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なぜ韓国の失業率は低いのか、若者の実際の失業率は26.8%? - 金 明中

新型コロナウイルスの感染拡大以降、韓国の雇用状況が悪化

新型コロナウイルスの感染拡大以降、韓国の雇用状況が悪化し続けている。特に、若者の雇用状況が深刻だ。2020年6月の全体失業率は4.3%で前年同月に比べて0.3ポイント上昇した。特に、15~29歳の若者の失業率は同期間に10.4%から10.7%に上昇し、全体失業率を2倍以上も上回った。

10.7%という数値は1999年6月の11.3%以降、21年ぶりに高い数値である。さらに、大学を卒業し、兵役の義務を終え、初めて労働市場に参加する若者を中心とした25~29歳の失業率は、9.3%から10.2%に0.9ポイントも上昇した。

このままだと2020年度の大卒就業率(短大以上)は、2019年の67.7%を下回る可能性が高い。

しかしながら、韓国の失業率をOECD加盟国と比べると、それほど高い水準ではないことが分かる。例えば、2020年6月時点の韓国の全体失業率と15~24歳の失業率はそれぞれ4.3%と10.8%で、コロンビア、スペイン、ギリシャと大きな差があり、OECD平均8.0%と17.9%も大きく下回っている。

韓国における失業率が最も高かった時期は、アジア経済危機以後の1998年と1999年で、当時の失業率はそれぞれ7.0%と6.3%であった。と言っても2020年6月のOECD平均失業率よりも低い水準である。

韓国の失業率が統計上において低い水準を維持している理由は?

実際は若者の多くが失業状態にあるのに、なぜ韓国の失業率は統計上において低い水準を維持しているのだろうか?その主な理由としては、(1)15歳以上人口に占める非労働力人口の割合が高いこと、(2)非正規労働者の割合が高いこと、(3)自営業者の割合が高いこと等が挙げられる。

15歳以上人口は、働く意思のある「労働力人口」と、働く意思のない「非労働力人口」に区分することができる。

労働力人口とは、労働に適する15歳以上の人口のうち、労働する意思を持つ者で、労働力調査期間である一週間に、収入を伴う仕事に多少でも従事した「就業者」(休業者を含む)と、求職中であった「失業者」の合計を指す。

一方、非労働力人口とは、労働力人口以外の者で、病気などの理由で就業できない者と就業能力があるにも関わらず働く意思がない者を合計した人口である。これには、職場からリタイアした高齢者、職探しをあきらめた人、働きに出ない、あるいは出られない専業主婦や学生などが含まれる。

上記の定義を基準とした2020年6月時点における韓国の15~64歳の非労働力人口の割合は30.9%で、同時点の日本の20.4%より高い。さらに、15~24歳と25~34歳の非労働力人口の割合はそれぞれ71.1%と23.1%で、日本の50.2%や12.1%を大きく上回っている。

このように韓国で非労働力人口の割合が高い理由としては、「潜在的な失業者」が多く存在していることが挙げられる。

韓国における非労働力人口の内訳を見ると、育児、家事、学業、高齢、障がい等を理由としたもの以外に、働く能力があるにも関わらず仕事を探していない「休業者」の割合が全非労働力人口の13.9%を占めている。また、就業準備のために仕事を探していない人が4.8%もいる状況だ。

彼らは調査期間中に仕事を探す活動をしていないので、失業者ではなく非労働力人口に分類される。

2020年6月時点の休業者の構成比を年齢階層別にみると、60歳以上が38.6%で最も高く、次いで50~59歳(19.4%)、20~29歳(18.1%)の順になっている。しかしながら、前年同月と比べた増加率は30~39歳や20~29歳がそれぞれ29.0%、28.1%と他の年齢階層の増加率を大きく上回っている。

新型コロナウイルスの影響で、20代や30代を中心とする臨時職や日雇い職の仕事がなくなった可能性が高い。2019年8月現在の非正規労働者の割合は36.8%で、2008年以降最も高い数値を記録しており、近年は若者の非正規労働者も増加傾向にある。

このように多くの人が非正規労働者として労働市場に参加することにより就業者数は増え、統計上の失業率は低下しているのだ。

また、自営業者の割合が高いことも統計上の失業率を低くする理由になっている。韓国における自営業者の割合は、2018年時点で25.1%とOECD加盟国の中で5番目に高く、日本の10.3%を大きく上回っている1

特に、自営業者の相当数は給料をもらっていない無給の家族従業者であり、彼らの多数が調査期間中に仕事を探していないので、失業率の計算に反映されていないと言える。

韓国政府は、既存の失業率が労働市場の実態を十分に反映していないと判断し、2015年から毎月発表する「雇用統計」に、失業率と共に「拡張失業率」を公表している。「拡張失業率」は国が発表する失業者に、潜在的な失業者や不完全就業者(週18時間未満働いている者)を加えて失業率を再計算したものである。

このような計算方式によって算出された2020年6月時点の拡張失業率は、全体が13.9%、15~29歳が26.8%で、上記で説明した既存の定義の失業率、全体4.3%と15~29歳10.7%を大きく上回っている。

この、15~29歳の26.8%という数字のほうが、実際の若者の失業状況をよく表している数字であるのかもしれない。

1 韓国における自営業者の詳細は「韓国政府、ポストコロナ対策として「国民皆雇用保険」の導入に意欲」ニューズウィーク日本版2020年5月20日を参照すること。
https://www.newsweekjapan.jp/kim_m/2020/05/post-18.php

新しい雇用創出や不安定雇用の解消に対する工夫を

調査会社リアルメータが8月6日に実施した調査結果によると、文在寅大統領の政策随行能力を肯定的に評価している30代と20代の割合はそれぞれ43.9%(前回調査より9.4ポイント低下)と39.9%(同3.8ポイント低下)で、否定している割合54.3%と51.2%を下回った。

文在寅政権に対する支持率も44.5%まで低下している。このままだと、文在寅大統領の支持基盤であった20代や30代の人々の、文在寅大統領離れはさらに加速化する可能性が高い。

現在、若者が真に求めているのは、一時的な給付金ではなく、安定的な仕事であることを忘れてはならないだろう。新しい雇用創出や不安定雇用の解消に、今こそ知恵を絞る時期であると考える。

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