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科学技術大国から陥落 米に次ぐ世界2位から中独に抜かれて4位へ

論文数、上位10%、上位1%の10か国順位の推移
我が国は相対的に低下
(出所:文部科学省・学術政策研究所「科学技術指標2020」)

 「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を掲げて15年、「日々勉強!結果に責任!」を信条に活動する参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。

 旧盆休みの中、感染症が再流行の兆しがあります。その防止やワクチン・治療薬開発のためには、我が国の科学技術力が求められています。関係者も努力しているのですが、世界の中でワクチン開発については後れを取っています。

 毎年のように、ノーベル賞の受賞者を輩出しているのですが、それは20数年前の業績であり、今後は難しいとも言われています。経済大国を裏打ちしてきた科学技術力が、相対的に地位が低下していると指摘され続けています。

●我が国の科学技術力(論文数)は2位から4位へ(上位論文は4位から9位) 

  文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、毎年「科学技術指標」を取りまとめており、今年も最新版を8月7日(金)に公表しました。

 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/1422310_00002.htm

「科学技術指標2020」から見た世界の中での我が国の状況は以下です。

・日本の研究開発費、研究者数は共に主要国(米中日独韓仏英の7か国)中第3位

・論文数(分数カウント=貢献度合)は世界第4位

・注目度の高い論文数(分数カウント)では世界第9位

・パテントファミリー(2か国以上への特許出願)数では世界第1位

これらは昨年、一昨年と同じ順位であり、3年間変わっていません。どの分野も米中が伸ばしており、欧州勢はEU内の連携強化で対抗する中で、我が国の伸び率は頭打ちであり、科学技術力の危機といっても過言ではありません。

論文数(分数カウント法)では、チャイナが初めて米国を上回り、世界第1 位となりました。注目度の高い論文数では、米国が引き続き第1 位を保っています。

「科学技術指標2020」を一読して、以下3点、①研究開発費の増額、②研究人材の増員、③特許は世界一だが商標が低位について、指摘したいと思います。

●研究開発費 世界3位だが伸び率が低位

(出所:文部科学省・学術政策研究所「科学技術指標2020」)

 まず、研究開発費をどう確保するのかを考えたいと思います。

 我が国の研究開発費は17.9兆円で世界第3位なのですが、リーマンショック後低迷し、かろうじて対前年比2.3%増とはなっているのですが、世界一の米国は5.1%増、2位の中は10.3%増、4位の独が4.4%増、5位の韓が8.1%増と主要国と比較すると見劣りします。

 このままでは、4位の独に追い抜かれ、5位の韓国でさえ抜かれかねません。

 我が国の研究開発費の伸びを支えているのは企業です。リーマンショック後に低迷したのも、企業業績が影響していると思われます。

 近年ようやく企業の研究開発費が中韓を除いて、主要国と比較して2010(平成22)年比1.5倍となっていますが、その他の大学、公的機関が横ばいの1.0倍、非営利団体では0.4倍と減少しています。

 そこで、大学や公的機関への研究開発費を確保すべく、10兆円規模の公的基金を設置しようと現在検討を進めています。

そして、さらに産学連携を進めることです。企業の特許出願数は10年間ずっと世界一です。しかしながら、我が国の企業は我が国の科学技術論文を活用する割合が他国と比較して低く、大学等の連携強化によって、研究開発の質的効果を上げられないかと考えています。

 実際、企業と大学の共同研究は701億円、2.8万件となっており、近年毎年10%増となっています。

●研究開発人材 世界第3位だが伸び率停滞

(出所:文部科学省・学術政策研究所「科学技術指標2020」)

 我が国の研究者数は68万人で、①中(187万人)、②米(143万人)に次いで、世界第3位です。しかしながら、研究開発費と同様に、伸び率は停滞しています。第4位はドイツですが、韓国の研究者数は継続的に増加しており、最新年ではドイツと同程度となっています。

労働人口当たりで研究者数を見ると、我が国は主要国の中で、最も高かったのですが、2009年には韓国が日本を上回り、主要国中最も高い数値となっています。中共は主要国中最も低い数値です。

 我が国の場合、博士号を持つ高度研究人材の活用度合いが、米国と比較して少ないと言われています。製造業では、新規採用が増加していますが、非製造業では停滞しています。

最近の我が国の傾向として、社会人以外の博士号取得者が減少し、社会人が増加しています。社会人が増加することは良いことですが、社会人以外の減少に歯止めをかけたいところです。

 研究人材の7割以上を受け入れる企業としては、修士号で十分ということもあるのかもしれませんが、大学院教育の改革を行いつつ、産学連携の強化がしていきたいと思います。

研究開発人材の増員を考える上で、女性の進出があると思います。保健分野では男女の差が比較的小さいのと比較して、理学、工学、農学では、男女の差が著しく、特に国立大学で顕著であると報告されています。研究分野、理工系分野で女性が活躍するためにも、引き続き環境整備を行っていきたいと思います。

●特許は世界一でも、商標が低位

(出所:文部科学省・学術政策研究所「科学技術指標2020」)

 我が国は技術に強みを持つが、それらの新製品や新たなサービスへの導入という形での国際展開が他の主要国と比べて少ないという調査結果が出ています。

 国境を越えた商標出願数と特許出願数について、人口100万人当たりの値で比較すると、最新年で商標出願数よりも特許出願数が多い国は、我が国のみです。

 最新年で商標出願数の方が特許出願数より多い国は、英国、米国、フランス、韓国、ドイツであり、韓国、英国、ドイツについては 2002~2017 年にかけて、商標の出願数を大きく増加させています。

 我が国は国内市場が大きいということで、いつしか内向きとなっていたということからもしれません。人口減少時代を迎え、国際社会を生き抜くために、技術力に加えて、市場開拓力(マーケティング力)が求められているということだと思います。

 人材育成として、専門家だけをつくらず、各分野での総合判断能力をもった指導者が必要だということだと思います。

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