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道州制導入の問題点克服に向けて

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ほとんど一般的には知られていないことだと思うが、かつて野党第一党だった民進党(旧民主党と旧維新の党の合併により成立)は表向き道州制を推進する立場をとっていた

旧民主党は道州制を含む統治機構改革に後ろ向きだったが、統治機構改革を党是としていた旧維新の党と合併した際、維新の党の主張が受け入れられたのであろう。

道州制導入にあたっては必ずしも憲法改正が必要ではないという見解が有力になっていることも一因だったのだろうが、わずか3-4年前というそんなに古くない時期、自民、民進、公明、日本維新の会と主要国政政党の多くが道州制導入に推進の立場を取っていたのである。

立憲民主党と国民民主党の多数派によって結成される予定の新党の主要政策はまだ明らかになっていないが、新党の主な顔ぶれを見るとかつての民主党そのものなので、道州制を積極的に推進することはないだろう。

道州制導入を主張する人の多くが根拠として、現行の都府県廃止を想定して公務員や地方議員の削減による費用の削減を挙げている。しかしこれは道州制の主な利点ではない。経済学的な観点から言えば、公共サービス供給に関するスピルオーバー解消こそが最大の利点だ。

公共サービスに関するスピルオーバーとは、サービスの便益が供給を行った政府の行政区域を超えて発生することをいう。道州制導入の議論との関連でいえば、交通機関の発達等による人々の経済活動範囲の拡大と、それに対応する広域行政の需要という観点から、現行の都府県は手狭になっていると指摘されている。

例えば、新型コロナウイルス感染抑止対策に関しては、東京都や大阪府などの個々の都府県がバラバラに取り組むより経済圏全体で取り組む方が効果があるのは明らかだ。

関東地方や関西地方においては、「地方」と都市圏(東京大都市圏・京阪神大都市圏)とがかなり一致しており、インフラ整備や災害・治安対応など、多くの広域的行政分野について、単独の都府県よりも地方全体で取り組んだ方が効率的なのは容易に想像できるだろう。

しかしながら、道州制の導入には根強い反対論がある。そのいくつかを紹介するとともに、それらを克服するための提案を行いたい。

1.都府県の廃止について

まず、道州制の導入と都道府県制度の廃止はセットとして主張されているケースが多いが、道または州(以後、州と呼ぶことにする)の下に市町村しかないというのでは、隣接する階層間で担当する行政区域における人口および面積の差があまりに大きすぎるという批判がある。

これに対しては、私は州と市町村という二層制の地方制度に改正することは適正性を欠くとともに非現実的であり、国が財政移転を行う対象となる地方政府を限定した上で三層制に拡大する方がむしろ望ましいと考える。

基礎的な自治体である市区町村の平均人口は、平成の大合併を経てもいまだに約7万人である

しかしながら、国交省は全国を207の生活圏に分割しており(平均約60万人)、これをはるかに上回っている。それゆえに、市町村単位では生活圏レベルの行政需要に対応するのは厳しいであろう。

例えば、各県の県庁所在地周辺は複数の自治体で一つの都市圏を形成している。こうした都市圏が各都道府県に複数存在する以上、生活圏または都市圏単位で取り組むことが妥当な行政サービスに関しては、巨大な州ではどうしてもそれがおろそかになるだろう。

現状でも都道府県の出先機関として支庁や振興局などが置かれているが、管轄地域ごとに行った方が効率的な業務の一部を担当しているだけであり、それらについては知事や議会は存在しない。

また、複数の都道府県または市区町村が行政サービスの一部を共同で行うことを目的として設置される組織として、広域連合というものも存在する。これはより緩やかなEU型の組織ともいうべき自発的に設立された地方公共団体であるが、全国的に設置が広がっているとはいえない。

いずれにおいても、行政サービスの範囲が限定的であり、しかも直接的に住民のチェックを受けない存在である以上、都府県に代わるような役割を期待することは厳しいといわざるを得ない。

そうなると、①現状の都府県を残して権限を縮小するか、②都府県を廃止して、それよりは小さいレベルで市町村より大きい広域自治政府(首長・議会が公選である)を構築し、三層制の地方制度に変更することが妥当な改革案として考えられよう。

実際に、三層制以上の地方制度をとっている国としては、アメリカ・中国など面積・人口が非常に大きい国のみならず、フランス・イタリアなど日本と国土面積が大差ない国々も存在する。一方で、二層制から三層制への拡大となれば、かえって行政コストが拡大するのではとの懸念が生じよう。

これに対しては、補助金・地方交付税など税制移転を行う対象とする地方政府を限定する(たとえば、国→州のみ、国→州と広域自治政府、国→州と広域自治政府)などして、財政移転の肥大化を防ぐ工夫が不可欠となる。

2.州都への一極集中の懸念について

道州制導入への第2の懸念としては、州内の最大都市が州都になればそこへの一極集中が進むのではないかということである。現在、唯一「道州制が実現されている」北海道では、道庁所在地かつ最大都市である札幌への一極集中が進み、県単位への分割を求める動きさえ存在する

人口減少が進む一方で東京一極集中が依然として収まらない中、各地方において少なくとも一か所だけは発展する都市が存在するというのは否定すべきことではない。しかしながら、できるだけ一極集中がすすまないような制度設計をすることは重要である。

対策としては、上記のように州の下に広域自治政府を設けることのほか、州都と最大都市を分けるというのが有力な方法であろう。実際にアメリカにおいては、多くの州都が最大都市圏とは異なる地域に存在する。

カリフォルニア州の州都は最大都市のロサンゼルス市ではなくサクラメント市、テキサス州の州都はダラス市でもヒューストン市でもなくオースティン市、ニューヨーク州の州都は最大都市のニューヨーク市ではなくオールバニー市である。

州庁舎および州議会議事堂の建設ということになれば行政費用の拡大との批判を受けそうだが、一極集中を緩和するための補助金等の財政移転と、政治機能に特化した州都の建設費用とを比較し、冷静に判断することが必要であろう。

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