- 2012年10月08日 22:23
公は誰のものか?
京都大学の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞することが決まりました。
山中教授は記者会見やインタビューで非常に印象に残ることをおっしゃていました。
「日本という国に支えていただいて、日の丸の教えがなければ、この素晴らしい受賞はなかったと心の底から思った。まさに日本という国が受賞した賞だと感じている」
国や友人、家族らの支援あってこその受賞だったことを強調し、
「感想を一言で表現すると感謝という言葉しかない」とも。
技術というのは、進歩そのものに素晴らしい価値があることは間違いないと思いますが、
それをどう使うかということが、人類の叡智なのではないかと感じます。
このような方であれば、その技術を社会のために本当に役立てる研究を進めてくださるのではないかと感じます。
山中教授がおっしゃったことで、僕が最も印象に残ったのは次の一節です。
「特許には、二つの意味があると思います。一般には、民間企業などが特許を取得して独占するという意味。一方、我々京大グループでは逆に技術を独占させないようにするために特許を取得している。最先端の技術を安価で様々な人が活用して発展できるようにする。民間グループが独占して、高い対価を支払わないと利用できない状態にするのを防ぐために、積極的に特許を取得している。」
これは、目から鱗が落ちる思いでした。
国を思う気持ち、社会を思う気持ち、人の生の生活を思う気持ち。
これは、例えば僕ら官僚だけが持っているものではありませんし、独占すべきものでもありません。
僕の仲間の同世代の社会起業家、運動家、山中教授のような研究者、
いや、もっと言えば、そういう特殊な能力を持つ人達だけでなく、
犬の散歩をしていてすれ違うやさしい近所の方とか、PTAで活躍するお母さんとか、
身近なところで、小さな社会を思う方はたくさんいらっしゃると思います。
もちろん民間企業の中で、真剣に社会貢献を考えておられる方にもよく出会います。
こういう思いの方が、色んなところにいることが日本の希望なんだなと、改めて感じました。