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【新型コロナウイルス】性風俗業は給付金の対象外に デリヘル経営者が国を提訴へ

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新型コロナウイルスの感染拡大に影響を受けた中小企業や個人事業主向けの支援事業について、性風俗関連特殊営業を対象外とするのは「職業差別」だとして、無店舗型デリバリーヘルス(デリヘル)を経営する女性が、「セックスワークにも給付金を」と国を提訴する。

女性は6月、同じ性風俗関連業者らとともに中小企業庁に出向いて陳情したものの、担当者の回答は「これまでも国の補助制度から対象外としてきた」という紋切り型のものだった。国会でも同様の押し問答が繰り返されるばかりで、司法の場に判断を委ねることにした。

※写真はイメージです

コロナ支援の対象か否か「謎の線引き」

大阪府でデリヘルを経営するFU-KENさん(仮名、30代)は、コロナ禍の風俗業界への支援を訴える「ナイト産業を守ろうの会」で活動している。代表を務めるのは、風俗専門の行政書士として働く福岡在住の行政書士・佐藤真さん(36)。陳情には、佐藤さんの他に、群馬県でラブホテル(以下、ラブホ)を経営するホテルセーラグループ社長の市東剛(61)さんも同行。3人は、書面で集めた416人分と、オンライン署名サイトで集めた533人分の署名簿も提出していた。

デリヘルとラブホは、いずれも風営法で性風俗関連特殊営業とされている。陳情に際して、2人はそれぞれ次のように訴えた。

FU-KENさん「法律を遵守して営業し、納税している事業者を差別しないでほしいという願いをお伝えしたい。同じ性風俗業でも個人事業主として働く人は対象になったが、届出している事業者は依然として対象外のまま。こうした非常時に守られないなら、反社会勢力に頼ってしまう店が現れたり、違法な店が勢力を伸ばしたりすることにもつながる。業界の健全化や従業員の安全のためにも支援が必要」

市東さん「このままでは自殺するしかないと考える経営者がたくさん出てくる。風営法に該当する業種として届出をしているラブホテルは、持続化給付金の対象外だが、逆に、実態はラブホテルでありながら届出をしていない(レジャー)ホテルは対象となっている現状がある。法律に則り経営し納税している事業者が、結果的に不利益を被っている」

性風俗関連特殊営業には、ソープランド、デリヘル、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップなどが含まれるが、FU-KENさんと市東さんは、同じ性風俗業界でも、働き方や業態の違いによって支援の有無が別れる、“謎の線引き”を問題視している。

弁護団と打ち合わせ中のFU-KENさん@安木崇 Call4提供

陳情に立ち会った衆議院議員の尾辻かな子(立憲民主党)、本多平直(同)、田村貴昭(日本共産党)の3氏も、給付対象外となっている理由を質問したが、対応した中小企業庁の担当者は「検討はしたが、判断を変えるに至っていない」「過去の政策との整合性から総合的に判断した」と答え、謎の線引き問題に触れることはなかった。

「夜の街で働く人間は国民じゃない?」

その回答は理解に苦しむものだったと、佐藤さんは振り返る。

「支援から除外される理由について具体的に尋ねても、担当者は『いろんな意見がある』と言うばかりで、まったく説明にすらなっていなかった。実は4月に、地元の福岡市で水商売の人たちが休業補償を求める署名を市議会に提出したが、あのときも行政担当者は『政府が決めたことなので』と答えて、埒があかなかった。対象外とする理由は、『国民感情が許さない』『前例にない』というのが、行政の一貫した対応です。まるで、ナイト産業で働く人たちは国民じゃないと言っているように聞こえます」

「前例にない」とはどういうことだろうか。国会での質疑を遡ると、判で押したように肩透かしな答弁が並ぶ。

梶山弘志経済産業相「災害対応も含めて一貫して公的金融支援や国の補助制度の対象としてこなかったことについては、社会通念上、公的資金による支援対象とすることに国民の理解が得られにくいといった考えのもとに、これまで一貫して国の補助制度の対象とされてこなかったことを踏襲し、(今回も)対象外としている」(5月11日の参院予算委員会、立憲民主党・石橋通宏議員の質問に対して)

梶山弘志経済産業相「風営法で定義されている性風俗関連特殊営業については、災害対応も含めて一貫して公的金融支援や国の補助制度の対象としてこなかったことを踏襲している」(5月22日の衆院経済産業委員会、立憲民主党・本多平直衆院議員の質問に対して)

安倍晋三首相「性風俗関連特殊営業等については、災害時の各種支援も含めて、過去の国などによる補助制度において対象としていなかったことなどから、今般の持続化給付金からも除外させていただいたところです」(6月8日の参院本会議、国民民主党・徳永エリ議員の質問に対して)

佐藤真さん=本人提供

佐藤さんは行政書士として、博多や繁華街・中洲の飲食店などで働く人々からの相談を受けているが、営業自粛による影響は大きく、生活保護などの申請に何度も立ち会ったという。

そんな佐藤さんは性風俗店などに勤めた経験があるが、当時は差別されているという感覚を抱いたことはなかったと語る。

「今回、持続化給付金の対象から除外されたことで、差別が急に表立ってきたように感じている。小池百合子都知事が言い出した〝夜の街〟という言葉がまさにそれだ。実はホストクラブのお客の8、9割はキャバ嬢だが、そのキャバクラのお客は昼の街の人たち。それなのに、なぜ一定の属性だけを〝夜の街〟という言葉でくくって標的にするのか? 夜の業界で働く人たちは個人的な事情から声を上げにくい、いわば社会的弱者。政治家は自らの責任を逃れるために弱い人たちを叩いているようにしか思えない」

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