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公務員批判はただの甘えに過ぎない - wasting time?

だいぶ前に“本質を無視した公務員批判”という記事を書いた。ブログ内(ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ)でもブロゴスでもいろんな意見をもらって色々考えさせられた。

一番感じさせられたのは自分の文章力のなさであった。意図が必ずしも伝わってないことにもっと精進が必要であると反省させられた。それと同時にいかに公務員、ひいてはこの国の統治機構への不満が高まっているかを感じさせられた。しかし、公務員への嫉妬に基づく批判には意味がない。公務員をスケープゴートにして溜飲を下げても公務員の給与を引き下げる(それは必要であると思うが)ことで日本経済が復活するわけでもない。

改めて前回の記事の意図と僕が考えていることを今回はシンプルに書かせていただきたい。

①まず、前回の記事だが、冒頭にも書いたように公務員というタイトルを打ったが記事の内容はいわゆる“官僚”に関するものである。そのあたりは誤解を招いたようなので再度確認させていただきたい。


②重要なのはインセンティブ

人間にとって重要なのはインセンティブである。官僚は“滅私奉公”すべきであるとの理想論は意味がない。俺は汚い人間だが、官僚は清新な人間でなくてはな らないとの道理は通らないと考えるのが普通だ。まして、そんな人間が何千人・何万人も世の中にいるわけがない。若いときは滅私奉公でも家族ができればまた 変わらざるをえないだろう。

だから、官僚が意欲を持って仕事に取り組める環境づくりこそが大切であるはずだ。また優秀な人間が官僚には必要だと思うならば、いかに人を集めてくるかという課題がある。安すぎる給料はその課題を達成しないだろう。

そして、安すぎる給料と滅私奉公の強制は汚職などを行うインセンティブを高めることは間違いない。果たしてそれでいいのだろうか?

③国が潰れそうだから・・・?

という批判が多い。だから、官僚の給与も大胆に削減すべきだと。たしかに僕も賛成だ。そう主張する人は何が日本の財政を一番圧迫しているか知っているのだ ろうか?年金や医療などの社会保障費であることは言うまでもない。公務員の給与削減などしても焼け石に水であることは明らかだ。これらの大胆な削減を主張 する人がその一環として官僚の給与も削減せよというならば僕は多いに賛成だ。しかし、多くの人は官僚の給与を削減せよ。でも、増税はするな。社会保障費も 削るなという主張をしているのが事実だろう。

④政治家や有権者の責任

官僚がなぜ優秀でなければならないようになっているのか?それは政治家が無能であるからだ。あるいは、政党がシンクタンクをもてないからだ。政党がシンク タンクをもてないのは金がないからだ。であるならば、我々はもっともっと政党に献金などを行うとともに政治に興味を持つべきだろう。現実はそうではない。 であるならば、いつまで経っても官僚頼みの政治からは抜け出せないだろう。

⑤甘えが官僚批判を生む

先進国全般が停滞している。そして国家の財政が圧迫されている。どこの国でも状況は同じである。日本だけが特に悪いとは言えなくなってきた。その中でおそ らく自分の幸せは自分で勝ち取らないといけない時代だ。政治のせいにしていても意味がない。そんな環境の下で「官僚は安月給で滅私奉公せよ。増税は絶対反 対。社会保障費は削るな。政治のせいで日本はダメなんだ。」と主張することに何の意味があるだろうか?これらは所詮嫉妬と甘えに基づく主張であることは否 定できないだろう。

⑥少なくとも欧米の官僚並かそれ以上に日本の官僚は全うだ。イタリアやスペイン・ギリシアの官僚とどちらが優秀かなど議論の余地すらない。もっと大きな問題が別にあると我々は認識すべきだ。

⑦僕の理念

では、お前は官僚の給料・特権を擁護するのか?と言われれば答えはノーである。しかし、官僚の特権や給料が高すぎるように見えることは問題の本質ではなく 症状にすぎない。官僚や公務員・政治家、そして政治に参加する有権者に正しいインセンティブを与えることが大切だ。そのためにはより小さな政府+地方分権 を速やかに進めることである。その結果、財政に対する規律・政治への参加意識・自治体ごとの創意工夫・競争意識が改善することは間違いない。同時に、身の 丈に合わない社会保障費の大胆な削減を行うべきだ。そして、官僚の給与削減はその一環でしかない。もちろん、それ以前に過大な給与をもらっていると思われ る地方自治体の職員の給与こそ削減されるべきである。

また、米国式の官民交流が盛んなあり方も官民の癒着の温床として最近は米国で激しく批判されているとも聞く。日本や英国的なあり方のほうがいいのではないかと。重要なのは制度ではない。柔軟な労働市場とそれを通した適切な賃金の設定であることは言うまでもない。

繰り返そう。

官僚の給与が(仮に)高すぎるとしてもそれは症状であり原因でもなんでもない。財政再建や社会保障の削減はそれとは別個のより高次元活優先すべき課題であ り、まさに国家衰退の原因として捉えられるべきだ。そして、より正しいインセンティブを与える改革は給与削減などすっ飛ばしてできる可能性も高い。問題の 優先順位のつけ方を間違えては相手に付け入る隙を与えるだろう。

安易な官僚・公務員批判は時間を浪費させ人々の嫉妬心を煽り勤労意欲を削ぎますます国家の活力を奪うだろう。やるべき課題は多い。もっともっと本質から切り込まざるを得ない状況に我々はあると僕は思っている。

wasting time?のブログ↓
ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ

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