気のために窓を開けるという調子ですから、取り調べの録音・録画導入以上の“改革”かもしれません」(同前)

 ガイドラインでは搬送中の事故の当事者に救急車内で10分間、事情聴取をしただけで警察官がコロナに感染したとみられる事例にも触れられており、警視庁にとってコロナ対策が喫緊の課題であったことも窺える。

 捜査関係者は「8月13日、ホストの恐喝容疑を裏付けるため歌舞伎町のホストクラブを家宅捜索した際、防護服で突入したが、これもガイドラインに沿ったもの。だいぶ捜査の風景も変わりそうで、慣れるまで大変だ」と不安がる。

 アプリを使い、ビデオ通話で取り調べ――という日が来るのも、案外遠くはないかもしれない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年9月3日号)

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