記事

日本の投手は大リーガーの変則投法をまねるな - 広岡達朗

エンゼルスの大谷翔平を中心に、連日放映されているテレビの大リーグ中継を見て気になることがある。大半の投手が、投げた後、軸足を右投げは一塁側に、左腕は三塁側に着地させていることだ。

たとえば大谷が8月15日に対戦したドジャースの左腕エース、カーショウは投げた後、三塁側に倒れるようなフォームだし、両軍ともほとんどの投手が軸足を反対側に着地させていた。

軸足を蹴り上げる反動を利用するこの投げ方は、いまやメジャーのトレンドになっているようだ。そんななかで、対照的にオーソドックスなフォームで投げているのがヤンキースのエース・田中将大である。

手本にするならヤンキースの田中

田中は関節の柔らかさを感じさせるオーバースローで楽に投げているように見えるし、外角に出し入れするスライダーと速球にはスピードとキレがある。そして投げ終わったら、軸足を左足の右横に下ろして素早く守備態勢に入っている。センターカメラでわかるのは、背中の縦軸がまっすぐで、体の重心が下半身にどっしりおさまっていることだ。

田中がメジャーデビューから6年連続2ケタ勝利を続けているのは、この正しい投げ方の成果といっていい。田中こそ投手のお手本なのに、なんでもアメリカのまねをする日本の投手はいま、やってはいけない変則投法に感染している。

山崎、則本、松井、桜井ら日本球界にも“感染拡大”

主なところではDeNAのクローザーだった山崎康晃、楽天のエース・則本昂大と松井裕樹、投げてから横向きになる巨人の桜井俊貴……などあげればきりがない。

山崎は昨年まで150キロ台の速球と鋭く落ちるツーシームで150セーブを記録し、2年連続最多セーブの守護神だったが、今季はクローザーから中継ぎに降格。20日現在、0勝3敗6Sで防御率5.66と不振を続けている。

山崎は好調だった昨年までも、投げ終わると勢い余って体も右足も一塁側を向いていた。若いうちはそれでも速い球や落ちる球も投げられるが、この秋には28歳になるうえに丸々と太ってきたことも急降下の引き金になったのではないか。

広島のルーキー右腕・森下暢仁にも問題がある。元東京六大学ナンバーワンだけに、きれいなオーバーハンドから伸びのいい速球を投げるが、テークバックから球を放すリリースに向かうとき首を左に傾け、上半身が一塁側に傾いている。

いまは若さに任せて投げているが、握った球と首が離れるこの投げ方を続けたら、年とともに球威が落ちて投手寿命を縮めるだろう。日本の投手がメジャーのまねをするなら、田中の投げ方を学んだほうがいい。

投球後、体が傾いたり軸足が反対側に着地することに私が反対するのは、そうなることでボールに伝わる力がロスするからだ。投球はキャッチャーに向かって投げるのだから、投手の体と力はまっすぐホームベースに向かわなければいけない。

そのためには、へその下(臍下、せいか)の一点に重心を集め、その縦軸は常に地面と直角でなければならない。そして投げ終わったときは、つま先とヒザと利き腕の肩が垂直の線上になるのが正しい投げ方だ。

ところが右投げの場合、途中で体が傾いたり軸足が一塁側に着地するということは、ボールに乗せる体の力が一塁側に逃げていることになる。

投手がこういう投げ方をするのは多くの場合、楽をしたいからだ。その結果、体重移動の途中で捕手と正対したときにボールを持っている手と頭が離れ、手投げで力のない球になる。

大谷の二刀流復活は無理

約2年ぶりにマウンドに復帰した大谷も、手術後の右ヒジが気になって無意識のうちに体が開き、腕の力だけで投げたために手術したヒジの近くをまた損傷したのではないか。大谷は二刀流の継続について、けなげに「可能性があればやりたい」と語ったが、私はこれだけケガが続くようでは、もう無理だと思う。

それにしてもなぜ、体や軸足が反対側を向く変則投法が流行するのか。コーチはそのリスクを投手と話し合ったのか。

そして何より、なんでもプロ野球のまねをする学生や子どもたちへの悪影響が心配だ。

あわせて読みたい

「プロ野球」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    枝野氏のデジタル化批判は的外れ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  2. 2

    枝野氏は共産党と組む覚悟が必要

    毒蝮三太夫

  3. 3

    風俗に「堕ちる」女性たちの事情

    NEWSポストセブン

  4. 4

    靖国参拝は「韓国への迎合不要」

    深谷隆司

  5. 5

    「酷くなる」望月氏が菅政権危惧

    たかまつなな

  6. 6

    「時代劇」半沢直樹を楽しむ方法

    大関暁夫

  7. 7

    児嶋一哉 半沢俳優陣はバケもん

    マイナビニュース

  8. 8

    芸能界で続く謎の自殺 ケア急げ

    渡邉裕二

  9. 9

    半沢の元ネタ 大臣は前原誠司氏

    SmartFLASH

  10. 10

    マスクで重症化予防説 医師解説

    中村ゆきつぐ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。