記事

皇室典範改正を断念との報を読んで

MSN産経ニュースの記事より。

政府、皇室典範改正を断念女性宮家創設に慎重論
2012.10.4 07:00

政府は3日、皇族の減少を防ぐため検討してきた「女性宮家」創設に関する皇室典範など関連法の改正を断念する方針を固めた。「女系天皇」に道を開きかねない女性宮家創設には有識者ヒアリングでも異論が相次いだうえ、民主党や自民党内でも慎重論が根強いためだ。女性皇族がご結婚後も「内親王」などの尊称を保持する案についても法案化を見送る。

政府は今年2〜7月に計6回、女性宮家創設の可否などについて12人の有識者にヒアリングした。当初は10〜11月ごろに意見公募(パブリックコメント)を行い、来年1月に召集される通常国会への関連法改正案の提出を目指していた。

だが、ヒアリングでは「民間人とのご結婚を前提とした女性宮家創設は、皇室の本質を根本から変える女系天皇につながりかねない」(ジャーナリストの櫻井よしこ氏)などの反対論が出た。百地章・日本大教授も「女性宮家の創設は女系天皇への道を開く危険性があり、その場合、違憲の疑いさえある」と拙速な議論を慎むよう求めた。

〔後略〕




あーあ、日和りやがった。

こういうことこそ「決められない政治からの脱却」「決断する政治」で進めてもらいたかったのだが。

もともと私は民主党政権の下での皇室典範改正(女系天皇容認)に期待していただけに、そうした動きは全く進まないばかりか、女性宮家の創設すら見送られたことは残念でならない。
ヒアリングで櫻井よしこや百地章、八木秀次が反対することなど、あらかじめわかっていたことではないのか。

もちろん、政権を取り巻く情勢がそれを許さない、今はそれどころではないというのはわかるが。
女系天皇反対を明言している安倍が自民党総裁に就いたことも影響しているのだろうか。
あるいは、「保守」を自認する野田首相もこの問題には積極的に関与したくないのかもしれない。

現行の皇室典範のままでは皇統はいずれ行き詰まる。
それ以前に宮家の存続も危ぶまれる。
何らかの対策をとらねばならない。
そのための女系天皇容認であり、女性宮家創設であったはずだ。

女性宮家が女系天皇への道を開く?
確かにそうかもしれない。
しかし、そうでもしないことには、次世代に皇位や皇族を継承していくことは不可能なのではないか。
男性継承にあくまで固執するならどうするのか。旧皇族男子の皇籍復帰か。

「保守」を自称する方にこの旧皇族男子の皇籍復帰という案への賛同者が多いようだが、私は以前からこれに賛同できない。
理由はいくつかあるが、何といっても、血統があまりにも離れていることへの違和感が大きい。

占領期に皇籍離脱を余儀なくされた11宮家は、いずれも伏見宮家の血統に連なる。
そして伏見宮家とは、はるか室町時代に天皇家から分かれた血統である。
つまり、愛子さま、悠仁さまと、現存する旧皇族の男子某とでは、室町時代まで往復何十人もの人々を隔てての血族だということになる。
このような人々を、男系継承というただ一点を理由に皇族に復帰させることが適当なのだろうか。
高橋絋によると、戦前においても伏見宮系の次世代の皇籍離脱が予定されていたという(「現代版「壬申の乱」への危惧」『文藝春秋』2006年4月号)。

百地章は今年3月2日の産経新聞「正論」欄でこう述べていた。

「女性宮家」の創設に積極的な渡辺允前侍従長は、「皇統問題は次の世代に委ねて…」と述べている。しかし、この「棚上げ論」も危険である。大多数の国民は、女性天皇と女系天皇の区別さえできておらず、いざとなれば、人情として「お子様も皇族に」と、さらには「皇位継承権も」と言いだす恐れが十分にあるからである。




まさにそのとおり、「人情として」女性であっても女系であっても皇族に、天皇にと考えるのが自然な感情というものだろう。
それを、男系継承が古来からの伝統だとして、数百年も離れた血統から男子を引っ張ってくることが、国民感情に合致するのだろうか。
前近代ならそれでもよかっただろう。誰が天皇になるかなど、庶民の関知するところではなかっただろうから。
しかし、明治以降のわが国における皇室は、そのようなものではないのだ。
血統さえあれば、誰でもいいというわけにはいくまい。

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