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発熱者の診察拒否が全国で続出 患者はどうすべきか?

救急の受け入れに制限がかかるケースも(写真/AFLO)

医師が不足していると答える病院が多い

 新型コロナの影響で病院に行っても診察を拒否される──そんなケースが全国で起きている。病院側の都合で、診るのを断わられた時、患者はどうすればいいのか。

【リスト】麻酔科:153院、呼吸器内科:111院など、診療科別、医師不足がある病院数

 8月初旬、都内に住む30代女性が体調を崩した時のことだ。

「夜中に38度の熱が出たため、夫が夜間診療を受け付けている病院を探して電話をかけてくれました。でも、『発熱患者は診ない』とことごとく断わられてしまいました」

 こうした「来院拒否」が、全国の医療機関で続いている。夜間外来だけでなく、通常の診療時間内でも「発熱患者お断わり」の病院も少なくない。

 なぜこんなことが起きるのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう語る。

「外来の患者さんはすべて、PCR検査で陰性の結果が出るまでは“コロナに感染しているかもしれない”と考えて診療に当たるしかない。そのため、コロナ患者用のベッドがない、あっても少ない病院では、かかりつけ以外の患者は断わらざるを得ないのが現状です」

「この時間はダメです」

 では、都心部にある大病院ならベッド数が確保できていて、新規の患者を受け入れる余裕があるのかといえば、実態はそうではない。上医師によれば、「大病院ほど面倒を避けようと、さまざまな理由をつけて断わってくることが多い」という。

「外来患者がコロナに感染していて、結果的に院内感染が拡大してしまう可能性は否定できません。診療報酬は全国一律なので、固定費がかさむ都心の大病院は、もともと経営が苦しいうえ、医師や看護師の不足などから手術数も絞っている。そのうえコロナ患者を抱えることになれば、手術の延期などで収益が圧迫される。リスクを恐れているのです」(上医師)

 熱がなく、他の症状で病院を訪れても、診察を断わられる場合もある。感染者が急増している沖縄では、医療体制が逼迫し、外来制限などの対応を迫られる医療機関が出てきている。

 都内でも、すでに診察時間に制限を設けている病院が少なくなく、「急に胃が痛くなったので病院に行ったら、『いまの時間は、新患は受け付けていない』とにべもなく断わられてしまった」(40代男性)という人もいる。

 オンライン診療(電話診療)の推進も謳われているが、誰もが活用できるわけではない。

「いつもの高血圧の薬をもらうだけなので、かかりつけ医に電話で受診し、処方箋を出してもらおうと思ったが、『オンライン診察はやっていない』という。診察時間が制限されているし、コロナの院内感染も怖いから、病院に行かずに済めばいいのだが……」(60代男性)

 都内には約1万3000施設の病院・クリニックがあるのに対し、厚労省が公開している資料によれば、電話診療を導入しているのは約2000施設に過ぎない。

「都心」か「郊外」か

 いざという時に、来院拒否に遭ってパニックに陥らないためには事前に自分がかかる可能性のある近隣の医療機関の診療体制をチェックしておくことだろう。HP等で診療体制が公表されていることが多い。

 もちろん刻々と状況は変わるので、定期的なチェックをするとともに、“ここがダメなら、次はここに行く”といった候補を選定していく。かかりつけ医がまだ外来を受け入れているのであれば、通院時にもしもの時は他のどの病院に行けばいいか相談してみる手もあるだろう。上医師によれば、「ベッド数が多く、比較的郊外にある病院」は来院拒否をされにくい傾向があるという。

「それでも断わられ、知り合いなどのツテもないのなら、救急車を呼んで救急外来を探してもらうぐらいしか手はないかもしれない」(上医師)

 それほど、初診の患者を受け入れる病院は限られてくるのだ。病院の倒産や消滅で通院・入院ができなくなる可能性もある。

「その場合は、保健所や医師会などに紹介状を書いてもらい、他の病院に振り分けられることになります。ただし、その病院が自宅から遠いなどの不利益を被るケースは少なくない」(上医師)

 紹介状を受け取る際にはカルテや検査結果のコピーも一緒にもらえるのが一般的だが、もし渡されなかったら、患者から要求する必要がある。さらに、カルテがあっても、安心はできない。

「カルテが他の病院の医師に引き継がれれば、これまでと変わらない治療が受けられるかといえば、そうではない。実際には、かかりつけ医が、カルテには書かれていないような患者の微妙な体調変化や予兆を把握しているからです。そのため、貴重な情報が次の医師に引き継がれない恐れがある。生活習慣病や脳に関わる病気で定期的な治療を受けている人への影響は深刻です」(上医師)

 そうしたリスクを少しでも軽減するために、保健所に相談する際には次の注意点があるという。

「かかりつけ医の新たな勤務先が通える距離にあるなら、その病院をリクエストして、主治医を変えないようにする。あるいは転院先に専門医がいるかどうかをチェックし、いなければ変えてもらうよう要求したほうがよい」(上医師)

 コロナ禍は、コロナに感染していない一般の患者にも、大きな影響を及ぼしている。

※週刊ポスト2020年8月28日号

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