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【ウォルマート】、返品せずとも全額返金のイージー・デジタル・リターン!非常識すぎ?

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■日本でもアメリカ小売業界の寛大な返品については広く知られるようになった。

アメリカではほとんどのチェーンストアや多くのお店が、購入した商品について返品期間内であれば、理由を問わず、使用済みでも、消耗していても返品・返金に応じてくれるのだ。

この「100%満足度保証」では、商品に満足できなければ自由に返品でき、お客にはまったく損をさせない。

一方、日本では「お客様の勝手な都合による返品」は全く応じない。未使用・未開封の場合に限り返金または交換に応じるといった店がほとんどだろう。

日本では購入後のリスクはお客が背負っている。アメリカではリスクはお客ではなくお店のほうが負っているのだ。

アメリカの「無条件返品」は100年以上の歴史があり、返品コストは商品価格に盛り込んでいる。例えば激安というイメージのウォルマートでも粗利益率が24%もあるのだ。粗利益率が20%を切っている日本の低価格訴求型チェーンは珍しくない。

アメリカでは返品が良い悪いではなく必要不可欠な商習慣のだ。返品を減らすことも重要だが、返品でのコストを下げ、お客にもストレスを感じないようにすることも大切になってくる。

特に新型コロナウイルス感染拡大のアメリカでは返品もお店にこさせないような配慮となっている。

ウォルマートではアプリを使ったユニークなストレスフリー返品を行っている。eレシートを使った返品は、利用者が事前にウォルマート・アプリ上で返品処理を行うことで返品スピードを早める方法だ。

ウォルマートでモバイル決済の「ウォルマート・ペイ(Walmart Pay)」で購入した商品はeレシートでアプリに履歴に残る。

ウォルマートでもらうペーパーレシートもウォルマート・アプリでスキャンすればeレシートに変換されるのだ。このアプリにあるeレシートをつかって返品が簡単にできるのだ。

ウォルマートの「イージー・デジタル・リターン(Easy Digital Return)」は、購入した商品の中から返品したい商品をアプリ上のeレシートで選択しておく。

ウォルマートのお店では、カスタマーサービスにあるモバイル客専用に設けた「モバイル・エクスプレス・レーン」のデスクで、アプリを使いQRコードをスキャンする。

アプリとレジの同期後、返品する商品のスタッフ確認で完了となる。返品完了はアプリ上でも確認でき、早ければ翌日中には顧客のアカウントやクレジットカードに返金される。

 さらに驚くべき返品方式がウォルマートにある。食料品や洗剤などの日用品、化粧品など一部商品を対象にお店に返品しなくても返金するサービスを行っているのだ。

イージーリターンと同じようにウォルマート・アプリにあるeレシートから返品したい商品を選択すると「返品する必要はありません(No need to return it)」と表示され、同時に返金もされるのだ。

つまりウォルマートの店内で購入直後にこの返品手続きを行えば、実質的に0円で商品を持ち帰れることになる。

ウォルマートは最近、イージー・デジタル・リターンを動画にして大々的にPRしている。なんとそこには「一部の商品は返金で返品する必要はありません」と明確にしているのだ。

しかも「そのまま持っていても、寄付してくださっても、破棄してもかまいません(You may keep, donate or discard these items)」としている。

例えばウォルマートで桃を2〜3個買い「一つを食べてみたら甘くなかったので全品返品したい」ときでもイージー・デジタル・リターンで全額返金でき、しかも手元にある残りの桃はそのまま食べてもいいことになる。

日本のスーパーマーケット業者が聞いたら悲鳴をあげるようなことをやっているのだ。しかしこれが流通先進国のデジタル時代でコロナ時代の返品でもあるのだ。

 週客1.4億人となるウォルマートでは返品後に破棄するような食品等は、返品利用者に自由にしてもらうほうが安上がりとなるのだ。イージー・デジタル・リターンを乱用するお客がいても感染リスクを考慮すれば大目に見ることになる。

 見方を変えればこうまでしなければアメリカ小売業界では戦えないということなのだ。

トップ画像:イージー・デジタル・リターンPR説明動画のスクショ。ウォルマートは最近、イージー・デジタル・リターンを動画にして大々的にPRしている。そこには「一部の商品は返金で返品する必要はありません」と明確にしているのだ。「そのまま持っていても、寄付してくださっても、破棄してもかまいません(You may keep, donate or discard these items)」としている。日本のスーパーマーケット業者が聞いたら悲鳴をあげるようなことをやっているのだ!?


イージー・デジタル・リターンの説明動画。ウォルマートで桃を2〜3個買い「一つを食べてみたら甘くなかったので全品返品したい」ときでもイージー・デジタル・リターンで全額返金でき、しかも手元にある残りの桃はそのまま食べてもいいことになる。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。イージー・デジタル・リターンの説明動画にさらっと、トンデモナイことが書かれています。「外出を控えてもいいですよ!(You may save a trip!)」とあります。言い換えれば「(返品に)お店まで来る必要がありません」ということです。

常に集客のことばかり考えている日本の流通業者なら「アメリカ小売業界の巨人はここまでするのか」とショックをウケるかもしれません。しかも購入した商品を「嫌い」とか「不味い」とかのお客の主観的な理由(もしくは勝手な心変わり)で返品できる上に、返金に返品しなくてもいいということ。この返品にかかる手間も、手のひらにあるスマートフォン・アプリを使って、2〜3タップで完了という手軽さです。時間にすれば数秒で終了。イージー・デジタル万引きも十分に可能です。ただコレを知らないことにはアメリカ流通業界やチェーンストアを理解できたとは言えません。

 ウォルマートのストアアプリを使ってやる非常識なイージー・デジタル・リターンは視察で必須のワークショップ(実習)ですね。

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