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「最後の最後までやりますよ」余命宣告されたニコニコ生主と交際相手の“人生の残り時間との向き合い方”

「きっかけをもらった。一日一日、本当に無駄にはできないという生き方ができている。今は逆にめちゃくちゃ楽しい」。

 そう話すのは、今年6月、「余命3カ月~半年、抗がん剤治療によって、3年は生きられる可能性がある」と宣告された力也さん(42)だ。

 10年前からニコニコ生放送の配信者としても活動してきたことから、“残りの人生をかけ、死ぬまで生放送”と銘打ち、日常や闘病生活の様子を『1000日後に死ぬ力也』として、ほぼ毎日配信している。

・【映像】結婚式や精子冷凍保存も 14年連れ添うパートナーの想いとは?

 そんな力也さんを支えるのが、14年前から交際している薄子さん(32)の存在だ。「こうやって笑っていられるのは彼女のおかげ。最期を看取ってくれると約束してくれたので、もう何も怖いものはない」。

 そこで『ABEMA Prime』では、抗がん剤治療の開始を目前に控えた力也さんと薄子さんに話を聞いた。

■「ごめんなさい。結婚は諦めてください」

 35歳で福井県から上京し、綿菓子屋を開店。38歳の時には、ウェブメディア『ガジェット通信』で体当たり企画を配信したこともあった力也さんは、今から10年前、32歳の頃からニコニコ生放送の“生主”として配信を続けてきた。

「僕みたいに何の取り柄もないおっさんが道端で“話を聞いて”と言っても、誰も聞いてはくれないだろう。でも、配信では皆が真剣に話を聞いてくれる。そういうところが楽しい」。

 しかし今年6月、1年ほど前から続いていたという下血について調べるため通院すると、ステージ1の大腸がんだと診断された。同時に別の大きな病院を紹介され、再検査を受けたところ、先月、実はステージ4だったこと、そして肝臓へ転移していることがわかったという。

「“家族を呼んでください”と言われたので、“これはダメかもな”と思った。そこで自分から“どれくらい生きられるのか”と聞いた。“3カ月から半年、抗がん剤治療を受ければ、最長で3年”と言われた。

“ああ、そうなのか”という感じで、そんなに動揺したり、ショックを受けたり、ということはなかった。まだ実感が湧いていなかったんだと思う」。

 しかし、交際相手の薄子さんを残して逝くという現実に気づき、不安に襲われた。その日のうちに診断結果を打ち明けた。

「ことの重大さに気付いて、初めて泣いた。“ああ、死んでしまうんだなぁ”と。本当は黙っていようかなとも思った。でも治療していく中で身体がだんだんと弱っていくだろうし、気づかれると思った。それなら初めから全て言ってしまおうと。

“ごめんなさい。がんになった。たぶん治らない”と。付き合って14年も経つので、結婚も考えてはいた。そのことについても、“ごめんなさい。結婚は諦めてください。子どもも作れない。僕が死んだら違う人とお付き合いして新しい家庭を作って、できたら子どもを作って…”と、気持ちをそのまま伝えた」。

 即座に「それは嫌だ」と答えたという薄子さん。「最初はショックで泣きわめいてしまった。でも、力也さんが“これから楽しく過ごしていこう”と言ってくれたので、そうだな、と気持ちを切り替えることができた」。

■「子どもを作るという未来もあると思う」

「残りの時間を有意義に使える。親にも彼女にもちゃんとお別れができるし、余命宣告を受けて良かったなと思う」と話し、あくまでも前向きな力也さん。身辺整理と並行して、記念写真撮影や精子の冷凍保存、そして今月末には薄子さんとの“結婚式”も控える。

「死んだ後、周囲に迷惑をかけたくないなというのがあって、いらないものをどんどん捨てている状況だ。サブスクリプションなども全て解約した。遺影も撮りにいったし、彼女との思い出づくりに写真を撮りに行ったりもした。また、抗がん剤治療が始まると精子に影響が出るので、精子バンクにも行った。

そして、お互いの両親からは反対されているが、結婚式だけでもやろうよという話になった。“全部こちらでやってあげるから”と言ってくれたリスナーさんがいて、式場の手配も含め、全部やってくれた。本当にありがたい」。

 そして来月7日からは抗がん剤治療も始まる。「がんの怖い所でもあるが、今は痛みも症状も全くないし、ものすごく元気。抗がん剤治療を始めると、どんどん体も弱っていくのだと思う。」

 一方、当初は大きなショックを受けていたという薄子さん(32)も、「今は一緒に居て、とにかく支えてあげようという思いでいる」と話す。「毎日がジェットコースターのようで、驚きの連続。でも、落ち込むよりも笑って楽しく過ごそうと決めている。もしも抗がん剤治療がうまくいって寛解したら、子どもを作るという未来もあると思う。その希望のために、精子の冷凍をした」と語った。

■「最後の最後までやりますよ」

 抗がん剤治療と緩和ケアが専門の西智弘医師は「患者さんには、家族で旅行に行く、子どもの入学式など、様々な目標がある。私も、まずはそこに向けて一緒にやっていこうという話をする。そうすることで寿命が延びるという研究はないが、目標を立てている患者はとても強いな、といつも思う。自分の心を奮い立たせ、家族と一緒にやっていこうという“チーム”も作りやすいといと思う」と話す。

 そして力也さんは自身の病状、余命についてもニコニコ生放送で公表、命ある限り、生放送を継続することを決意した。薄子さんも、「一緒に配信していけたら」と意気込む。

「配信で知り合ったリスナーとは10年来の仲。僕にはリアルな友達はほとんどいないが、インターネット上には何千人もの友達がいる。だから真っ先に伝えたいと思った。人が本当に死ぬのは、忘れられた時だという。

配信すればアーカイブが残るので、インターネット上では忘れられずに、ずっと生き続けられるのかなと。不謹慎だと受け取られるかもしれないが、逆に“配信のネタになる”とも思った。僕ががんになって一番怖かったことは、今後どうなっていくのかが分からないということだった。

検索すれば“点の情報”はあるが、“線の情報”はない。僕ががん治療の家庭を死ぬまで見せていくことで、今後がんを患った人の安心材料になれればと思った。そこで、パクリのタイトルだが『1000日後に死ぬ力也』」と力也さん。

「リスナーたちにはすごく助けられている。温かい意見もあるし、助言もくれる。今、実はおむつをしているが、それもリスナーが送ってくれた。蟹や松坂牛を送ってくれた人もいた。でも、リスナーたちは許してくれない。“1000日後にちゃんと死ねよ”と言われる(笑)。最後の最後までやりますよ!」と笑顔を見せていた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:結婚式や精子冷凍保存も 14年連れ添うパートナーの想いとは?

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