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スマホ時代の動画視聴の3つの特徴-好きなときに、好きなモノを、好きなように- - 廣瀨 涼  

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1――はじめに

「令和元年度情報通信白書」によると、個人の「スマートフォン」の保有者の割合が64.7%であった1

また、参考値ではあるがNTTドコモ モバイル社会研究所の「一般向けモバイル動向調査」によるとスマートフォンの年代別保有率では男性15歳~49歳、女性15歳~49歳が9割を超え、特に女性20~24歳は100%2であったなど、スマートフォンは我々の生活に密接な機器となった。

15歳から59歳の男女(n=2,712)を対象としたMMD研究所の「2019年版:スマートフォン利用者実態調査」3では一日の利用時間は全体で「2時間以上3時間未満」が21.8%と最も多く、次いで「1時間以上2時間未満」が16.9%だった一方で10代では「3時間以上4時間未満」が最も高く、特に10代の女性では「10時間以上」と回答した割合が1割を超えるなど、若者の利用時間が長い。

本レポートでは、特に若者のスマートフォンでの動画視聴に焦点を当て、スマホ時代の動画視聴方法について考える。

1 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd232110.html
2 https://www.moba-ken.jp/project/others/ownership03.pdf
3 https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1844.html

2――スマートフォンと動画

前述したMMD研究所の調査の「スマートフォンの最もよく利用するアプリ」をみると、SNS(28.7%)が最も高く、動画(26.3%)が続く。インストールしているアプリをみると、最も高いのが動画アプリで概ね6割の人がインストールしていることがわかっている。

さらに、ニールセン デジタル株式会社のスマートフォンの利用状況に関する調査を見ると、「ビデオ/映画」カテゴリーの一人当たりの月間平均利用時間には、全世代で「7時間11分」、18-34歳では「10時間43分」と、最も多くの時間が割かれていることが分かる。

以上のことからスマートフォンが動画視聴するうえで多くの役割を担っていると言えるだろう。

また、前述した情報通信白書の主なメディアの利用時間によると、全体ではテレビ視聴の時間がネット利用時間より長い一方で、10代においては平日、休日問わずネット利用時間がテレビ視聴時間を上回っている。

もちろん全てが動画視聴に利用されているわけではないが、10代においては、テレビを見る時間よりもスマートフォンのスクリーンを眺めている時間の方が長いと言えるだろう。<

3――スマホ時代の動画視聴における3つの特徴-「好きな時に」、「好きな物を」、「好きなように」

例えばゴールデンタイムのバラエティやドラマは、CMを含め1時間で構成されることが普通である。また、子供向けのアニメは30分、お昼のワイドショーは2時間といったように、テレビ番組の放送時間の長さに対して我々視聴者は一種の体感のようなものを抱いている。

もちろんこれは、テレビ局サイドの番組表編成の都合であるのだが、暗黙の了解として視聴者は動画の長さを受け入れてきた。また、テレビ視聴は、番組放送の時間に我々視聴者が合わせることで視聴が可能になる。

言うならば、テレビ局が放送する映像の流れの一地点を“捕まえる”ことで娯楽を得ているのだ。そのため、「月曜の夜は街からOLが消える」と言われた『東京ラブストーリー』現象のように、番組表に視聴者の時間がコントロールされているのである。

しかし、スマートフォンの登場により、我々のコンテンツとの向き合い方は大きく変化した。通勤通学中に、サブスクリプションサービスを用いて映画やドラマを視聴したり、YouTubeのような動画視聴サイトを使用することは一般的になっている。

テレビが動画視聴の中心であった時代では、視聴場所、時間に制限があり、前述した通り視聴者が媒体(テレビ)に合わせる必要があったが、スマートフォンによる動画視聴は視聴者が主体であり、「好きな時に」、「好きな物を」、「好きなように」見ることができるのである。

この変化に伴い、コンテンツ視聴に対する意識が、特に若者世代で大きく変化しているようである。以下では、「好きな時に」、「好きな物を」、「好きなように」の3つのスマホ時代の動画視聴の特徴について考えていく。

まず「好きな時に」であるが、スマートフォンという媒体のおかげで我々は、時間と場所に制限されることなく動画が視聴可能となり、文字通り好きな時に動画を楽しむことができる。好きな時に視聴できるということもあり、通勤通学、休み時間、待ち合わせ中などの隙間時間に視聴されることも多い。

このような背景から昨今“コンテンツの短尺化”の傾向がみられる。動画視聴サイトといえばまず、YouTubeが想起されるのではないだろうか。2018年前後ではYouTubeに投稿される動画が長尺化し、テレビ番組化が加速するといった傾向も見られたが、近年では動画の短尺化の傾向が強い。

実際に動画の収益化に対する規約も変化しており、例えば動画の最中にCMを入れる「ミッドロール広告」は、従来は10分以上の動画が対象であったが、2020年7月から8分以上の動画が対象となった。

明確な理由は述べられてはいないが、視聴者が短尺のコンテンツをすすんで視聴していることが要因であると筆者は考えている。前述した通り、隙間時間に動画が消費されるようになったことで、動画の尺(長さ)が動画選択時に考慮されているようなのである。

YouTubeにおいては、動画選択時のサムネイルに動画の長さが表記されている。通学中の電車や休み時間等決められた時間の範疇で終わる動画を選択していると仮定すると、長すぎる動画は敬遠される。

視聴者が意識しているか否かは別として、動画視聴を終わらせるタイミングを考慮に入れコンテンツを選択するという点は、テレビ視聴の性質と大きく異なる点と言えるだろう。

また、そもそも尺の短い動画が若者に好まれる土壌は以前から作られていた。

2017年にサービスを終了した動画視聴アプリ「Vine」は、6秒間ループされる動画を投稿できるサービスであり、2014年のデータではあるが「Vine」の認知度は10代で22.5%、20代で6.5%、30代で4.2%と、他の世代と比較して10代の認知度が高かった。

以前紹介したKemio4や人気YouTuberの大関れいか、ブライアンは、このアプリ出身であり、彼らは現在もVineとは異なる媒体で短めのネタやいくつものネタをまとめた動画のスタイルで、若者からの支持を得ている。

Vineのサービスが終了した後も、昨今ではTiktok(動画投稿の長さが最大15秒5)という違った形で短い動画が次々と消費されている。YouTubeにしても、他の動画アプリにしても端的に、そしてわかりやすく快楽(楽しさ)を得ることが求められているのかもしれない。

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