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【全文】安倍晋三首相が辞意を表明 約1時間の記者会見で何を語ったのか【質疑応答】

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AP

安倍晋三首相は28日夕、首相官邸で記者会見を開き、辞意を表明した。

会見では辞任の理由として、持病である潰瘍性大腸炎の再発が8月中頃に確認されたことを説明。「病気と治療を抱え、体力が万全じゃないなかで、大切な政治判断を誤ること、結果を出さないことがあってはならない」と説明した。

2021年9月末まで自民党総裁3期目の任期が残るなかでの辞任となる。

会見は約1時間。約12分間の冒頭挨拶で辞意を表明した。質疑応答ではメディアやフリーランスの記者約20名から、辞意に至るまでの経緯や後任の人選についてのほか、外交問題や経済政策、新型コロナウイルス対策に関する成果などについての質問が飛んだ。

冒頭挨拶 全文

共同通信社

猛暑が続く中、国民の皆さまにはコロナウイルス対策、そして熱中症対策、ダブルの対策に万全を期していただいておりますこと、国や地方自治体から様々な要請に対してご協力いただいておりますこと、心から感謝申し上げます。コロナウイルス対策につきましては、正体不明の敵と悪戦苦闘する中、少しでも感染を抑え、極力重症化を防ぎ、そして国民の命を守るため、その時々の危険の中で最善の努力を重ねてきたつもりであります。それでも残念ながら多くの方達が新型コロナウイルスにより、命を落とされました。お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。今この瞬間も、患者の治療に全力を尽くして下さっている医療従事者の皆さまにも重ねて御礼申し上げます。

本日、夏から秋、そして冬の到来を見据えた今後のコロナ対策を決定いたしました。この半年で多くのことがわかってきました三密を徹底的に回避すると言った予防策により、社会経済活動との両立は十分に可能であります。レムデシビルなど、症状によった治療法も進歩し、いま40代以下の若い世代の致死率は0.1%を下回ります。

他方、お亡くなりになった方の半分以上は80代以上の世代です。重傷化リスクが高いのは高齢者や基礎疾患のある方々であり、ひとりでも多くの命を守るためには、こうした皆さんへの対策が最大の鍵となります。冬に向けてはコロナに加え、インフルエンザなどの流行で、発熱患者の増加が予想されます。

医療の負担軽減のため、重傷化リスクの高い方々に重点を置いた対策へ今から転換する必要があります。まずは検査能力を抜本的に拡充することです。冬までにインフルエンザとの同時検査が可能となるよう、1日20万件の検査体制を目指します。特に重傷化リスクの高い方がおられる高齢者施設や病院では地域の感染状況などを考慮し、職員の皆さんに対して、定期的に一斉検査を行うようにし、高齢者や基礎疾患のある方への集団感染を防止します。医療支援も高齢者の方々など、重傷化リスクの高い方々に重点化する予定です。新型コロナウイルスについては、感染症法上、結核やSARSMARSといった二類感染症以上の扱いをして参りました。

これまでの知見を踏まえ、今後は、政令改正を含め、運用を見直します。軽症者や無症状者は宿泊施設や自宅での療養を徹底し保健所や医療機関の負担軽減を図って参ります。コロナ患者を受け入れている医療機関、大学病院などでは、大幅な減収となっており、国民のために日夜ご尽力をいただいているにもかかわらず、大変な経営上のご苦労をおかけしております。経営上の懸念を払拭する万全の支援を行います。インフルエンザ流行期にも十分な医療提供体制を必ず確保します。以上の対策について順次予備費によって措置をおこない、ただちに実行に移して参ります。

コロナ対策と並んで一時の空白も許されないのが、我が国を取り巻く、厳しい安全保障環境への対応であります。北朝鮮は弾道ミサイル能力を大きく向上させています。これに対し迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか。一昨日の国家安全保障会議では現下の厳しい安全保障環境を踏まえ、ミサイル措置に関する、安全保障政策の新たな方針を協議しました。今後速やかに与党調整に入り、その具体化を進めます。

以上2つのことを国民の皆さまにご報告させていただいたうえで、私自身の健康上の問題についてお話をさせていただきたいと思います。

13年前、私の持病である、潰瘍性大腸炎が悪化をし、わずか1年で突然総理の職を辞することとなり、国民の皆さまには大変なご迷惑をおかけいたしました。

その後幸い、新しい薬が効いて、体調は万全となり、そして国民の皆さまからご支持をいただき、ふたたび、総理大臣の重責を担うこととなりました。この8年近くの間しっかりと持病をコントロールしながら、なんら支障なく総理大臣の仕事に毎日、日々、全力投球することができました。

しかし、本年6月の定期検診で再発の兆候が見られると指摘を受けました。その後も薬を使いながら全力で職務にあたってまいりましたが、先月中頃から体調に異変が生じ、体力をかなり消耗する状況となりました。そして8月上旬には潰瘍性大腸炎の再発が確認されました。今後の治療として、現在の薬に加えまして、さらに新しい薬の投与を行うことといたしました。今週初めの再検診においては、投薬の効果があるということは確認されたものの、この投薬はある程度継続的な処方が必要であり、予断は許しません。

政治においては、最も重要なことは結果を出すことである。私は政権発足以来、そう申し上げ、結果を出すために全身全霊を傾けて参りました。病気と、治療を抱え、体力が万全じゃないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること。結果を出せないということがあってはなりません。国民の皆さまの負託に自信をもって応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断しました。総理大臣の職を辞することといたします。

現下の最大の課題であるコロナ対応に障害が生じるようなことはできる限り避けなければならない。この1ヶ月程度その一心でありました。悩みに悩みましたがこの足元に置いて、7月以降の感染拡大が減少傾向へと転じたこと、そして、冬を見据えて実施すべき、対応策を取りまとめることができたことから、新体制に移行するのであれば、このタイミングしかないと判断いたしました。

この7年8ヶ月、様々な課題にチャレンジしてまいりました。残された課題は残念ながら多々ありますが、同時に様々な課題に挑戦するなかで、達成できたこと、実践できたこともあります。すべては国政選挙のために、力強い信任を与えてくださった、背中を押していただいた国民の皆さまのおかげであります。本当にありがとうございました。

そうしたご支援をいただいたにもかかわらず、任期をあと1年残し、ほかの様々な政策が実践途上にあるなか、コロナ禍のなか、職を辞することになったことについて、国民の皆さまに心より、心よりお詫び申し上げます。

拉致問題をこの手で解決できなかったことは、痛恨の極みであります。ロシアとの平和条約、また憲法改正、志半ばで職を去ることは断腸の思いであります。しかし、いずれも自民党として、国民の皆さまにお約束をした政策であり、新たな強力な体制のもと、更なる政策、推進力を得て、実践に向けて進んでいくものと確信しております。もとより、次の総理が任命されるまでの間、最後までしっかりとその責任を果たしてまいります。

そして、治療によって、何とか体調を万全とし、新体制を一議員として支えてまいりたいと考えております。国民の皆さま、8年近くにわたりまして本当にありがとうございました。

質疑応答 全文

共同通信社

日本テレビ:よろしくお願いします。辞意を表明されましたけれども、今、ご説明にあったように継続的な薬の投与をしながらですね、治療を続けながら、執務にあたる、続行するといった選択肢はなかったのでしょうか。

それだけ健康状態が厳しいということなのか、今後次の総理が決まるまでは安倍総理が任にあたるということと思いますが、再び病院に通うような必要性というのがあるんでしょうか。

また、辞任を決意されたのは具体的にいつごろだったのかを教えていただきたいのと、1次政権に続いて、任期途中での辞任となります。コロナ禍にあって、政権投げだしという批判もあると思いますが、こうした批判に対してはどのように説明なさいますでしょうか。

また、政治的な空白が許されないなかで、今後の後継者の決め方ですけれども、自民党総裁選は、党員投票を行う正式な形で行われるべきとお考えなのか、それとも緊急性に鑑みて、両院議院総会とすべきという風にお考えなのか、お考えを聞かせていただきたいのと、最後に意中の後継者がいましたら、教えてください。

安倍首相:まず治療との関係ですが、先般、今まで使っている薬に合わせまして、点滴での処方となるわけですが、その新しい薬を使いまして、2回使っているんですが、2回目のときですね、検査も行ったんですが、効果は出ているということでございました。

そこでもちろん、このままですね、そうした治療を続けながらということももちろん考えるわけでありますが、そういうこともこれまでずっと考えて、6月以降ですね、ただしかし、これから9月に人事がありですね、そして、国会開会をしていくなかにおいてですね、これを継続的に間違いなくずっと良くなる保証はないなかにおいてですね、このある程度、この投薬が終了してですね、大丈夫ですとなれば別なんですが、その過程のなかにおいてですね、まさにコロナ禍のなかにおいて、政治的空白を生み出さないようにするうえにおいてはですね、このタイミングで辞任するしかないという判断をいたしました。

そして、それは先週と今週に検査を受けまして、今週の診察を受けた際に発覚したところであります。月曜日ですね。ご批判は、まさに任期途中でありますから、甘んじて受けなければならないと思っていますが、冒頭申し上げましたように、秋から冬にかけて、インフルエンザの流行に備えてですね、対策を取りまとめることができましたし、また直ちに実行に移していく目途が立った。そして、また拡大傾向から減少傾向にきたこともあり、このタイミングで判断させていただきました。総裁選、次の総裁が決まるまでの任期等々を考えるとですね、影響を与えないのはこのタイミングしかないと、そう判断をしたところでございます。

もちろんこの任にある限りですね、コロナ対策、責任をもって全力をあげていきたい。幸いにも新しい薬が効いてますので、しっかりと努めていきたいとそう思っております。そして、次のあの自民党総裁をどのように選出するかということは、もう執行部等にお任せしておりますので、私が申し上げることではないと思いますし、誰かということも私が申し上げることではないだろうと思っております。

読売新聞:先ほど総理は結果を出すことに全身全霊をあげてきたとおっしゃいましたが、歴代最長となった在任中に成し遂げたことのなかで、ご自身、これは政権のレガシーだと思われるものがありましたら、あげていただけないでしょうか。また、先ほど、憲法改正、北方領土問題、拉致問題、あげられましたが、後継の首相に期待したいこと、託したいことありましたら、合わせてお願いします。

安倍首相:まずレガシーというお尋ねですが、まさに国民の皆さまがご判断、歴史が判断していくものだと思いますが、7年8ヶ月前、政権が発足した際には、東北の復興なくして、日本の再生なし。東北の復興に全力をあげると申し上げて取り組んでまいりました。また、経済においては、働きたい人が働くことができる、働く場をつくる、それを大きな政策課題として掲げて、20年続いたデフレに3本の矢で挑み、400万人を超えるですね、雇用をつくりだすことができました。

成長の果実を活かしまして、保育の拡充、また幼児保育の無償化を行いました。高等教育の無償化も含めてですね、そして、働き方改革や一億総活躍社会に向けて、大きく一歩を踏み出すことができたと思ってます。また外交安全保障におきましては、集団的自衛権にかかる平和安全法制を制定いたしました。助け合うことができる同盟は強固なものになったと思います。米国の大統領の広島訪問がそのなかで実践できたのでございますが、こうした日米同盟を基軸として、地球儀を俯瞰する外交を展開する中において、例えばTPP、あるいは日・EUのEPA、日米の貿易交渉もそうですが、日本が中心となって自由で公正な経済圏を作り出すことができたと思っております。

これもすべて国政選挙のたびに力強い信任を与えていただいた国民の皆さまのおかげでございまして、心から感謝申し上げたいと思います。同時にいま、ご質問いただいた拉致問題、あるいは日露平和条約の問題、そして憲法改正、どれも大変大きな課題であります。歴代の政権が挑んできた課題であります。

残念ながらそれぞれ、この課題が残った、痛恨の極みではありますがどれも自由民主党として全力で取り組んでいくということをお約束している課題、政権としてだけではなくて、党としてもお約束をしている課題でございますから、次の新たな強力な体制でしっかりと取り組んでいただくことを期待しています。

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