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学校から生徒を守ることを考えなきゃ

 一時はどうなることかと思いましたが、結局のところ自民党総裁は安倍晋三に。石破の狂気に付き合わされる事態だけは避けたかっただけに、まぁ実行力に欠ける安倍晋三ならば良しとしておくべきでしょうか。でも、あの状態から復活を果たすとは意外に安倍もタフだし、将来的には石破が閣僚起用される可能性があるので何とも……

 

いじめ、警察に無断通報しないで…一貫校の校長(読売新聞)

 東京都内の私立中高一貫校で、中学時代に同級生からいじめを受けたとして、警視庁に被害届を出した高校1年の男子生徒(15)が、進級面接で学校側から相談なく警察に通報しないよう求められたことが18日、分かった。
 
 男子生徒は進級の条件として口止めされたと理解し口外しなかった。だが、高校に進級後もいじめが続き、改善は不可能だと判断し、8月に警視庁に暴行容疑で被害届を出した。
 
 男子生徒の母親によると、母親と男子生徒は1月下旬に行われた進級面接で、校長から「(学則を守るなど)誓約書に書かれている事項をふまえて、具体的に守ってもらいたいことがある」と告げられたという。
 
 その際、校長から「生徒にボイスレコーダーを持たせ、校内の人の発言を録音しない」「学校で解決されるべき問題について、学校に相談することなく、警察などへ通報しない」など4項目について守るよう求められた。その後、学校側は、校長が求めた4項目を文書にし、男子生徒側に郵送した。
 
 男子生徒は、中学1年生の頃から、同級生らに更衣室やトイレで暴行を受けるなどのいじめに遭っており、その都度、学校側に相談していたが、解決することはなかった。
 
 いじめを訴え続けたことで昨年9月頃から、学校側が「そういう態度だと進級できない」などと進路への影響を言及していた。そのため、進級面接の際、学校側が求めた4項目について、男子生徒の母親は「進級を条件に『口止め』を要求されたと理解した」と話す。

 

遺族が学校を潰そうとしている〜教諭が発言(日本テレビ系 - NNN )

 兵庫・川西市でいじめを受けていた高校生が自殺した問題で、この高校の教諭が20日の授業中に、生徒に対して「遺族は学校を潰そうとしている」などと発言していたことがわかった。
 
 関係者の話によると、2年の男子生徒が自殺した川西市内の県立高校で、生徒指導部長を務める男性教諭が20日の授業中、生徒に対して、「遺族は学校を潰そうとしている」「体育祭や修学旅行があるが、それもどうなるかわからない」「遺族には申し訳ないが、同情する気はない」といった発言をしたという。
 
 男性教諭はNNNの取材に対し、この発言をしたことを認めており、「生徒が動揺しているので、通常の学校生活に戻したいという思いで話した」と答えている。

 

 いじめに関する報道は、まだまだ続くようです。それだけに学校側も神経を尖らせているところでしょうか。もっとも今さら問題の隠蔽を計ったところで、ちょっと探られれば無尽蔵に出てくる類でもあります。むしろ問題のない学校の方が少ないと言った方が正しいかも知れませんね。あくまで自分は勉強を教えるのが仕事と割り切れるような環境ならいざ知らず、授業より学校行事が優先で勉強よりも人格形成が重んじられがちな日本の学校であるなら、こうしたいじめなどの問題に素知らぬふりは許されないところもあるでしょうか。まぁ、いじめを放置することを以て教育と考えているのではと思わせられるフシもありますが。

 少し前のエントリにも書きましたが、教師は学校を守るものです。特別に贔屓されている子でもなければ、教師が特定の生徒を守るために動くことはありません。いじめられる生徒なんて、学校から見れば何百人もいる内の一人に過ぎない、いずれは学校から出て行く存在であるのに対し、学校は唯一無二、退職するまで続く職場です。特定の生徒のために教員が動く、学校組織が動くようなことなど、むしろ「あってはならないこと」と考えられているのではないでしょうか。だからこそ、「遺族は学校を潰そうとしている」みたいな発言も平然と出てくるわけです。

 学校側が「問題児」として認定する基準と、いじめ被害者にとっての基準は全く異なります。おそらく学校の「外」にいる人間から見た「問題児」像は、いじめ被害者側から見た場合に近く、それは学校側の見ているものとは異なるものです。だから、学校側の対応が不可解にも見えてしまうように思います。でもまぁ、企業経営者が従業員より会社を守ろうとする、軍隊が国民より国家を守ろうとしたり改革論者が住民の生活より国や自治体の財政を守ろうとするのと同じです。特定の組織や枠組みの中にいる個人ではなく、組織そのものを守ろうとする、これは我々の社会においては決して珍しいことではありません。あくまで学校を守ろうとする教師の態度は、世間の理解とは裏腹に「普通」のことなのです。賛成であろうと反対であろうと、この点は理解される必要があります。

 では学校組織を守るという観点から見た「問題児」とは何でしょうか? それは問題を顕在化させる生徒です。結局のところ、暴行や傷害、窃盗や恐喝が日常茶飯事であっても、被害者が泣き寝入りしている限り問題にはならない、学校組織の安定は保たれます。ところが、被害者が泣き寝入りせず学校側に解決を訴える、あるいは警察など学校外の組織に相談するなどの行動に出れば話は別です。まさに被害者の訴えによってこそ学校の平穏は壊されてしまうわけです。ここで引用した以外にもいじめの報道は後を絶ちませんが、目立つのはいじめの「被害」生徒にまで停学などの処分が下されているケースが多いことです。なぜ被害者が罪に問われるのか? しかし、教員側からしてみれば被害を訴えた生徒こそ学校を脅かした加害者なのです。

 そう言えば中学の頃、珍しく教師からボコボコに殴られていた生徒がいました。あれは学校行事で「他所の」学校の施設を借りていたときのこと、ある生徒が「他所の」学校の花壇や鉢植えを壊し始めました。これ自体はいつものことで、校則にはうるさい学校教師も器物破損などの刑法には至って鷹揚なのか、「自分の」学校の中で行われている限りは特に問題視されてはこなかったものです。ところが、このときばかりは烈火のごとくに怒り狂った体育教師が飛んできて、花壇を壊していた生徒を人目も憚らず(他の教師が止めに入ることはありませんでした)、かつ容赦なく殴り倒したわけです。

 「自分の」学校の中で処理できる限りは、教師にとっては特に大きな問題ではないのでしょう。「自分の」学校で誰かの鉢植えが壊されたところで、被害生徒を黙らせれば済む話ですから。ところが、「他所の」学校となると話は違う、「自分の」学校だけでは処理できなくなってしまいます。これは教師にとって大問題、決して看過できないものでした。殴られている生徒はなぜ殴られているのか理解できないままノックアウトされてしまったようですが、ある意味で社会勉強だったな、と今になって思うところです。

 いじめそのもので困るのは被害者だけです。しかし、いじめが顕在化されると学校そのものが危うくなります。だから、そのいじめを訴える生徒こそ学校にとっての問題児であり、ましてや警察という「外」の組織にまで被害を届け出るとあらば、たちどころに学校の敵として扱われてしまうものなのでしょう。この結果として、冒頭に引用したような事例にも繋がっているわけです。被害者という特定の生徒ではなく学校組織を守る、そのために問題を顕在化させる生徒の押さえ込みを計る、これは教師にしてみれば至って自然な判断なのだと考えられます。

 ……で、一昔前から体罰容認論とか割と盛んです。いじめ問題がクローズアップされるようになってからは、出席停止などの厳しい措置を執る権限を教育現場に持たせるべきだとの提言も少なからず見られます。でも、どうなんでしょうか。その権力を行使するのは学校の先生です。学校を守るという目的のためには正しく権力を行使してくれるかも知れませんが、いじめ被害者を守るために新規に与えられた権限を使ってくれるかと言えば、甚だ疑問です。色々と制限の多い公立の小中学校だけではなく、その気になれば生徒を退学させることもできたはずの私立の学校でだって、結局は深刻ないじめ問題が発生しているわけですし。

 むしろ教員に体罰や出席停止などの権力行使を認めることで、より追い詰められるのは学校から嫌われるタイプの生徒であり、それは必ずしもいじめの加害者ではないように思います。むしろ、いじめ被害を訴える生徒=事を荒立てる生徒を学校から排除するために権力が用いられることもあるでしょう。機能しているかはさておき、内部告発を行った労働者を保護する法律があります。企業の不正を告発した社員はしばしば左遷されたり解雇されたり減給されたりと不利益な取り扱いを受けるもの、そのような取り扱いから通報者を保護する法律が、一応は存在するわけです。これの学校バージョンが必要だな、と私は考えます。いじめの問題を告発した生徒が学校から不利益な取り扱いを受けないように、学校から生徒を守るためのルール作りも必要なのではないでしょうか。

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