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女性宮家と男子一系

 女性宮家の創設についての「論点整理」なるものを政府が発表したということだ。いわゆる「内孫」に当る内親王に限定して、結婚しても皇族でいられるようにして、皇族の絶対数を確保し、皇室の継承を安定させたい動機がある。ただし異論もあるので、慎重に国民的な議論を待つということだ。

 異論の最大のものが「女性・女系天皇の容認につながる変更は認められない」とする警戒心であるのがわかっている。男女平等の流れで、イギリス王室なども王位継承を男女で差別しなくなっているが、日本の皇室には独自の歴史があるから、男子一系に真価があるというのだ。日本にも歴史上有名な女性の天皇もいたのに変だと思って調べたら、それなりの理屈があるのだった。

 男性には男になることを決める性染色体が入っている。性を決めるだけのゴミのように小さなものだが、これは確かに男性だけにしか伝わらない。そして歴史を調べると、女性天皇は一時的な「つなぎ」の立場で即位することはあっても、事情が許せば必ず男系の皇族に天皇の座を返してきたというのだ。それはそれで嘘ではないらしい。

 こういう珍説もあるのだが、生物学的には生殖は雌が基本であることはわかっている。性染色体のXとYは、一見対等のようでも、一方は欠落のようなものだと読んだことがある。親の形質の伝承について、少なくとも女性が男性と対等以下でないことは、科学的には常識だと私は思っている。

 歴史を大事にしたいのなら、古代までさかのぼってみよう。太陽神の天照大神は女性だった。日本の国へ孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を派遣するときの「神勅」では、宝祚(あまつひつぎ)は天地とともに無窮であろうとエールを送っている。そのときの子孫繁栄に「男でないとだめよ」という禁止規定があった筈がない。まして弟のスサノオの乱行には手を焼いていた姉なのだ。

 神武天皇以下の歴代天皇についても、確実に実在したのは第33代の推古天皇以降であろうと言われている。上代の皇位継承が男子一系であった証拠は何ない。むしろ高群逸枝氏など女性史家の研究によれば、古事記や日本書紀にも、上代の母系制時代の記憶を、不自然に消去しようとした痕跡が多々見られるということだ。

 要するにこの問題は、明治時代になってから確立した「万世一系の天皇を戴く大日本帝国」という国家観と一体になっているように思われる。それに「男には男にしかない大事な遺伝子がある」と思いたい男性優位論者の願望も加わっているのかもしれない。

 男だからと肩ひじを張らず、男女がへだてなく協力できる世の中の方が住みやすい。125代も続いている皇室も、大事にしたかったら同じことだろう。そして何よりも、皇族それぞれの個人が、人として尊重されるのが望ましいと私は思っている。

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