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  • 海老原嗣生

コロナ総括⓴「第二波は来ない」という上久保説にこれだけの疑問

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K型感染のおかげで豪州も被害は少ない・・・?

そして、Willで氏は、自論を補強する傍証として、オーストラリアの被害の少なさについても触れている。「オーストラリアは中国沿岸部の国々と関係が深いため、K型が入りやすく、日本と同じく免疫をもっている」、だから「死者数は約100人」という。ちなみに、オーストラリアはBCGも行っておらず、また白人比率も高い。にもかかわらず、死亡者が少ないことから、BCGや人種などが死亡率に関与しているのではなく、やはりK型感染がファクターとして大きいのだと主張している。

この点について、近況まで含めてしっかり確認をしておきたい。

まず、同国の感染状況を示したのが下図となる。


こちらも、米国や日本同様、3・4月の第一波と、直近の第二波からなるのがわかるだろう。

確かに上久保氏の言う通り、第一波の死者数は少なく、7月5日時点で104名でしかなかった。この数字をもって(上記抄録を載せた会見は7月27日と多少ずれはあるが)、オーストラリアの死亡者数は少ないと発言しているのは前掲の通りだ。

ところが第二波発生以後は死亡者数が急増し、8月24日現在は502名にもなっている。ちなみに感染→死亡率を第一波と第二波について以下のように簡易試算しみよう。

■感染判明→死亡までを3週間のタイムラグがあるという想定とする。

■第一波を6月13日までの感染(死亡は7月5日まで)

■第二派を6月14日~8月3日までの感染(死亡は8月24日)

この簡易試算法で算出すると、第一波の感染→死亡率は0.6%、第二波のそれは4.8%となっている。第二波の死亡率は決して低いものではなく、上久保氏のいう「オーストラリアもK型罹患による獲得免疫で防御できている」という指摘は誤りだ。

ちなみに、多くの国で第一波よりも第二波の死亡率が低い傾向が出ているが、オーストラリアは真逆となっている。この理由は、感染者の年齢内訳や医療インフラの逼迫度など様々な要素を詳細に検討しなければならないだろうが、その一つとして、「高温期は低温期よりも、症状が軽い」ことがあるのではないか。そう考えると、米国・欧州、そして日本の第二波(=夏季)が第一波(冬~春)に比べて低いく

南半球のオーストラリアは反対になることとも合点がいくだろう。逆にいうと、ウイルスの弱毒化はそれほど進んでおらず、このまま北半球でも冬が来れば、また、死亡率は上がるという不都合な未来が予想される。

本当に日本に第二波は来ていないか?

さて、最後に氏はWill誌上で日本では「(高齢者も)間違いなく免疫ができている」と明言し、ゆえに第二波は来ないというタイトルが付されていたが、この点については、前回の「年齢別死亡率」の試算を再度示しておきたい。

日本での試算も、先ほどのオーストラリア同様に、陽性判明者数と死亡者数を下記のように3週間ずらして集計してみた。

第一波/6/10までの陽性判明者(=6/30までの死亡者)

第二波/6/11~7/29までの陽性判明者(=7/1~8/17までの死亡者)

その結果が、下図のようになる。


これも前回書いたものだが、総陽性者→死亡者から死亡率を出すと、第一波は5.7%に対して、第二波は0.9%とおよそ6分の一にまで低くなっている。この数字だけを見れば、多くがK型に罹患して集団免疫を獲得したため、という説が正しいようにも見える。ただ、年齢内訳を見れば、各年代の死亡率は半減程度だということがわかるだろう。つまり、見た目、死亡率が下がっているのは、若年層の感染が増えたことによる幻惑に過ぎない。

年代別死亡率は半減でしかなく、その理由も、①治療法の確立(シクレソニドやレムでシビルなど)、②(オーストラリアの例でも示した通り)高温期の軽症化、が大きく、その他にPCR拡充による無症状者の陽性判明による希薄化などもある。決して「高齢者も間違いなく免疫ができている」などという状況ではないといえるだろう。

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