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検証アベノミクス:要は円安政策、成長戦略に問題=早川元日銀理事


[東京 25日 ロイター] - 早川英男・元日銀理事は25日、ロイターのインタビューに応じ、過去最長政権となった安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」について、要は円安で株価を上げる政策だったと総括した。政権が掲げる3本の矢のうち、成長戦略は次々と看板が掛け替わり、潜在成長率の引き上げが実現できていないことが問題との見方を示した。

一方、足元は新型コロナウイルスへの政策対応や民間金融機関の積極的な融資により、企業や家計の貯蓄が伸びていると指摘。コロナが終息、あるいはワクチンが開発されるなどすれば消費が活発化し、物価が上振れる可能性があると述べた。

早川氏は2009─13年に日銀理事。現在は東京財団政策研究所で上席研究員を務める。

<デジタル化が急務>

早川氏はアベノミクスについて、大規模な金融緩和で円安が進んだこと、それに伴い株価が上昇した点を指摘。「それ以外に取り立てて起こったことは何もなかったのではないか」と語った。

第2次安倍内閣が発足したのは2012年12月。以前から大規模な金融緩和が必要だと主張していた安倍氏の方針を市場は織り込み、民主党の野田佳彦前首相が解散を示唆した同年11月14日から株高・円安が急速に進行した。そして13年4月、実際に日銀が「異次元緩和」を打ち出すと、日経平均は一段と上昇した。

早川氏は、安倍首相は高い支持率を背景に思い切った成長戦略を実現することはなかったと指摘。経済政策運営は、支持率を保ち、安全保障政策の変更や憲法改正などを実現するための「ポリティカル・キャピタル(政治的資本)を調達する場だった」と述べた。

安倍政権は金融政策のほか、財政政策、そして成長戦略を経済政策の三本柱として掲げた。早川氏はこのうち、毎年中身が変わる成長戦略に実効性が伴わなかったことを問題視。新型コロナの影響もあり、今や日本の潜在成長率は1%割れの水準にあると語った。

早川氏は「急いでやるべきことは、デジタル化の遅れを取り戻すことだ」と強調。反対論の少ない今のうちに、実現に向けて動くべきだと語った。

<預金の伸び、物価押し上げの可能性>

一方で早川氏は、日銀がどれだけ積極的に国債を購入しても滞留していた資金が、ここにきて企業や家計に届き始めていると指摘。金融機関の積極的な貸し出しや大型の財政出動で「マネーが増えている」点に注目していることを明らかにした。

日銀によると、7月の全国の銀行預金の平均残高は前年比8.3%増の786兆1232億円。伸び率は過去最高となった。早川氏は「画期的な伸びだ」と語った。

コロナ禍により消費が制約を受ける中で貯蓄率は上がっているが、「制約が取れたら景気も良くなるかもしれないし、物価も上がるかもしれない」とした。その上で、将来的に物価が上がる兆候が出てくれば、政府の財政運営も日銀の金融政策運営も試練を迎える可能性があるとの見方を示した。

(和田崇彦、木原麗花 編集:久保信博)

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