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初陣で「IR汚職」3人逮捕 新特捜部長が許した黒幕逃走 - 「週刊文春」編集部

 特捜検察の「エース中のエース」と言われ、2年10カ月もの長期にわたって東京地検特捜部長に就いていた森本宏氏(52)が、7月31日付で三重・津地検の検事正に栄転。後を継いだ新河隆志・新特捜部長(56)は就任からわずか5日目に、秋元司衆院議員(48)が収賄罪で起訴されたIR汚職事件に絡んで3人の身柄を取り、脚光を浴びている。


堅実な仕事が評価されてきた新河氏 ©共同通信社

 新河氏は茨城県出身で早大卒。1994年に検事に任官後、大阪、東京両地検で特捜部副部長を務め、前任は東京地検特別公判部長だった。その人物像について司法記者が説明する。

「森本氏が法務省での官僚経験もあるオールマイティー型だったのに対し、新河氏は捜査と公判の検察庁一筋。大阪では森友学園への国有地売却をめぐる一連の事件を担当しました。強気で豪腕な森本氏に比べ、温厚な紳士と評判で、検事がコンビを組む『立会事務官』にも慕われている。ただ、現職国会議員3人や文科省官僚、さらにカルロス・ゴーン氏などを逮捕して華々しい“戦績”を残した森本氏の後任というプレッシャーは大きいでしょう」

 そんな新河特捜部が8月4日に逮捕したのが、いずれも会社役員の佐藤文彦(50)、淡路明人(54)、宮武和寛(49)の3容疑者。今回のIR汚職事件で、贈賄側の中国企業「500ドットコム」元顧問の紺野昌彦被告(48)と仲里勝憲被告(48)に対して6~7月、秋元議員に有利な証言をするよう求め、報酬の提供を申し出たとする組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑だ。

3人逮捕の裏で大きなミスも

 しかし、この新河特捜部の華やかにみえた初陣、実は幸先のいい“勝ち戦”ではなかったという。

「今回の虚偽証言の持ちかけに背後で深く関わったとされるもう1人の“黒幕”も逮捕する予定だったのですが、まんまと逃げられてしまったのです。特捜部は7月31日にこの人物の行動確認をして所在を掴んでいたが、一時マークを解き、週明けの8月3日に逮捕状を請求。翌4日に身柄を押さえようと関係先を訪ねたところ、居場所が分からなくなっていた。現在は関係先に戻ってくるのを待っている状況で、あまりに大きなミスです」(同前)

 さらに「泣きっ面に蜂」のような出来事が。検察関係者がこうため息をつく。

「実は、逮捕された佐藤が新型コロナに感染していることが判明したのです。対面で行う取り調べが物理的にしにくくなる上、『コロナで体調が悪いから』などと言われれば、十分な取り調べ時間を確保できなくなる可能性があります」

 バトンをいきなり落とした新特捜部長。今後は水も漏らさぬ捜査ができるか。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年8月27日号)

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