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異変?潮目が変わった? NHKが「支持率が過去最低」を強調して安倍首相をブラジル大統領と並べて報道!

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 そして、ドイツとニュージーランドの2人の女性首相たちが新型コロナ対策で10ポイント以上支持率を上昇させたことを示すVTRでは、両リーダーのそれぞれ知的で国民に訴えかける言葉を使っていた。

(ドイツ・メルケル首相)

「第2次大戦後、これほど団結が求められる試練に直面するのは初めてだ」

(ナレーション)

「異例のテレビ演説で強い危機感を示して国民に呼びかけたドイツのメルケル首相。自身も物理学の博士号を持つ科学者として、コロナ対応の先頭に立って指揮をとってきました」

(ナレーション)

「ニュージーランドのアーダーン首相は国民に寄り添う”優しさ”を大事にしています

(ニュージーランド・アーダーン首相)

「いろいろやりながらなのでカジュアルな服装なのは許して」

(ナレーション)

「厳しい外出制限を始める直前にはSNSでライブ配信し、国民の不安や疑問に直接回答。分かりやすい言葉を使って笑顔で説明し、一緒に乗り越えようと呼びかけました」

(ニュージーランド・アーダーン首相)

「家にいて、強く、優しくあってね」

 コロナの危機にあって、国民に強い結束を呼びかけ、優しさで連帯を呼びかける他国のリーダーたち。

 それと比べると、日本の現在のリーダーの「ふがいなさ」を思わずにはいられないような映像の組み立てになっていた。

 本来はこういう危機的な状況にある時の国のリーダーとは、こうした言葉で国民をまとめるべきものだといわんばかりの報道の意図が伝わってきた。

(ナレーション)

「安倍政権はなぜ支持率を下げているのか。専門家は?」

(御厨貴・東京大学名誉教授)

「リードするところが難しかったんだと思います。安倍さんは自ら正面に出てやる指導は結局できなかった、このコロナでは。これが大きい。毎日、記者会見を受けて、あるいは記者会見を身から開いて、きょうの状況はこうだと談話を出す(ことが求められる)。安倍さんの場合はもうしばらく、ある時期からやらなくなった。やっはり国民は見ている

 実は安倍首相の記者会見での新型コロナ対策についての質疑応答が極端に少なくなっていることは、この1か月ほどの間に、他局のニュース番組や情報番組、さらにはバラエティー番組でも民放ではたびたび批判的に報道されてきた。

 ところがNHKだけはこの問題について、取り上げることがほとんどなかった。

 ニュース番組でも決して触れなかった。

 ところがこの夜、御厨名誉教授のコメントという形をとってはいるが、明確に批判的な姿勢で、新型コロナの第2波が来ていて国民が不安になっている状況下で「記者会見などで談話を出さない首相」を遠回しならが問題視する姿勢で伝えた。

 国民に対して呼びかけて結束を図ったドイツやニュージーランドのリーダーたちと対比する形だった。これは本来あるべき報道だといえるが、NHKの政治部のニュースではこのところ見られなかったニュースの組み立て方だった。

(政治部・花岡伸行)

「なぜ自らが正面に出て、リードすることができなかったのでしょう?」

(御厨貴・東京大学名誉教授)

それはやったことがないから。こんな疫病なんて初めてだから。これまでの問題は経済問題。社会保障問題。あるいは外交問題、全部目標があってそれに対する最短の道がないか探してくる。『やっている感』が続くように『やっているぞ』と課題を出しては解決する方向でやってこれた。ところがコロナだけは最終的な目標が見えないわけ。最初から。だから何をやっても批判される。結局、コロナでは『やっている感』が出せなかった

 この御厨貴・東大名誉教授のコメントは、安倍首相が打ち出す「やっている感」の政策が新型コロナに対しては歯が立たなかったと評価したに等しい。

「やっている感」を出して支持を得てきた首相なのに、コロナに関しては「やっている感」さえ出せないというのだ。

 国の舵取りをまかされている政治リーダーにとっては致命的ともいえる評価だった。

 首相としての安倍氏の能力の限界をNHKの視聴者に示した報道だった。

 NHKのニュースの中で、これほど安倍首相の姿勢を低く評価する専門家のコメントがそのまま放送されるのは久しぶりのことだった。

 おそらく第1次安倍政権の退陣の頃以来ではないか。

 なぜ、この夜、NHKのニュースの扱いが急に変わったのか。

 その理由は何か?

 考えてみれば、こうした政治ニュースで政権や首相の扱いに気を使うのは、政治の力でにらみをきかせているからだ。

 NHKの場合は国会や経営委員会などを通じた経営への介入などが恐ろしいはずだ。実際にそれは第2次政権でも「かんぽ生命」をめぐる介入に代表されるようにたびたび繰り返されてきた。

 それも盤石の「安倍一強政治」が続けばこそだ。

 ところが政権の力が弱まってくれば恐れるべき対象ではなくなってくる。

 そうした中で「一強」に綻びが生じたのではないか。

 NHKの政治部が安倍首相を見限ったのではないか。

 理由が首相本人の健康不安なのか、あるいは次の首相をめぐる動きが活発化したせいなのかは分からないが、政治リーダーとしての安倍首相の求心力が急速に低下していることだけは確かなのだろう。

 「安倍一強」とされた権力構造の中で、安倍首相に対する忖度や気遣いを露骨なほどに見せていたNHKニュース。

 それが安倍首相の連続在任記録が歴代最長になったこの夜、安倍政権が急にレームダック状態になったような扱いに転じた。

 「一強政治」の中で批判すべきことさえ批判できなかった状態の窮屈な報道から、コロナ禍でこの国の舵取りをするにふさわしいリーダー探しに目を転じる報道になっていくのであれば、それは本来あるべき政治ニュースへの健全な「変化」と言えるものかもしれない。

 とはいえまだこの日の「ニュースウォッチ9」だけでは、本当に潮目が変わったのかどうかは判然とはしない。

 政治ニュースは敏感なほど、政権への距離感が表れるものだ。

 NHKニュースの安倍政権への姿勢をめぐる潮目がこの日を境に変わったのかどうか。もう少し観察して見極めたいと思う。

※Yahoo!ニュースからの転載

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