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山中教授ノーベル賞受賞~「命」と「命の次」の間にある厳然たる格差

「金儲けに転用されることは、絶対に防がなくてはならない」「公的機関である京都大学が特許申請が通すことについて、『iPS細胞研究』の特許は独占させないためのもの」

通常特許とは、発明者の権利、それも主に「経済的権利」を守るための手段として使われている。しかし、この方の戦略は、自らの「経済的権利」を確保するためではなく、「経済的権利の最大化」を目指す勢力による「技術の独占」を防ぐために「特許」取得を目指すというもの。こうした発想は、将棋の「敵の打ちたいところに打て」という格言を地で行くもの。ある意味「和」の精神。

京都大学iPS細胞研究所(CiRA:サイラ)は学術研究には無償で使用を許諾し、商業目的の研究開発にも安い特許料で使用を認めている。先月18日、京都大学が保有するiPS細胞基本技術に関する特許が、日本で1件、米国で3件、新たに成立したことを発表した際も、サイラは「これらの特許4件が成立したことにより、日米両国において、iPS細胞研究や薬剤候補物質のスクリーニングなどの応用研究に、多くの企業が安心して取り組むことができる環境の構築に貢献できると考えています」とコメントしている。

治療実績が重んじられがちな医学研究で、iPS細胞の作製からわずか6年で、ノーベル賞の栄誉に輝いたのも、発明者である山中教授を中心に、こうした高邁な精神の賜物だと言える。

世界との厳しい競争にさらされる中で、「命」を預かる立場から「金儲けに転用されることを絶対に防がなくてはならない」という使命感を持って、研究にあたるノーベル賞受賞者。

これに対して、「命の次に大事なお金」を預かる立場ながら、「Winners-Take-All」という欧米流思考の浸透とともに、「金儲け」が目的化し、評価の基準となってしまった金融業界。AIJ事件もこうした歪んだ思想が生んだ悲劇である。「金儲け」が目的化し、評価の基準となってしまった今の金融業界からは、技術を「金儲け」から守るために特許申請するという発想は、まず出てこない。

「命」を預かる立場から、技術特許を「金儲け」から守ろうとする科学者がいる一方、「命の次に大切なお金」を預かる立場にいながら「金儲け」のために魂も売る人間を生み出してしまった金融業界。「命」と「命の次」の間には、残念ながら、大きな壁があるようである。

人間を救うための技術を、「金儲け」から守るために特許化して守ろうとする科学者に、ノーベル賞が贈られるのは神からのプレゼントである。

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