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コロナ禍に加えて台風シーズンで見直したいビジネス・セオリー/「在庫」の価値を見直す

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台風やハリケーンのシーズンが到来した。コロナ禍で手一杯なのに、この上大規模な自然災害が起こればどう対処すればよいのか、多くの自治体が頭を悩ませている。しかも米国では、今年は名前のつく熱帯暴風雨が16個発生し、うち8つがハリケーンになり*、少なくとも1つは大型ハリケーンに発達して米国を直撃する可能性が高いとの予測も出ている。

※大西洋海域の熱帯低気圧のうち、熱帯暴風雨(最大風速 39mph 以上)又はそれ以上に発達したものについて、米国国立ハリケーン・センターによりアルファベット順の名前が付けられる。その中でも地上での平均最大風速が 64 ノット(74mph, 119km/h)以上に発達したものがハリケーンと呼ばれる。

ハリケーン・サンディー(2012年10月)の惨禍が記憶に新しい米ニュージャージー州では、いまだコロナウイルスの感染拡大が止まらない。引き続き、対人距離の確保が重要であるが、避難所では人との距離を十分に取れるスペースなどないし、災害対策の準備や後始末の作業中に他人と接触することも避けられないだろう。

ハリケーン発生時の避難・復旧時には他人と接触することは避けられない
Mehdi Taamallah/AFP/Getty Images

ニュージャージー州住民サービス局広報担当のトム・へスターによれば、州当局は赤十字やその他機関と協力し、「可能な限り」ソーシャル・ディスタンスのガイドラインに沿った避難所を提供したいとしている。州の危機管理担当者は、パンデミック対応で多忙を極めるなか、災害対応について郡の担当官と電話会談をすすめているとのこと。しかし、公式発表はまだなされていない。

遅れる自然災害時のコロナ対策

「全国ハリケーン準備週間」が開始された5月3日の時点では、ニュージャージー州を含む多くの州が、オンライン版のハリケーン注意勧告にコロナ対策を盛り込む作業の真っ最中だった。連邦緊急事態管理庁(FEMA)ですら、ようやく4月末になって注意勧告を更新したが「避難所に行くときにはマスクを着用し、手指消毒剤を携行し、他人と1.8mの距離をとることを推奨する」の数行を付け加えるにとどまった。

ハリケーンは、米国が今年直面するであろうさまざまな災害リスクのほんの一部に過ぎない。米国南東部では、死者を伴うレベルの竜巻がすでに襲来し始めている。西部では大規模な干ばつの発生が予想されており、これは山火事の原因ともなる。いずれの場合も、何千もの人々が家を失い、救助や救急医療を必要とする状況を引き起こしかねない。

コロナ感染拡大の渦中で災害の対応・復旧にあたることは、解決策の見えない新たな問題を我々に突きつける。誰が対応にあたれるのか?コロナ患者の治療で既に医療物資が不足している病院で、どのような医療支援が提供できるのか?大勢の避難者が対人距離を取らなければならないのなら、一体どこに避難・収容させたらよいのだろう?

そもそも、この「ダブル災害」への対応は、数日や数週間という単位ではなく、むしろ何ヶ月・何年といった時間が必要かもしれない。この難問に即効薬はないものの、まずは計画の段階でシンプルな考え方と問いかけを行ってみることが必要であろう。

最悪のシナリオを想定した体系的な計画

従来からの課題やリスクにコロナ感染拡大が加わった今、地域のリーダーたちがやるべきは、「最悪のシナリオを想定した対策を体系的に組み立てる」ことだ。

どんな問題が起きうるのか?起きる可能性はどれくらいか?その結果として何が起こりうるか?リスク軽減にはどんな資源が必要か? まずはこうした問いを投げ掛ける。

自然災害時における感染症対策の必要性に真剣に向き合ってきた自治体など、このコロナ禍になるまでほぼなかっただろう。竜巻やハリケーンの対応マニュアルに、避難所でのソーシャルディスタンスの確保は触れられていなかった。公衆衛生上の危機が蔓延した場合に他の州からの支援を求める方法なども盛り込まれてこなかった。

災害時には学校が避難所となることも多いが、ソーシャルディスタンスの確保は難しい。
2018年ハリケーン・マイケルがフロリダを襲った時の避難所。 AP Photo/Gerald Herbert

いま一度、当局は重要な問題を問いかけ、起こりうる全シナリオを幅広く想定すべきである。そして、人員・機材・施設・物資はどこにあるのかを検討し、それらをどう分配するかを対処すべきである。

これまでなら連邦政府や州同士の相互協定を通じて入手できていた資源も、今年は入手できない可能性が高い。そのため、一部の自治体では不足分を穴埋めすべく、新たな相互連携に乗り出している。ニューオーリンズでは、災害支援を行う非営利団体「エヴァキュティア」が、活動の柱を、「ハリケーン来襲時の住民避難支援」から「食料・生活必需品の備蓄」へシフト。物資の多くがコロナ対応に回され、備蓄が底をついてきた実情を踏まえての判断だった。

ミシシッピ川流域市町村の市長や地域リーダーの連合体である「ミシシッピ川市町村イニチアチブ」では、大規模な洪水が発生した際に配布する防護具の調達をすすめている。

避難場所として有望な選択肢となるのが、ホテルの空室や大学寮だ。4月に米国南東部を竜巻が襲った際には、赤十字は災害対応マニュアル改訂版に沿って、ソーシャルディスタンスを踏まえた対応を取った。感染拡大を起こしうることから避難所の開設は見送り、その代わりにホテル業界と提携し、数百人もの被災者を客室に収容した。これまでなら災害後に被災現場に駆けつけたボランティアたちも、在宅で緊急支援の手配にあたった。

WikiImages / Pixabay

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