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飲食倒産地獄真っただ中の船出…「びっくりドンキー」新業態はファンを掴めるか

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フルカスタマイズメニューとスタイリッシュなデザイン

2020年6月、びっくりドンキーを運営する株式会社アレフが新業態“Dishers”(ディッシャーズ)をオープン。その特徴は、顧客自身でタブレット端末を使い、一つのお皿を自由にフルカスタマイズできることです。ボリューム重視の男性から健康志向の女性まで幅広く楽しむことができます。

Dishers
撮影=プレジデント編集部

店内オペレーションは、人との接触を最小限に抑えたコロナ時代にマッチしたものとなっており、「さっと入って、さっと出る」ことができる設計です。各席にはタブレット端末が備え付けされており、ハンバーグの種類、トッピング、ソース、ライス、サラダを自由に組み合わせることができ、具材の量、栄養を顧客自身でカスタマイズ。食べ終わった後の支払いは、セルフレジ決済で業務オペレーションの省人化を実現しています。

店舗デザインも、従来のびっくりドンキーとは一線を画したオシャレな雰囲気となっています。イエローを基調とした鮮やかな店内には、カウンター席とテーブル席が配置。ハンバーグの他にもカフェのようなドリンクメニューやモーニングメニューも用意し、多様な利用シーンを想定した設計となっています。ハンバーグセットは780円からと、安価な価格も、通勤通学の帰りなどに気軽に立ち寄ってもらうことを意識したものでしょう。

しかし、コロナ禍で外食産業全体が厳しい状況となっている現在、なぜびっくりドンキーが、こうした新業態にチャレンジを行っているのか、その背景にはファミレス業界が置かれた厳しい市場環境があります。

コロナ以前から厳しいファミレス市場

コロナ禍で深刻な影響を受けている外食産業ですが、それ以前からファミレス業界を取り巻く環境は徐々に厳しいものとなっています。

日本フードサービス協会によると、ファミリーレストランの店舗数は景気低迷の影響で2009年以降大きく減少。2012年に入って徐々に回復しますが、2016年以降はほぼ横ばいで推移しており、成長が鈍化している状況です。

食堂・レストランの市場規模推移
出典:日本フードサービス協会

その背景には、コンビニエンスストアやスーパーの総菜、加工済食品などの中食産業の拡大、世帯構成の変化があります。ファミリーレストランは、外食産業の中でも、比較的ファミリー層を主要顧客としていますが、単独世帯と夫婦のみの世帯が80年代後半以降急速に増加。特に児童がいる世帯が著しく減少しています(厚生労働省「国民生活基礎調査」)。

ファミレス業界にさらに追い打ちとなっているのが今回のコロナ禍です。非常事態宣言解除後の6月、ファミレス大手の客数は、前年同期比で約3割減となっており、閉店も相次いでいます。例えば、ロイヤルホストを展開するロイヤルホールディングスは70店、九州を中心に展開するジョイフルでは200店規模の閉店計画を発表。外出自粛生活により、外食から中食・内食へ消費転換が進んでいます。

びっくりドンキーでもターゲット顧客が減少

びっくりドンキーは、大型駐車場を備えたロードサイドに多く出店、主に子供のいるファミリー層をターゲットに展開しています。びっくりドンキーは、おいしさに強いこだわりを持っており、厳しい自社基準を満たした契約農家・生産者からのみ食材を調達、生産工程から提供に至るまで徹底的な品質管理を行っています。

また、ファミリー層をターゲットにしたイベント、店舗作りにも注力しています。例えば、ロウソクの灯だけで家族とゆっくり食事するスローナイトといったイベントの開催、店内には子供向け絵本を設置し、家族で楽しめる店内空間を提供しています。その結果、2018年度日本版顧客満足度指数(JCSI)の飲食カテゴリでは、他の大手企業を抑えて顧客満足度で3位を獲得しています。

しかしながら、その店舗数は、2015年の335店をピークに微減をはじめ、2019年3月時点で329店となっています。びっくりドンキーのターゲットである18歳未満の子供がいるファミリー世帯は、1990年代には1500万世帯ありましたが、2018年時点で1127万世帯へ減少。その結果、業績も2019年3月期の売り上げ約380億円に対して、最終損益は約14億円のマイナスとなっています。

びっくりドンキー店舗数推移
出典:株式会社アレフHP

このように成長に苦慮する市場環境の中、ターゲットをこれまでのファミリー層から、新たな顧客層へシフトした新たな施策がディッシャーズです。

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