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ノーベル生理学・医学賞の山中教授から教えてもらった3つのこと

京都大学の山中教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。本当におめでとうございます。日本人として誇りに思うと共に、iPS細胞技術が、医学の進歩を通じて、これからの人類の幸せのために1日も早く実用化されることを期待しています。

当たり前のことですが、ノーベル賞は誰でも取れるものではありません。才能の上に不断の努力の積み重ね、そして運命があってこそ、選ばれるものなのだと思いますが、昨晩から報道されている山中教授のインタビューやスピーチを見ていて、僭越ながら3つのことを学ばせてもらいました。

1つは、自分には向いていないとわかったら、そこから退却する勇気です。報道によれば、山中教授は整形外科医を目指していたものの、手術の腕が悪く指導教官に「山中」ならぬ「ジャマナカ」と揶揄されていたそうです。自分が臨床医に向いていないと考えた末、臨床医の道から退却し、基礎研究に進路をスイッチした。

これは、簡単なようで勇気のある決断です。自己否定をしなければ、やっていることを辞めることはできません。自分が努力して積み重ねてきたことを自分で否定するのは辛いことですが、この決断がなければ、今も腕の立たない整形外科医だったのかもしれないのです。

2つ目は「ビジョン・アンド・ハードワーク」という考え方です。アメリカの指導教官に教えてもらった言葉ということですが、目的を定めて、それに突進するというアプローチです。努力はもちろん大切ですが、正しい努力をしなければ意味がありません。ビジョンという目標設定をしっかり行ってそこに向かって努力する。そのブレない熱意が、転機となった奈良先端科学技術大学院大での研究のチャンスをつかんだのだと思います。

そして、3つ目は周囲の人たちに感謝するという謙虚さです。真面目に謙虚に仕事をしている人には、運が巡ってきます。山中教授の能力と努力に、日々の行いから引き寄せた運が重なって、今回の受賞につながった。勝手な憶測ですが、そんな風に思えました。

人間持って生まれたものには違いがありますが、自分を見つめ直す勇気、ビジョンを定め努力を続ける姿勢、そして周囲に感謝する気持ち、は誰でも持つことができます。山中教授から、生き方のお手本を示されたような気がしました。

ノーベル賞は目的地ではなく、臨床への実用化が本当の目的地だと考えている山中教授。今回の受賞が弾みになって、さらに大きなビジョンを実現する日が来ることを願って、応援したいと思います。

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