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「怖いよ。でも…俺だけ死なんわけには」三浦春馬さん『太陽の子』慟哭シーン直前の“意外な表情” - 平田 裕介

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 俳優の三浦春馬さんが7月18日に亡くなって、1カ月が経つ。8月15日放送のドラマ『太陽の子』(NHK)では、最後に「謹んで哀悼の意を表します」とテロップが流れた。主演の柳楽優弥、有村架純らとともに三浦さんが本作で見せた演技や、残した言葉を中心にライターの平田裕介さんが綴る。

【写真】「30歳になる年を迎えるにあたって」思いを語っていた三浦さん

*以下の記事では、ドラマ『太陽の子』の内容や結末が述べられていますのでご注意ください。


三浦春馬さん ©文藝春秋

◆ ◆ ◆

ドラマ『太陽の子』への真摯な想い

「まったく戦争を経験したことがない僕たちが、イマジネーションを働かせて文献をもとに色んなスタッフ、そして研究者の協力を経て一つの台本になっているわけで、その台本を使い、大きな想像力をお客様に届けていくということが、今後あってはならない……大きな流れを始めさせないきっかけになるんじゃないかなということを、やっぱりどこか信じていきたいし、僕もそんな働きの一部になれたらいいなという風には思いました」

 8月8日の「土曜スタジオパーク」(NHK)で放送された、三浦春馬さんのインタビュー映像。そこで彼は、ドラマ『太陽の子』に陸軍下士官・石村裕之役で関わったことへの真摯な想いを語っていた。

 続けて彼は、劇中で海に身を投げようとするも柳楽優弥が演じる兄・修に止められるシーンについて「自暴自棄になった裕之を戻す。その後に目を覚まさせるために、『平手打ちをしてはどうか』と、前日にリハーサルをした時間の中で、監督と自分が提案したんです。『それすごくいいね』という風に柳楽さんは言ってくださったんですけど、どうしても柳楽さんの優しさが出てしまって、そのモーションに入ると優しく子犬をなでるような、そういう芝居になってしまったというのが印象的なんです」と話した。

 スタジオでそれを見ていた柳楽は声を震わせながら、「僕もビンタをするキャラクターではないなということを直前に監督とずっと話していて。それで撮影は進んだんですけれども。でも春馬くんがそう思っていたのを僕は知らなかったんで。ごめんね。犬をなでるような……優しくなっちゃったかな」と返答する。

修と裕之の「ぬくもりを感じたかった」

 さらに三浦さんは、有村架純が演じる兄弟の幼馴染み・朝倉世津を交えた3人で未来を語るシーンに関して「男2人は、この戦時中をどう乗り越えていくかっていう話をして前を向くんですけど、でも世津が男2人の話を聞いていて、『2人とも戦後のことは考えていないのか』って叱咤されるんですよね。戦後、誰が子供たちのことを教えていくのか、教育は。日本の基盤を作っていくのに……っていうことを聞かされるっていうシーンで。有村さんの涙ながらに『だからこそ、2人も生きてもらわなければ困るし、一所懸命研究してもらわなければ困るし』ということを訴えかける。その芝居がすごく印象的でしたし、本当に素晴らしかった」と語った。

 スタジオの有村は「本当は『手をとる』っていうのは台本にはなかったんですけれども、どうしても最後に触れたかったんですよね。なので、あそこで裕之さんの手をとって、その次に修さんの手をとって、もうなんだろう。ぬくもりを感じたかったというか。そこのシーンはものすごく本音というか」と答えていた。

 柳楽優弥も司会の近藤春菜も目に涙を浮かべていたように見えたが、こちらもこみ上げてくるものがあった。そして「土曜スタジオパーク」で挙げられたふたつのシーンを『太陽の子』本編で観た時は、さすがに涙を流さずにはいられなかった。

裕之が抱えていた苦しみ

 太平洋戦争末期。京都帝国大学の物理学研究室で原子の核分裂について研究する石村修(柳楽優弥)は、海軍が命じた新型爆弾開発のための実験に参加していた。家を失った幼馴染みの朝倉世津(有村架純)を家に迎え、そこへ陸軍下士官の弟・裕之(三浦春馬)が肺を患っために一時的に戦地から帰ってくる。弟との再会を喜ぶものの爆弾の開発は進まず、科学者が人を殺める兵器を開発してもいいのかという疑問にも対峙する。そんななか、裕之・世津と3人で旅行に出た修は弟が抱えていた苦しみを垣間見る。

 この海辺への小旅行で、3人は若者らしいリラックスした笑顔を見せる。裕之の苦しみがあらわになるのが、特攻で仲間を見送り続けてきた恐怖と彼らに対してなにもしてやれなかった悔恨に苛まれるあまりに、彼が2人のもとを離れ、海へ身を投げようとするシーンだ。

 8月8日に放送されたドラマのメイキング番組で、三浦さんはこの夜明けのシーンの撮影を前に、「あまり思いつめすぎずにというか、逆にこんなカラッとした状況だったりとか心情をしっかり感じてあげておいて、その対比というか、メリハリをしっかり自分の中につけておいて。そのほうがやりやすいと思うので、あまり考えないようにしてます」と穏やかな表情で語っている。

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