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studygiftは「もったいなかった」―やまもといちろう×家入一真対談【前編】

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やまもといちろう氏、家入一真氏
撮影:濱田敦子
投資家、ブロガーのやまもといちろう氏と起業家・クリエイターとして活躍する家入一真氏。様々な意味でWeb業界の注目を集め続ける両者が行った対談の様子を前後編2回に渡ってお伝えする。前編は、かつて炎上したstudygiftについて、両者の率直な思いが語られた。【構成:BLOGOS編集部】

——お2人の組み合わせですと、いまさらですがstudygiftについて触れないわけにはいかないと思うのですが。

やまもといちろう氏(以下、やまもと): studygiftの話はあまり語っても仕方ないところなんですけど。

僕は児童養護施設の支援などをしていたので少しはわかるのですが、基本的にそういう支援活動をしている方々には、いろんな意味でweb業界的な冗談が通じないんですよ。僕らのようなWebサービスをやっている人間が、「次の時代に新しい形で支援ができるような仕組みを作りたい」というピュアな思いからスタートしている、という話をしても、「そんなの冗談じゃない」というリアクションになってしまうことが多い。

学童支援というのは、支援する人とされる人、さらに支援されなかった人…という重いものを背負っていかなきゃいけないんだ、という話になる。それはもう仰るとおりなんだけれど、でも…みたいな話になってしまう。

また、僕らが昔からお世話になっていて頭が上がらない早稲田の教授が、「あんな形でうちの学生を取り上げてなんなんだ」と、いきなり言い始めたので、「それは結果論であって、別に早稲田だから使ったとかそういう話ではない」と釈明をしたり。なんで私が釈明してるんだろう、みたいな(笑)。そのあと、全国紙の新聞が取材に来てしまって、「そんな騒ぐようなことじゃないですよ」という話をしたりもしました。相手も20歳すぎた女性なので、彼女も立派な大人ですから、ある程度納得してやっている大人の話であれば、問題を変に広げる必要はないんじゃないですか、といった無駄な火消しをしないといけなかった。

ただシェアハウスというのが、非常にみんな引っかかっていたと思うんですよ。ご存知かどうかはわからないですが、昔「早稲田ヤリ部屋事件」というのがあったんですよ。

家入一真氏(以下、家入):スーフリとかそういうやつですか?

やまもと:スーフリは事件を起こして有名になりましたが、それ以外にもいろいろありまして、あれで当時19歳の女性が自殺未遂をした。幸いにして一命を取り留めて問題にはならなかったのですが、それで大学の管理責任を問われて裁判になりかけてという経緯があったので、みんなセンシティブになっていたんですね。

大学生と言えど、立派に生殖能力がある大人の男女です。それがひとつ屋根の下にいるわけですから、いわゆる学生寮・シェアハウスといったものに、ものすごい警戒心があるわけです。で、たまたま調べてみたら、シェアハウスを経営されているのが、ヨシナガさんで自分の家に何人も学生を住ませていたりしていた。それを問題視した人たちがWeb上で騒ぐ分には問題ないのですが、何故かヨシナガさんの勤務先にクレームをいれたらしいんですよ。それで、「いいかげんにしろ」「早稲田にも事情聞かせろ」みたいな話になった。みんな全然関係ないですけどね。見事に全然関係ない。本当に単なる外野なんですけどね。

ただ、あの前後はみんな殺気立っていたというか、支援活動をされている側もあまり冷静ではなかった。16歳の、親御さんのいない支援されている高校生が「あんなのと一緒にされるのは辛いです」といって、支援者さんの前で涙ぐむわけです。ただ、そこまで、みんなでフルボッコするような話じゃないので、これをモデルケースにまた新しい学生支援の形につながればという話だと思います。

家入:すごい良いきっかけでしたよね。

「良いことしてるんだから」と意固地になってしまった


——次の取り組みは何か考えていたりしているんですか。

家入:今ちょっと考えているんですけどね、まだ全然見えていないですけど。

やまもと:家入さんの活動って、ある意味、楽観的な感じですよね。

家入:そうなんですよ。

やまもと:「前に大きな可能性があるから、今のリスクはともかく、チャンス取りに行こうよ」というアグレッシブで華やかで、前に行こうという気持ちが強いので、取り組みとしては非常にピュアで面白いなと思う。Web業界的なノリと親和性があるので、それに文句は言うつもりはないんですよ。個人的にはそう思うのですが、それは違うと言われちゃうんですよ。何が違うか、立場によって当然変わるけど。

家入:途中から「良いことしてるんだから」というのが僕の中にもあって、そこで意固地になって反論したりしていたので、「それは違ったな」と後で、冷静になって考えると思います。「良いことをしよう」という部分を強調しすぎてもアレだし、良いことをしてるのであれば、例えば携帯電話をいじっている写真をstudygiftで使ったり、そういう見せ方をする必要はなかったのかなぁと。

やまもと:あの時の対応が、いちいち面白かったですよね。あれはわざとやっていたわけじゃないですよね?僕らが見ていると、家入さんが、ある意味Webの騒いでいる人たちに中指を立てているように見えたんですよ。「俺たちのやってること分かんない奴はまじアホだ」みたいな発言があって、面白いなと思って。

家入:うーん

やまもと:今回の事件については、1つの角度から見れば新しい可能性が拓けるのにもかかわらず、余計な横槍が入ったので1回収束してしまったという側面がある。もう一方の側面として、過去のコンテクスト、学童支援の文脈、それを守っている伝統的な支援者の方々からすると、いくらWebの時代だからといってやっていいことと悪いことがあるだろという見方がある。ただ、ノリが分かる人が少数である以上、どうしても後者の議論になりやすいですよね。

家入:僕自身、CAMPFIREというクラウドファンディングのサイトの運営をやっています。だから、「クラウドファンディングの可能性を潰すようなことをするな」みたいな議論も他であったりして。

やまもと:そのレベルの話で、クラウドファンディングの可能性が潰れたら、そこまでなんじゃないかと僕は思います。今回は、CAMPFIREがこれから多くの案件を取り扱っていこうという中で、事件があったので、文脈として絡められる可能性は高かったでしょう。でも、同じようなトラブルはつきものだと思うんですよね。返金の話もしかりです。

いわゆるパトロン援助に対する姿勢というのは、これからどうやって「Webの中のごく当たり前にしていくか」を模索している過程だと思うので、それで潰れたらしょうがない。だって、これからもっと同じようなことが起きるでしょうし、下手したら殴り合いになったりもするでしょう。

だから、「もっと社会性のある事業でやっていきましょう」という話にどうしてもなっていく。例えば、薬物中毒の人たちの社会復帰のためにクラウドファンディングを使う。あるいは、高齢者医療や様々なところで困っている人たちに対して、CAMPFIREのようなクラウドファンディング的なものが拡張されていく可能性もある。そちらの方が、公共性がありますから。

そういったものを、例えば石原都知事が支援しようという話になる可能性もある。それはそれでまた別の話になるけど、新しいものが普及していく過程で起きた1つの問題で、その取り組みが潰れるなんていうのは、僕はピンと来ない。立ち上げる最初はどうしてもパワーが要るのだから、「いいじゃん。面白くやれば」と思いますけどね。

家入:中川淳一郎さんは、気持ち悪い男臭い柔道部員の奴をstudygiftに最初に入れておけばよかったと言ってました。ああ、確かにと思いました。

やまもと:でも、そこはstudygiftを主催したlivertyがWeb業界的な”スタイリッシュさ”を追求されたのかな、と思ったんですよね。これは僕の予想であって、本当にそうかは分からないですけど。かっこよかったのに、そのかっこいい内容が実は…というところで、無駄なバッシングを引き起こしたり、独身女性がヒステリーを起こすような反応を呼んだりとか、何とも気持ち悪い感じになってしまった。

家入:ある程度、炎上する・叩かれる部分はあるだろうなと思ってやっていたんですけど、最終的には「そこまでいくの?」というところはありましたよね。

やまもと:その時に、いままで面識のなかった早稲田で学生支援をやっている団体さんと、2時間くらい話をしましたよ。過去に早稲田で問題があって、現役早稲田女子大生がAVに出ましたとか、シェアハウスの共同住宅の密室であったので、そういう仕事をされている方なのかとか…。まあみんな疑心暗鬼になっていったので、気持ち悪いですよね。もったいなかったとも思います。


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