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観光行政の発想の貧困

GoToトラベルが不評である。京都の市内を歩き、新設によって乱立した小規模ホテルというか宿泊施設を否応なく目にするたびに、自業自得という言葉を思い出す。政府はそんな業者も含め、応援に乗り出したわけだ。

コロナの問題、政府の情報収集能力が旧態依然とし、不十分極まりない。このため、いろんな問題を生じさせている。10万円の給付にしても、所得の把握さえしっかりしていれば、本当に必要な階層に重点的かつ迅速に配布できたはずなのにと思う。

現実はそうではなく、バラマキになったものだから、「どうせ増税が待っている」、「だとすればとりあえず受け取って、増税に備えよう」との発想が出てきて当然である。将来の増税にしても、本当の金持ちは所得や財産を上手に隠しているだろうから、取れるところ(すなわちサラリーマン)に大きな負担がのしかかる。

話は逸れたが、京都でも僕の行きつけの店では「臨時休業」のままの所が多い。チェーン店やぽっと出の店ではなく、ちゃんとした料理を出していた店だ。それがコロナの影響で休んでいる。思うに、こういう店こそ、政府として応援というか救済しないといけない。日本の文化そのものである。

GoToトラベルには、そういう「本来の」という発想が欠如している。「何でもいいから観光を救おう」との発想であり、結果として大手を救うだけになる。むしろ、元国鉄などの影響力が政府に残っているだろうから、そんな大手の圧力でGoToトラベルの発想に至ったのではないか。それも、とりあえず1年延期になったオリンピックの代わりとして。そう思えて仕方ない。

さらに思うのは、日本の観光行政は貧弱である。8/25の日経の大機小機「国内旅行産業 脱皮の好機」は、全国一律の、つまり何の特色もない日本の観光を嘆いていた。まさにそのとおりで、もっと多様な観光というか、地方巡り特別旅行があってもいいのではないか。

世界自然遺産、文化遺産にしても、従来型観光の延長線上でしか機能しておらず、「世界遺産」の名が泣いている。これこそ貧弱な発想そのものである。政府として、世界遺産にふさわしい位置づけ、訪問の形態をしっかり考えないといけない。

滞在型よし、地方の文化を味わう形式よし、ちゃんとしたガイドが案内してくれる形式よし、人数制限は当然よし。それなのに今の旅行は、東京観光と同じことを目指しているとしか思えない。

GoToトラベル、9月に東京発もありにしたいらしいが、コロナは東京から地方に拡散されているのは一目瞭然。GoToトラベルによる従来型観光の復興よりも、もっと優先順位の高い政策があるはず。日本のコロナ政策の指揮官はどこにいるのか。いたとして何を考えているのか。コロナを好機とし、逆転の発想で活用する気があるのか。はなはだ疑問である。

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