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まったく校則のないドイツの学校が「学級崩壊」と無縁なワケ

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校則は誰のためにあるのか。ドイツ出身のエッセイスト、サンドラ・ヘフェリン氏は「ドイツの学校には校則がないが、何の問題もなかった。厳しい校則で生徒を縛る日本のやり方は、みんなを不幸にするだけだ」という――。

教師や学生※写真はイメージです - 写真=iStock.com/KiroM

高校生の髪型がニュースになる驚き

先日、東京都予算特別委員会の質疑の動画がインターネットを中心に話題となりました。

動画では共産党の池川友一都議会議員の「なぜ都立高校の校則ではツーブロックが禁止されているのか」という質問に対して、藤田裕司教育長が「その理由といたしましては、外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているものでございます」と回答しています。

確かにツーブロックは高校生の髪型としては目立つため「絡まれる」などといった問題が一部で発生しているようです。しかし治安に関していえばドイツをはじめとするヨーロッパの国のほうが明らかに日本よりも治安が悪いにもかかわらず、「ツーブロック禁止」という校則はヨーロッパでは聞いたことはありません。

今回はこの「ツーブロック禁止」を例に海外と比較しながら「ニッポンの校則」というものについて考えてみたいと思います。

ドイツの学校に校則がない理由

「ツーブロック禁止」の校則に関するニュースが流れたとき、とても日本的なニュースだなと思いました。日本の一部の高校がツーブロックを禁止する背景には、髪型を規制することで生徒がどんどん派手になりいわゆる「荒れた学校」になるのを防ぐ目的もあるといいます。

でも「生徒が派手にならないように」「学校が荒れないように」と生徒の生活面での指導をしているところが日本的だなと思いました。

筆者はドイツで育ちましたが、ドイツの学校には「校則」そのものがありません。そのため筆者が通っていたギムナジウムでは膝のあたりがビリビリに破かれたジーンズをはいて登校をする同級生もいましたし、胸元が大きく開いたデザインの服を着てデコルテを見せている生徒もいました。

パーマはもちろん、毛染めからピアスまで「何でもあり」でした。

特に荒れた学校ではなくむしろ逆でしたが、なぜこんなにも生徒の自由が重んじられているのかというと、ドイツでは「身だしなみや生活指導は家庭の役割」「学校の役割は勉強の面倒を見るところ」といういわば役割分担に関する「すみ分け」がはっきりしているからです。

そのため仮に生徒が学校の外で問題を起こしたり、またはトラブルに巻き込まれたとしても、学校の責任が問われることはありません。

もしもドイツで子供に「ツーブロック」を禁止するとしたら、それはドイツでは「学校」ではなく「親」の領域です。ただし実際にはドイツでツーブロックを禁止する親の話は聞いたことはありません。

カップルの「相部屋禁止」が唯一の規則だった

ドイツの学校には日本でいう生活指導の時間はありません。生徒が放課後にどこを歩いていようと、週末に何をしようと、学校や先生はノータッチです。生徒の「性生活」に関しても基本的にはノータッチであるため、結果として生徒の恋愛にも寛容です。

学校で堂々と恋愛をしているカップルがいるのはドイツでは珍しくありません。

筆者が通っていたギムナジウムでも17歳の頃、先生公認のカップルがいました。このカップルは授業中に隣同士の席に座っていましたし、もちろん休み時間もいつも一緒に過ごしていました。

クラスで修学旅行に行くことになった際、「修学旅行中に万一妊娠すると問題になるので、修学旅行中はカップルが同じ部屋に寝泊まりするのは禁止」という先生からのお達しがありました。それも頭ごなしにいうのではなく、カップルと先生がじっくり話し合ったうえでのルールでした。

このように恋愛も含めドイツの学校は生徒を「一個人」として扱うのが普通です。奇抜な格好や、とっぴな行動も「もうすぐ大人なのだから」ということで、「自立の証し」として見守ってくれていたように思います。

そうはいっても、「宿題をしない」「授業の邪魔をする」などといった問題行為についてドイツの学校は厳しく、先生から親に注意の手紙が送られることもあります。これが3回続くと、今度は校長から親に戒告の手紙が送られます。

校長による戒告が3回続くと、生徒は退学になり別の学校へ転校を余儀なくされます。

学校での暴力や授業の邪魔をするなどといった問題行為についてはこのように厳しい対応をとるドイツの学校ですが、生徒の身だしなみや放課後の生活態度など「授業や勉学と関係ない」とされていることに関する規制はないというわけです。

そのためドイツでは生徒が何か危険なものに巻き込まれる可能性があったとしても、規則として何かを禁止することはありません。法は守らなくてはいけませんが、それは学校の問題ではなく生徒個人の問題だと考えられています。

したがって仮に何かに巻き込まれる可能性が否定できなくても、その上で自分のスタイルを守るか否かは生徒本人の判断に委ねられています。

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